【試乗記】トヨタGR86 RZ(FR/6MT)
はっきり違う
アイサイトだけではない
マイナーチェンジの一番のトピックはもちろんMT車にも「アイサイト」が装備されたことで、それ以外にもSACHS(ザックス)製ダンパー(「SZ」およびRZに設定、5万5000円)と、brembo(ブレンボ)製のブレーキ(フロント4ピストン/リア2ピストン、ディスク径17インチ、20万3500円、こちらもSZとRZに設定)がオプション設定されている。試乗車のRZはその両方に加え、ディーラーオプションのカーナビなど計70万円近いオプションを装備していた。さらに電子制御スロットルの出力特性変更によるコントロール性の向上、VSC(スタビリティーコントロール)制御の最適化によるコーナリング時の走行安定性向上も今回の改良内容として挙げられている。
MT車にもようやく
以前から待ち望まれていたMT車用アイサイトは、渋滞時のハンズオフ機能も備える「アイサイトX」や3眼タイプの最新式ではなく、比較的ベーシックな2眼カメラタイプである。それでもプリクラッシュブレーキや追従機能付きクルーズコントロール(30〜120km/hで作動、2〜6速の場合)、車線逸脱警報、リアビークルディテクションなど基本的な機能はすべてそろっている。マニュアル車ゆえに最後は自分でクラッチを切らないとエンストすることは言うまでもない。また5秒以上クラッチを切ったままにしたり、ニュートラルにしたりするとシステムがオフになるという。とはいえ、せっかくだからMTで乗りたいという人には朗報である。ただし、これでMT車にはアイサイトが装着できないから、という言い訳が通用しなくなった。もちろん、車種ごとに最適設定しなければならないから簡単にポン付けできるわけではないが、例えば北米には設定されている「WRX S4」のMTモデルの導入を希望する声もより大きくなるのではないか。
似てたっていいじゃないか
ところが新しいGR86は、BRZに比べてややとげとげしかった路面へのコンタクトが穏やかになり、サスペンションがフリクションなくスムーズに動いているようで、ひと言洗練されている。コーナー出口での後輪の安定感や粘りもあり、もはや“尻軽感”はない。最初からこれで、いやこれがよかったのではないか、と思う。もちろん、ヒリヒリした刺激的な反応こそスポーツカーという人もいるだろうけれど、私はこういう再調律は大歓迎である。それではBRZに近くなってしまう、と心配する向きもあるかもしれないが、分かりやすい差別化のために部品を変えて足を固めるのはちょっと順序が違う気がする。しなやかで安定感ある足まわりが結果的にBRZに似ていてもそれはまったく問題ではない。
大人も納得
ブレンボの絶対的な制動力については、一般道では以前とそれほど差がないようにも感じたが、何より17インチに拡大されたローターのおかげで見た目がいい。ホイールとの隙間が埋まっただけでいかにもたくましく見えるのだ。あとは正直ちょっと子供っぽいインストゥルメントパネルをどうにかできれば、オヤジ世代も恥ずかしくなく、大満足で普段使いにも、たまのスポーツ走行にも使えるクーペである。
そこで気になるのは、アイサイトは難しいとしても、ザックスダンパーをはじめとした今回の改良点がレトロフィットできるのか、ということである。発表・発売後も改良を加えて常に進化熟成させる姿勢はもちろん立派だが、いち早く購入した熱心なファンが恩恵を受けられないとしたら誠に残念だ。
テスト車のデータ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4265×1775×1310mm
ホイールベース:2575mm
車重:1280kg
駆動方式:FR
エンジン:2.4リッター水平対向4 DOHC 16バルブ
トランスミッション:6段MT
最高出力:235PS(173kW)/7000rpm
最大トルク:250N・m(25.5kgf・m)/3700rpm
タイヤ:(前)215/40R18 85Y/(後)225/40R18 92W(ミシュラン・パイロットスポーツ4)
燃費:11.9km/リッター(WLTCモード)
価格:347万6000円/テスト車=415万2280円
