待望のMT仕様のトヨタ スープラ。その感触と、ほかに注目すべき変更点とは?

今回取り上げるのは、FRスポーツカー「トヨタスープラ」の改良モデル。新たに設定されたマニュアルトランスミッションをはじめ、最新型の特徴を自動車ライター伊藤 梓が解説する。

名前を聞くだけでワクワクするクルマはいろいろあるが、私にとっては、トヨタ・スープラもそうした特別なクルマのひとつだ。

自分の年代からすると先代のスープラは、レースで活躍し有名なアクション映画にも出ているなど、憧れの対象となるモデルではあったけれど、現実にはなかなか触れられる存在ではなかった。

それが2019年に復活して、ようやく自ら楽しめる新車のスープラが出てきたことにとても興奮した覚えがある(もちろん気軽に買える値段ではないけれど)。そして、2022年4月の商品改良では、待望の6段MTモデルが追加された。多くのスープラファンは歓喜したはずだ。

MTが追加されたのは最上級の「RZ」グレードのみで、直6エンジン(最高出力387PS/最大トルク500N・m)がもたらすハイパワーをMTで操れる、ファン垂涎(すいぜん)のモデルとなっている。

「MTを組み合わせるなら、4気筒エンジンのエントリーグレードのほうが、目いっぱいパワーを使い切ることができて楽しいかもしれない」とも思ったが、今やMTはスポーツカーで当たり前の仕様ではなく、マニアに向けた付加価値的なものになっている。RZだけに設定されているのも仕方のないことなのかもしれない。

今回は単にMTが設定されただけでなく、シフト操作の際に最適なエンジン回転数に合わせてくれる自動ブリッピング機能が付いていて、加速時にエンジン音をドライバーに“聴かせる”サウンドチューニングも施されている。もちろん運動性能もさらに磨き上げられ、電子制御式サスペンションは再チューニング。ロールバランスと乗り心地の向上が図られている。

その進化し続ける走行性能を、今回はたっぷり試そうと思う。

(文:自動車ライター・伊藤 梓)

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