ファミリア、レパード、GT-FOUR……1970~1980年代の「邦画」に登場したクルマたち
名作と言われる映画の中には、クルマの存在がキーになる作品が数多くあります。代表的なのは、カーアクションが劇中に欠かせない『007シリーズ』でしょうか。洋画だけではなく、邦画に目を移してもそれは変わりません。そこで、邦画の有名作品の中からクルマの活躍が印象的な作品を、クルマとともにご紹介します。
『幸福の黄色いハンカチ』(1977年):マツダ・ファミリア
高倉健さん演じる、刑期を終えた元炭鉱夫の島勇作が、元妻である光枝(倍賞千恵子さん)の気持ちを確認するために、失恋してヤケになった花田欽也(武田鉄矢さん)らと夕張へ向けて旅へ。その間に巻き込まれる、さまざまな問題を乗り越えていくのが、同作のストーリーです。健さんの熱演や、武田さんのデビュー作であるという点に注目されがちですが、実はこの作品、クルマで旅をする「ロードムービー」の要素が強い作品です。
劇中で重要な役割を果たすのが、マツダ・ファミリア。ファミリアとしては、4代目に当たるモデルです。花田の愛車として登場し、劇中では、鮮やかな赤が印象的。地平線も見える北海道のシーンとの相性もバッチリで、車内での島、花田、朱美(桃井かおりさん)のなにげない会話劇も、この映画の見どころのひとつとなっています。
『サーキットの狼』(1977年):ポルシェ・カレラRS
池沢さとしさんの漫画『サーキットの狼』の実写映画作品で、原作同様にスーパーカーを用いた派手なレースシーンが見どころです。当時のスーパーカーブームをけん引した、有名作でもあります。
劇中には、ロータス・ヨーロッパや日産・フェアレディZ、シボレー・コルベット、ランボルギーニ・カウンタックなど、そうそうたるスポーツカー/スーパーカーが登場しますが、もっともインパクトがあるのは、ポルシェ・カレラRSでしょう。佐藤仁哉さん演じる、主人公のライバル(早瀬佐近)が乗るカレラRSが登場するシーンは、
今では映像化が不可能な強烈なシーンばかり。チーム名やその振る舞いも、現代では作中に登場させることはできないであろうもの。気になる人は、ネットで検索してみてください。
「スローなブギにしてくれ」(1981年):フォード・マスタング
「ムスタングおじさん」と呼ばれる、妻子と別れて暮らす中年男性(山崎努さん)と、家出少女のさち乃(浅野温子さん)、バイクを乗り回して気ままに暮らすゴロー(古尾谷雅人さん)の3人を中心に、奔放な少女に振り回される男たちの弱さと優しさを描いた作品です。
キーになるクルマは、「ムスタングおじさん」のあだ名のとおり、白いフォード・マスタング。洗練されたデザインのマスタングに乗っている、キザなセリフを吐く「イケてるおじさん」のイメージが、終盤に近づくほどに、どんどんクルマに不釣り合いな“ダメなおっさん”になっていくのが、本作の見どころです。
『私をスキーに連れてって』(1987年):トヨタ・セリカGT-FOUR
同作は、公開後にスキーブームやアマチュア無線人気の火付け役として知られるようになりましたが、実は「4WD車=無骨なクルマ」という一般的なイメージを覆した作品でもありました。
主人公格の池上優(原田知世さん)、矢野文男(三上博史さん)のスキー仲間である、佐藤真理子(原田貴和子さん)と羽田ヒロコ(高橋ひとみさん)が乗る、セリカGT-FOURがその立役者終盤、路面を確認して「凍ってるね」から始まる雪上での激走シーンは、もはや伝説的。渋滞を回避するために、凍った路面で急ハンドルを切ったセリカは、山の斜面を走り、渋滞していた道をジャンプしてショートカット! さすがにこれを真似する人はいませんでしたが、4WD車のイメージを大きく変えることとなりました。
『さらば あぶない刑事』(2016年):日産・レパード
港警察署捜査課の刑事コンビ、タカこと鷹山敏樹(舘ひろしさん)とユージこと大下勇次(柴田恭兵さん)の破天荒な活躍を描いた、「あぶデカ」シリーズ。2016年に放映された『さらば あぶない刑事』は、その最新作にして、現状では最終作に位置づけられている作品です。複数ある同シリーズの劇場版の中でも、この作品は特にクルマのシーンが目立っています。
1980年代当時の「あぶデカ」シリーズといえば、ゴールドの日産・レパードでのカーチェイスや銃撃シーンが定番でした。2016年の最新作では、タカとユージは冒頭からゴールドフレークレッドパールの日産・GT-Rに乗って、派手に立ち回ります。最新のGT-Rが走るシーンはたしかにカッコいいのですが、タカとユージと言えばやっぱりレパード。ちょっと残念に映画を観ていると、終盤に長年連れ添った愛馬のレパードが登場するシーンが! 長年のファンの期待を裏切らない演出に、制作陣の意気込みを感じさせてくれます。
今回は1970年代~1980年代の作品を中心に紹介してきましたが、2010年代に入っても実写版『ルパン三世』には、フィアット・500が登場していましたし、今年の6月にはラリー競技をテーマにした『OVER DRIVE』も公開され、トヨタ・ヤリスや三菱・ランサーエボリューションXなどが活躍していました。これからも、さまざまな映画の中で、クルマは重要な役割を担っていくことでしょう。
(文:斎藤雅道 編集:木谷宗義+ノオト)
[ガズー編集部]
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