子どもの降ろし忘れを防ぐセンサーも!? アメリカのクルマに備わるビックリ装備5選
2008年までは世界最大の自動車市場だったアメリカ合衆国。広大な国土を自由に移動するための手段として自動車が普及し、独自のクルマ文化が発展している場所です。
そんなアメリカのクルマ文化で興味深いのが、同じ国内でも地域によって装備が異なること。中でも北米向け車両には他の地域ではほぼ見られない装備があります。今回は、いかに便利なカーライフを送るかを考えた“ものぐさ”なものから、子どもを守るための機能、そして現地の治安を反映したアイテムまで、気になる5つのアイテムを紹介しましょう。
ガレージのシャッターを車内から開閉するリモコンスイッチ
アメリカの映画やドラマを見ていると、郊外の一戸建てには立派なガレージがあることも珍しくないですよね。そして出かける際は、クルマをガレージから出すとシャッターが勝手に閉まり、帰宅時はガレージにクルマが近づくとシャッターが上がるシーンを見かけることもあります。
クルマから降りてシャッターの操作をしている様子がないのに、なぜシャッターが閉じたり開いたりするのか? 実は、アメリカでは多くのクルマにガレージの電動シャッターを開閉するリモコンが組み込まれていて、クルマの中から電動シャッターを操作できるのです。また、広い一軒家では入り口のゲートを車内からリモコンで開閉できることも。スイッチの場所はルームミラー付近やサンバイザーなど、運転席から手が届きやすい場所に付いているのが一般的です。これは便利。
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ガレージの電動シャッターはクルマのリモコンから操作できることが多い。(写真:フォード)
どこでも電波が届く衛星ラジオが長距離移動で大活躍
クルマでの移動中はラジオを聴く人も多いですよね。しかし、長距離移動のときはちょっとわずらわしいことが。FMラジオは電波の届く範囲が限られるので、遠くまで移動する際など頻繁にFMラジオの周波数を変更しなければならない状況が生まれます。移動距離が長く、日常的にクルマで長距離移動するアメリカではそのわずらわしさがさらに顕著。そこで活躍するのが「衛星ラジオ」です。
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「XM」が衛星ラジオ放送。上級車種では衛星ラジオが車両に組み込まれていることも。(写真:工藤貴宏)
衛星ラジオはテレビの衛星放送と同じく宇宙にある衛星から電波を受ける仕掛けで、一般的な地上波のラジオに比べて受信できる範囲が広いのが特長。だからチャンネルをセットすると目的地までどれだけ走っても電波が届くので、チャンネル変更の必要がないという優れもの。さすが国土が広大なアメリカ。
キーのボタンでけたたましくクラクションが鳴る緊急アラーム
アメリカでクルマを運転したことがある人は、キーを受け取ったときにキーに不思議なボタンが付いているのに気がついたかもしれませんね。「PANIC」と書いてあることもあるし、スピーカーのマークや「!(ビックリマーク)」だったりもします。中には、ボタンが赤くて目立つようになっていることも。
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日産の北米向けモデルのキー。一番下にスピーカーのアイコンを描いたボタンがある。(写真:工藤貴宏)
このボタンは通称「パニックボタン」と呼ばれ、クルマの近くで襲われたときや異変に気付いたときなどに押すもの。ボタンを押すと、クルマはホーンを鳴らすと同時にヘッドライトを点滅させるなど周囲に「緊急事態」を知らせる働きをします。いわば、車載の防犯ブザーのようなもの。日本では考えもつかない、現地の治安を反映した機能といえるでしょう。
ところでこのパニックボタン、もうひとつの使い方があります。それはショッピングモールなどの広大な駐車場で自分のクルマの駐車場所がわからなくなったとき。探しても探しても見つからず“どうしてものとき”は、このボタンを押して一瞬だけホーンを鳴らしたりヘッドライトを点灯させ、車両の駐車位置を確認するのです。
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マツダの北米向け車両のキーは、一番下に「!」と刻んだボタンがある。(写真:工藤貴宏)
ただし、このボタンはむやみに押してはいけません。「なんだろうこのボタン?」なんて押してしまうと、クルマが突然ヘッドライトを点滅させながらけたたましくクラクションを鳴らし、ボタンを押した人自身がパニックになってしまいますから(笑)。
後席に子どもを置き去りにしないための注意喚起
日本でもときどき発生しますが、アメリカでも起こるのが「後席にうっかり子どもを置き去りにしてしまう」こと。目的地に着いたとき、子どもを乗せていることを忘れて後席に乗せたまま、大人がクルマを離れてしまうアクシデントです。最悪の場合、脱水症状などで子どもの命を失うことも。
それを防ぐアイデアとして、日産が北米で販売する12モデルに展開している「リアドアアラートシステム」というのがあります。走行する前(出発時)にリアドアが開閉されたにもかかわらず、走行後にリアドアが開かれない場合はエンジンオフ時にインパネのディスプレイにメッセージを表示。それでもリアドアが開けられずにドライバーがクルマを離れるとクラクションを鳴らして注意喚起するのです。子どもの置き去りを防ぐだけでなく、ペットや買い物した荷物の置き忘れにも効果がありますね。
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リアシートの確認を促すメッセージがメーターに表示される。(写真:日産自動車)
掃除機までクルマに組み込んじゃう!
「自動車メーカーが純正採用として車載したのははじめて」として、北米仕様「ホンダ・オデッセイ」の2014年モデルに組み込まれた驚くべき装備。それが掃除機です。
掃除機は荷室の側面に組み込まれ、紙パックやフィルターを使わないタイプ。ホンダによると「強い吸引力を備え、車内の隅々まで掃除できる」とのこと。「エンジン始動中に使えるほか、エンジンを切った状態でも8分間は使える」そうです。
掃除機なんて家から持ち出せばいい、もしくはガソリンスタンドやコイン洗車場で掃除すればいい……なんて思いがちですが、そんな常識も変わってしまうかもしれませんね。
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2014年モデルの北米向けオデッセイに組み込まれた車載掃除機。(写真:ホンダ技研工業)
「ところ変われば品変わる」。よく使われる言葉ですが、ユーザーに喜ばれるクルマの装備も国や地域によって違いはあるようです。かつては、ドリンクホルダーが「日本車では普通だけど海外のクルマではほとんど見かけない」なんていう時代もありましたが、いつの間にかどの国のクルマにも付くようになりましたね。みなさんは、海外の特定の地域のクルマだけに備わる装備で何か思い浮かぶものはありますか?
(文・写真:工藤貴宏/写真:工藤貴宏、フォード、日産自動車、ホンダ技研工業/編集:奥村みよ+ノオト)
[ガズー編集部]
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