トヨタ ノア 室内の使い勝手を竹岡圭がチェック

フルモデルチェンジで一段と印象的なフロントフェイスになった、トヨタのミニバン「ノア」。では、肝心の装備や使い勝手は? 竹岡 圭も驚いたというユーティリティーについて、動画で解説する。

「5ナンバーサイズミニバンのノア」なんていう言い回しがありましたが……そのサイズがもう3ナンバー化してしまい、どう呼んだらいいかわからなくなりましたねぇ(笑)。

“サイズ感”で言えば、いまでは小さいほうからプチバン「シエンタ」、コンパクトミニバン「ノア/ヴォクシー」、ミニバン「アルファード/ヴェルファイア」というような感覚になるでしょうか? ちょっと前までは「エスティマ」等をミニバン、アルファード/ヴェルファイアをLクラスミニバンなんて区分けもしましたが。「トヨタの天才タマゴ」と言われたエスティマは、カタログからは消えてしまいました。時代って移り変わるものなんですよね……。しみじみ。

私、コロナ禍の前までは、年に数回は海外に出かけておりましたが、いわゆる一般人がこんなにもミニバンに乗っている国は日本くらいのような気がします。欧州やアメリカでは、ミニバンは「コンパクトなバス」的感覚で使われていることが多いんですよね。日本で言うと、トヨタの「ハイエースワゴン グランドキャビン」とか「コースター」的、とでも言いますか。ツアーの送迎バスとかロケバスのような感じです。アメリカでは“mama'sバン”なんて呼ばれて、子育てママ専用車として使われてきたシーンもかつてはあったようですが、それも最近はSUVに集約されてきた感があります。とにもかくにも、こんなにも一般家庭でミニバンが使われている国は珍しい、ということが言いたいわけです。

なぜだろう? いろんな理由があるかとは思いますが、ふと、こんな考えが浮かびました。

その1。「日本では個人の部屋が乏しいから」説。近年は状況が変わってきたかもしれませんが、かつての日本は、「一人ひとりの子供部屋があって、小さいころからプライベートな空間が確保されている」というご家庭は少なかったように思います。それに比べるとヨーロッパやアメリカって、小さいころから自分だけの部屋が与えられている印象がありますよね。なので、複数で狭い空間に長時間おさまっていると、なんだか息苦しくなってしまう。対する日本は、お茶の間にギュッとまとまって、暖炉じゃなくていろりや火鉢を囲んで一緒に過ごす習慣もあるし、誰かと一緒の空間でもつらくないんじゃないか? あるいは、その限られたスペースの中でも、自分のいる場所を確立できるんじゃないか……そう思いました。

続いて、その2は「パーソナル空間の違い」説。これは聞いた話なんですが、パーソナル空間、つまり人と人との間でお互い不快に感じない距離、逆に言えば、これ以上近づかれると「近いッ!」と、思わず身を引きたくなるような距離のことですが、この距離感覚が欧州の方たちとアジアの方たちとは違うようなのです。

欧州の方たちと比べると日本人は距離が近い。これが例えば中国では、もっと狭まるそうなのです。いわれてみれば、中国の方たちがお友達同士でベタッとくっついて歩いている印象があるの、私だけでしょうか? まぁ、単なる超仲良しなのかもしれませんが……。

というわけで、日本人はミニバンという限られた空間の中でも、自分だけのスペースを認識してじゅうぶんバリアが張れる→お茶の間のごとく快適に過ごせる→ミニバンが売れる、という図式になるんじゃないかと。ってことは中国もそのうち、ノアみたいなミニバン一色になる日がくるのかも!?

(文:モータージャーナリスト・竹岡 圭)

[GAZOO編集部]

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