スバル・クロストレック リミテッド「誰でも運転しやすい車」(伊藤梓)

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スバルクロストレック」は、「スバルXV」と呼ばれた先代モデルのプラットフォームを受け継いでいますが、実際に運転してみると、「全くの別物!」と驚かされます。大きく違うポイントは、運転操作の滑らかさと、車内の静粛性です。走りのフィーリングの良さは、構造用接着剤を多用するなどしてボディー剛性を上げた効果もあるのでしょうが、デュアルピニオン式の電動ステアリングを採用したことも大きな要因ではないかと思います。

デュアルピニオン式になると、ドライバーが操作してからクルマが反応するまでの応答性が良くなるそうで、その変化が如実に感じられます。コーナーを曲がっていく時に、ハンドルを切り始めたところからしっかりとクルマが動いてくれている感覚。ちょっとしたワインディングロードに差し掛かっても、右へ左へと、小気味よいフットワークで走ってくれるのが印象的でした。

また開発者によれば「静粛性は乗り心地にも効く」とのこと。人間は、耳から入ってくる情報も乗り心地のひとつの要素として感じるそうなんです。確かに、軽自動車などで乗り心地がよいと感じるモデルでも、高速道路などで車外からの騒音が大きくなると、途端に疲れを感じることがありますよね。

クロストレックでは、エンジンマウントを新しくしたり、CVTのチェーン音の騒音を改善したりしたことで、エンジンまわりの音が抑えられているそうです。XVでも「コンパクトSUVなら、このくらいの静粛性で十分」と思っていたのですが、クロストレックになって、さらにワンランク、いやツーランク上の静かさを実現しています。

新設計のシートを採用しルーフの構造部材を変えたことで、快適さも向上しました。これら要所要所をしっかり押さえた改良によって、「XVとは違う、クロストレックになったんだぞ!」という主張がしっかりと感じとれます。しかし、XVはXVで、軽快かつ低価格だし、誰もが気軽に乗れるのが良いところ。ここまで2台を差異化できたのであれば、XVとクロストレックを併売してもいいのでは、とすら思ってしまいました。

(文:自動車ライター・伊藤 梓)

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伊藤梓さんが解説するスバル・クロストレック リミテッドの注目ポイント

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