インターペット東京で体感、ペットカートが変える愛犬との移動
愛犬とのお出かけにおいて「どう移動するか」はこれまで以上に重要なテーマになりつつあります。近年、イベント会場でも存在感を高めているのがペットカートです。単なる移動補助の道具にとどまらず、クルマとの連携や安全性、さらには快適性までを含めた“移動体験”を提案する製品が増えています。
今回のインターペットでも、そうした流れを象徴する3つのブランドが印象的でした。それぞれのアプローチから、「ペットとドライブ」の新しい可能性が見えてきます。
クルマと一体化するカートという発想:TAVO
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TAVOは安全性とデザイン性の高さが特徴の新しいペット用カートブランドです。
2024年に日本へ上陸した「TAVO(タボ)」は、ペットカートの概念を一歩先へ進めた存在です。台湾を拠点に、もともとはチャイルドシートやベビーカーなどを40年以上にわたり世界80カ国以上で展開してきたメーカーで、そのノウハウが随所に活かされています。デザインはオランダが手がけており、機能とデザイン性の両立も特徴です。
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コット下部からワンタッチでラッチが展開。ISOFIXにはめ込めば装着は完了です。
ブースの正面にはメルセデス・ベンツEクラスが置かれ「わんちゃんも家族の一員としてドライブする」というメッセージが明確に打ち出されていました。TAVO「Maeve iso」最大の特徴は、カートのコット部分をそのまま車内に固定できる点にあります。ISOFIX機構を用いてリアシートに確実に固定できる構造で、レバー操作ひとつでラッチが展開し、しっかりと装着されます。
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TAVOはクルマへの装着しやすさを、オープンカーを持ち込んでデモンストレーション。
側面衝突を想定した構造や難燃素材の採用、厚みのある衝撃吸収パーツ「サイドプロテクション」など、チャイルドシートにも通じる安全思想で設計されている点も特徴です。単なる流用ではなく、愛犬用の「カーシートとして最初から設計されている」という点に、他製品との違いがあります。また目的地に到着すれば、そのままカートのフレームに装着して移動できる、シームレスな使い方ができる点も魅力です。
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サイドプロテクションは、側面からの衝撃を和らげるために厚めの素材で作られています。
一方、耐荷重9kgまでのコンパクトな「Dupree」モデルは機内持ち込みに対応したサイズです。アメリカやヨーロッパ、お隣の韓国などでは、ペットを航空機のキャビン内に持ち込めるケースも少なくありません。そうした環境では、このサイズのキャリーがそのまま機内移動にも活用できる点は、大きなメリットと言えるでしょう。
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写真の右上がコンパクトなキャリーとしても使えるデュプレー。飛行機の機内に持ち込めるサイズで設計されています。
そのほかベビー用品のバウンサーで得られた知見を応用した製品として、揺れを生み出すペット用ベッド「Shell」なども展示し、“ペットのためのインテリア”という新しい視点も提示していました。
現実的な使いやすさを追求:Compet
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コムペットもISOFIXを利用したカートの装着を提案していました。既存の製品をベースにしたコスト効率の高いコンセプトが特徴でした。
同じくベビー用品のコンビが展開するペットブランド「Compet(コムペット)」は、より現実的な使いやすさに軸足を置いた提案が印象的でした。新製品として展示されていた「カーリンクISOFIX」は、既存のペットカートを車内で「ドライブボックス」として使用するためのオプションです。従来からベルトで固定する製品はありましたが、ISOFIXによる装着は簡単かつ確実で、日常使いにおける利便性が大きく向上しています。
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カーリンクISOFIXをクルマのシートに装着し、その上にペットカートのコット部分をドッキングするという使い方です。今使用しているコムペットのペットカートがそのまま使えるというのは飼い主にとってありがたいですね。
ただし、この製品はチャイルドシートのような衝突安全性を保証するものではなく「車内で愛犬が動き回らないようにする」ことを主目的としています。担当者は「わんちゃんの命を守ることをお約束している製品ではないことをご理解ください」と明確に説明していました。
これは、たとえドライブボックス自体がISOFIXでしっかり固定されていたとしても、衝突時には内部にいる愛犬がコットの内側にぶつかるなど、現状では衝撃を完全に防ぐことはできないためです。つまり、車内での位置を安定させることと、衝突時の安全を担保することは別の問題であり、その点を切り分けて伝えています。慎重な表現にも感じられますが、製品の役割と限界を正確に伝える姿勢でもあります。過度な安全性をうたうのではなく「何ができて、何ができないのか」をあらかじめ示すことは、ユーザーにとって重要な判断材料になります。