オプション装備:ボディーカラー<スパークレッド>(5万5000円)/brembo製ベンチレーテッドディスクブレーキ<フロント:17インチ 4ピストン対向キャリパー/リア17インチ 2ピストン対向キャリパー>(20万3500円)/SACHS(ZF)アブソーバー(5万5000円) ※以下、販売店オプション 9インチベーシックナビ<NMZN-Y73D>(24万4310円)/カメラ別体型ドライブレコーダー ベーシックナビ連動タイプ<バックカメラ利用タイプ>(4万3450円)/ETC2.0ユニット ナビ連動タイプ<光ビーコン機能付き>(3万1020円)/バックモニター(1万7600円)/GRフロアマット(2万6400円)
テスト車の年式:2024年型
テスト開始時の走行距離:1542km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2)/高速道路(6)/山岳路(2)
テスト距離:385.6km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:8.5km/リッター(車載燃費計計測値)
トヨタ 86の試乗記事
トヨタ 86に関する情報
-
-
「セリカの魂を宿したか!」「市販してくれ」トヨタ『GR86ラリーレガシーコンセプト』に驚きと喜びの声
2024.11.10 ニュース
-
-
-
セリカGT-FOUR の魂を『GR86』に、300馬力の「ラリーレガシーコンセプト」発表…SEMAショー2024
2024.11.06 ニュース
-
-
-
86から乗り換えたGR86と再び歩み始める濃密なカーライフ
2024.10.29 愛車広場
-
-
-
真っ黒なトヨタ 86は頼れるお姉ちゃん!知らないことを教えてくれてステキな存在
2024.09.25 愛車広場
-
-
-
トヨタ GR86に限定モデル「箱根」登場、“聖地”ターンパイクをリスペクト 米国限定860台
2024.07.17 ニュース
-
-
-
GR86を極限のレース環境の知見を投入し改良。限定車「RZ“Ridge Green Limited”」の抽選受付も開始
2024.07.12 ニュース
-
-
-
GRガレージでeスポーツと出会い、憧れのGR86で走りを愉しむ
2024.06.06 愛車広場
-
-
-
シックなブラックのトヨタ・86を購入したはずが、左右非対称のド派手なルックスになってしまった理由とは!?
2024.04.10 愛車広場
-
-
-
私のチャレンジ精神に火をつけた!?トヨタ 86で挑むマニュアル運転の先にあったもの
2024.04.06 愛車広場
-
最新ニュース
-
-
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
2024.11.21
-
-
-
軍用ジープが最新モデルで蘇る…ドアなし&オリーブドラブが渋い「ラングラー ウィリス'41」発表
2024.11.21
-
-
-
EV好調のシトロエン『C3』新型、欧州カーオブザイヤー2025最終選考に
2024.11.21
-
-
-
「めっちゃカッコいい」新型レクサス『ES』のデザインにSNSで反響
2024.11.21
-
-
-
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
2024.11.21
-
-
-
日本発の「ペダル踏み間違い防止装置」、世界標準へ…国連が基準化
2024.11.21
-
-
-
楽しく学べる「防災ファミリーフェス」を茨城県の全トヨタディーラーが運営する「茨城ワクドキクラブ」が開催
2024.11.21
-
最新ニュース
-
-
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
2024.11.21
-
-
-
軍用ジープが最新モデルで蘇る…ドアなし&オリーブドラブが渋い「ラングラー ウィリス'41」発表
2024.11.21
-
-
-
EV好調のシトロエン『C3』新型、欧州カーオブザイヤー2025最終選考に
2024.11.21
-
-
-
「めっちゃカッコいい」新型レクサス『ES』のデザインにSNSで反響
2024.11.21
-
-
-
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
2024.11.21
-
-
-
日本発の「ペダル踏み間違い防止装置」、世界標準へ…国連が基準化
2024.11.21
-