中古車とはどんな車?レンタアップ車、未登録車などについて解説 【GAZOO中古車購入ガイド】

クルマを買おうと思ったとき、まず考えるのが新車にするか、中古車にするかということです。

新車はディーラーで注文後に新たに製造されたクルマで、好きな装備や色を選ぶことができます。車両本体価格とオプション品の価格を含んだ額がはっきり出てきます。
一方で中古車は店頭に並ぶまでに別の誰かが使っていたクルマで、表示されている価格などがどう決まっているかなどがよくわからないと言う人もいるはずです。

そこで今回から6回にわたり、初めての人から経験者まで、中古車を買って失敗することのないように、事前に知っておいて欲しいことを解説していきます。まずは、そもそも中古車はどんなクルマなのかを見ていきましょう。

中古車の明確な定義

みなさんは中古車とはどんなクルマか、きちんと説明できますか?
「以前に誰かが使っていたクルマ」
「古くなったクルマ」
おそらく多くの人が中古車をこのように思っているのではないでしょうか。これらは間違いではありませんが、正確でもありません。

<中古車の明確な定義>
過去に運輸局に登録(軽自動車は軽自動車検査協会に届出)され、車検証とナンバープレートが発行されたクルマ

そのため、ナンバープレートがつけられた後にほとんど使用されていないクルマも中古車になります。反対に製造されてしばらく時間が経っていてもまだ運輸局に登録されていないものは、新車(一般的な新車と区別するために未登録車と呼ばれたりします)扱いになります。

中古車を探していると、「新古車」という言葉を聞くこともあるはず。これはほとんど距離を走っていない新しいクルマを指しますが、新車と勘違いしてしまう人もいる誤解を招く表現のため、広告掲載など中古車販売の現場では使われなくなっています。

中古車の種類

一口に中古車といっても、実はいろいろな種類があります。ここではどんな中古車があるかを見ていきましょう。

登録済み未使用車/届出済み未使用車

冒頭で紹介したように、クルマは一度でも登録(軽自動車は届出)すると中古車という扱いになります。しかし登録されたものの、ほとんど走行していない状態で店頭に並べられるものがあります。これらを登録済み未使用車/届出済み未使用車と呼びます。

登録済み未使用車/届出済み未使用車は新車のように生産時につけられるオプションを選ぶことはできませんが、ほとんどは走行10km以内のもの。多くの場合はそれらが新車より安い価格で販売されています。状態のいいものを少しでも安く手に入れたい人は検討の価値ありです!

未登録車

製造後、運輸局に登録されないまま保管されていたクルマを未登録車と呼びます。未登録車は購入後に新規登録(初度登録)するため、新車と同じ税金を納める必要があります。

すでに完成した状態のため、登録済み未使用車/届出済み未使用車と同じように生産時につけるオプションを選ぶことはできませんが、一般的には新車より安い価格で販売されます。

展示車/試乗車(デモカー)

新車ディーラーがショールームに展示していたものや、試乗用に使っていたものを中古車として販売しているものになります。

展示車は未登録車になりますが、展示場でさまざまな人が乗り降りする中で多少の使用感が出てしまうため、割安で販売されるケースが多くなります。

試乗車は一般的に半年〜1年程度使われた後に中古車として販売されます。走行距離はそこまで多くなく、しかもディーラーでしっかり整備されているので安心して購入できる中古車となります。また、お客さんに便利機能を体感してもらうため、オプションが多数つけられているものもあります。

レンタアップ中古車

レンタカーとして使用されていたものが中古車として販売されているケースで、販売時にはその旨が表示されます。

レンタカーは通常1〜2年程度で入れ替えられるので、レンタアップ中古車は比較的高年式車が多いという特徴があります。

一方で自家用車とレンタカーでは車検期間が異なるため、高年式車でも購入時に継続車検を受けなければならないケースがあります。また、レンタアップ車はメーカー保証がついていないケースもありますので注意が必要です。

認定中古車

自動車メーカー・輸入車インポーターが設けた品質に関する独自基準をクリアし、指定された点検と部品交換等の整備を行った上で販売される中古車のことです。

価格は普通の中古車より高めに設定されることが多いですが、メーカー・インポーターのお墨付きがある安心感のある中古車になります。

修復歴車

日本自動車査定協会(日査協)や自動車公正取引協議会(公取協)が定める以下の部位のいずれかに交換や修復などを施したものが修復歴車と呼ばれます。

  • フレーム(サイドメンバー)
  • クロスメンバー
  • インサイドパネル
  • ピラー
  • ダッシュパネル
  • ルーフパネル
  • フロア
  • トランクフロア

クルマに修理歴があっても、たとえば電柱でこすってしまいミラーを交換したりしたものは修復歴車という扱いにはなりません。安心感のある中古車が欲しいという考えから修復歴車を敬遠する人は多く、修復歴がないものより安い価格で販売されています。

並行輸入車

ほとんどの輸入車は正規のインポーターが本国から輸入していますが、中には販売店が独自に輸入したものもあります。これらを並行輸入車と呼びます。

並行輸入車は日本で販売されていないモデルや仕様であることが多く、人とは違うものに乗れるというメリットがあります。一方で、整備をしてくれる場所が限られたり、手に入りづらいパーツがあったりするというデメリットがあります。

また、並行輸入車は車両保険に加入できないケースもあるので、購入前に保険会社に確認することをおすすめします。

中古車を販売するお店にも種類がある

中古車を販売しているお店も営業形態の違いによりいくつかの種類があります。それぞれ特徴があるので、それを理解しておくと自分にピッタリの中古車が探しやすくなり、自分に合った形でカーライフをサポートしてもらえるはずです。

正規ディーラー

新車を扱う正規ディーラーでは、中古車を扱っているお店も多くあります。基本的には新車を販売しているメーカーの中古車を扱っていますが、下取りなどで入庫した他メーカーの中古車が店頭に並んでいるケースもあります。

<メリット>

  • 高品質な中古車を中心に扱っている
  • 長期間の保証がついている

大型中古車販売店

国道沿いなどにある、大型展示場にたくさんの中古車が展示されている販売店。さまざまなメーカーの中古車が展示されているので、ライバル車種を比べて選んだりすることができます。

<メリット>

  • 一つのお店で予算に合わせて比べて選ぶことができる
  • 同じ条件で正規ディーラーより安い価格で買えるケースもある

小規模中古車販売店

店頭に並んでいる中古車の台数は決して多くはないのに長く営業しているお店は、地域に根づいた経営をしているケースが多いのが特徴です。

<メリット>

  • 整備を含め、誠実に対応してもらえるお店が多い
  • 低価格帯の中古車を扱っているケースが多い

特定車種専門中古車販売店

人気車種や趣味性の強いモデルなど、特定の車種に特化している中古車販売店もあります。また、旧車専門店、スポーツカー専門店といったお店も存在します。

<メリット>

  • 扱う車種について熟知している
  • お店を通してさまざまな情報が手に入ることが多い

中古車やお店の特徴を理解しておくと、購入後の満足度が高くなる

このように中古車と一口にいってもさまざまな種類があることがおわかりいただけたかと思います。

また、ともすると同じように見える中古車販売店にもさまざまな特徴があり、そのお店で購入することで得られるメリットが変わってきます。

次回はお金のことも関係してくる「中古車と相場」について解説します。

(文:高橋満<BRIDGE MAN>)

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