同社の調査では「約半数のユーザーさんがクルマでペットとお出かけしています」とのこと。だからこそ、まずは飼い主による安全運転を前提とした環境づくりが求められています。そのうえで、こうした製品が“できる範囲でのリスク低減”に寄与するという考え方は、現実的なアプローチと言えるでしょう。
もうひとつ注目したいのが、4月発売の「カーリンクハーネス」です。アメリカなどでは「ドライブハーネス」と呼ばれるもので、背中部分に設けられた取っ手にシートベルトを通す構造となっています。装着を嫌がる愛犬にも配慮し、前/横のどちらからでも装着可能な設計や、磁石付きバックルによるスムーズな着脱など、細かな使い勝手にも配慮されています。
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メーカーとしてはまだ検証は行っていないとのことですが、カーリンクハーネスも愛犬たちの安全性向上には役立ちそうな印象を受けました。
こちらも衝突安全性を検証した製品ではないとのことですが、首だけに力が集中するのを避け、広い範囲で衝撃を受け止める構造は、結果的に「もしも」の時に愛犬に加わる負担の軽減につながりそうです。いずれにしても、「完璧な安全」をうたうのではなく「現実的にできる対策」を提示し、その範囲を正直に伝える。その姿勢に誠実さと実用志向を感じました。
大型犬と快適性への徹底対応:AIRBUGGY
ペットカート市場において確固たる存在感を持つ「AIRBUGGY(エアバギー)」は、ラインアップの幅広さと完成度の高さが際立っていました。大径の「中空式エアチューブタイヤ」と3輪構造、高剛性なアルミフレームによる高い安定性と「押し心地」の良さが同ブランドの特徴です。また、都会的なデザインと日常的な使い勝手の良さが、多くのユーザーに支持されています。
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都会的なデザインと押し心地の良さでファンが多いのがエアバギーです。
なかでも印象的だったのが、大型犬対応の「キューブシリーズ」。耐荷重80kgという超大型犬対応モデル「エアクルーザー」は、例えばセントバーナードのような大型犬にも多くのケースで対応できるでしょう。同シリーズには、耐荷重25kg、同45kg、同55kgと4つのサイズがラインナップされており、小型犬の多頭飼いや中型犬なども含めた幅広いニーズに対応しています。
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エアバギーは大型犬に対応したカートのラインアップが充実しています。
こうした製品ラインアップは他のブランドではあまり見られません。大型犬の場合、加齢やケガによって移動が困難になるケースも多く、カートは生活の質を支える重要なツールになり得ます。担当者によれば「カートに慣れさせるために、子犬のころに購入される飼い主さんも増えています」とのことでした。
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エアバギーブース最大の特徴は会場内でメンテナンス/修理サービスを実施しているところです。
これからの季節に大切な暑さ対策として提案されていたのが「スマートファン」です。肉球以外からは汗をかかない犬の場合、扇風機単体では暑さ対策に限界があります。この製品はミストと送風を組み合わせることで、気化熱を利用して効率的にカート内部の温度を下げるコンセプトとのことです。コット内の温度を最大で6〜8℃下げる効果があるとされており、実用性の高さがうかがえます。
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スマートファンは気化熱を利用してコット内の温度を下げる仕組みを取り入れているそうです。
愛犬が濡れないよう、ミストの発生と送風を自動制御する設計や、スマートフォンによる操作など、細部まで配慮がされています。さらに、オゾンによる除菌・脱臭機能も用意されており、使用後のメンテナンスまで含めたトータルな提案でした。(中に動物がいる状態ではオゾン発生が止まります)
また、コットの下に敷く「クールマット」は、内部のメッシュ構造とファンによる送風で熱のこもりを防ぎます。クルマにもある、シートクーラーと同じ発想です。モバイルバッテリーに対応し、カバーは丸洗いができるなど、日常使いを前提として設計されているのは飼い主にとっては嬉しいい配慮です。
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クールマットはシートクーラーと同じ発想です。駆動はポータブルバッテリーを使用します。
ペットカートは「移動インフラ」へ
今回の3ブランドに共通していたのは、ペットカートを単なる“補助アイテム”としてではなく「移動の基盤」として再定義している点でした。クルマとの連携、安全性の確保、快適性の向上とアプローチは異なりますが、目指している方向は同じです。
愛犬との移動が日常化するなかで「どう運ぶか」ではなく「どう快適に過ごすか」へと価値の軸が移りつつあることが感じられたペットカートブランドの展示でした。クルマとの一体化を追求するTAVO、現実的な使いやすさを重視するCompet、そして快適性と対応力を極めたAIRBUGGY。それぞれの提案は、愛犬との暮らし方の多様性を反映したものでもあります。
これからのペットとのドライブは、クルマだけでなく、その周辺アイテムも含めて考える時代へ。今回の展示は、その流れを明確に示していました。
(文と写真:石川 徹)
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