GAZOO写真教室 19限目 24時間レースや長時間の耐久レースは夕方から夜明けまでがキモ ~クルマをかっこ良く撮りたい!こそっとスキルアップ!~
今年57年振りに、富士スピードウェイで24時間レースが行われた。天候にも恵まれ、夕日から朝日までを臨むべく全ての状況で撮影ができたと言える。その24時間レースをどのように撮影したか、特に夕景から夜明けまでをフィーチャーしてまとめてみた。来年の参考になればと思う。
- 写真1
今回は、富士スピードウェイの24時間をテーマとして撮影に望んだ。富士24時間は、ル・マン24時間を踏襲する形で午後3時にスタートした。この時期(6月)の夕景は16時30分くらいから、準備を始めるのが良いだろう。
富士スピードウェイの象徴は、言うまでもなく富士山だ。写真1は夕暮れをバックに富士山とテールライトを光の線にして、走行するクルマを表現した。これは空の明るさと、影になっているコースとの露出差を考えた表現方法だ。撮影データは「6Sec、F32」。本来もっと遅いシャッタースピードを選びたいのだが、ISO 50設定でもこのシャッタースピードしか切れなかった。次回は、NDフィルターも視野に入れるべきなのかもしれない。
- 写真2
写真2は、20時に花火が上がるということで、ヘアピンコーナーの観客席から撮影した。撮影データは「25Sec、F16、ISO 100」だ。本来このシャッタースピードでは、花火は形を失ってしまう。とは言えシャッタースピードを上げると、クルマの光の線が写らない。このジレンマを、スマホで解決した。シャッタースピードを25秒に設定しミラーアップ撮影を選択。画面の上半分を黒いスマホで隠し花火が開いた瞬間(約1秒)露光をかけ、あとは閉じっぱなしにする。そして下半分は露光をかけっぱなし、花火と光の線の露出差をなくしてあげたわけだ。
- 写真3
写真3は、ダンロップコーナーで撮影したもの。撮影データは「20Sec、F22、ISO100」。光の線でクルマの走行を表現する場合、ストレートより曲がりくねった感じの方が好ましい。スピードウェイで、最もこの条件に合ったのがこのポイントだ。
- 写真4
そして、富士スピードウェイを表現するのに、最も適したポイントが写真4の最終コーナーだ。グランドスタンドやコントロールタワーを入れ込むことで、テーマでもあるスピードウェイを表現した。撮影データは「25Sec、F36、ISO100」だ。
夜間撮影では、カメラを三脚に据え付けることとミラーアップモードにすることは不可欠。これをすることで、ブレを抑えることができるからだ。それとあまり長い時間露出をかけると、ノイズが乗ってくるので30Secくらいまでに抑えておくこともポイントだ。
- 写真5
同じ夜間撮影でも、クルマを主題に置いた時はクルマの形をしっかりと見せたいので、速いシャッタースピードを切りたい。写真5の撮影データは「1/125Sec、F5.6、ISO 16000」だ。僕の使用するカメラは、キヤノンEOS 1DXだが、高感度撮影にかなり強い。このくらいのISO感度でも、何とか使用に耐える(雑誌での使用)写真が撮影可能だ。ただし写真のように、後続車のヘッドライトが当たりクルマのフォルムが見えることが条件となる。そして強烈なブレーキングにより、ローターが真っ赤に焼けることがアクセントになっている。
- 写真6
写真6は、夜が明ける直前に撮影した。撮影データは「1/250Sec、F7.1、ISO 2000」だ。夜明け直前は、光が青赤くなる時間がある。これは色温度の関係で、カメラが感じる色なのだろう。肉眼よりも、綺麗に見えることがある。こればかりは、計算できないのでシャッターを切るしかない。
- 写真7
写真7は、僕が最も好きな時間、日が昇る瞬間前後だ。明け方の空は、空気が澄み気温も低く、水蒸気が少ないためクリアな青が印象的になる。夕焼けと違って、朝焼けは青い部分が多いのが特徴だ。撮影データは「3.2Sec、F16、ISO50」だ。
- 写真8
最後に写真8は、朝焼けの富士山をバックに優勝車を撮影したもの。撮影データは「1/640Sec、F6.3、ISO 400」。朝日を浴びて赤く染まる富士山をバックに配した。もちろん後付けだが、優勝者をここで撮りたいと思った写真。思った通り富士山が赤く染まり、冨士24時間レースを象徴する写真となった。
今年、僕はこのように24時間を撮影した。睡眠は、日曜日の朝8時から2時間ほど取った。本当に天気に恵まれ、寝る暇なく撮影した。今後もこのレースは続くと思うが、これほど条件が整うことは稀だろう。皆さんも、このように条件が良い時は頑張ってシャッターを切り、レースも撮影も楽しんでもらいたい。
(写真 / テキスト:折原弘之)
折原弘之
F1からさまざまなカテゴリーのモータースポーツ、その他にもあらゆるジャンルで活躍中のフォトグラファー。
作品は、こちらのウェブで公開中。
http://www.hiroyukiorihara.com/
レポーター(お)ねえさん・大谷幸子
随時、クルマに関する様々なイベント・テーマでレポートしていきます!
[ガズー編集部]
15限目 基本に立ち返り、写真力の地力を上げよう
14限目 紅葉と愛車を撮ろう!
13限目 光と影、ワンランク上のインスタ映えする写真の撮り方
12限目 流し撮り上級編
11限目 流し撮りにチャレンジしてみよう! その2
10限目 サーキットに出かけよう!
9限目 コンパクトデジタルカメラでも充分カッコいい!!
8限目 夜景の撮り方
7限目 冬は、マジックアワー
6限目 広角と望遠レンズを使ってみよう
5限目 スマートフォンで愛車を撮る
4限目 こんな撮り方もある!ポイントを絞り込んで撮影しよう!
3限目 流し撮りにチャレンジしてみよう!
2限目 クルマをかっこ良く撮りたい!こそっとスキルアップ!
1限目 クルマをかっこ良く撮りたい!こそっとスキルアップ!
最新ニュース
-
-
ホンダ『プレリュード』、米国でも25年ぶりに復活へ…次世代ハイブリッド車として2025年投入
2024.12.22
-
-
-
名機・A型エンジン搭載の歴代『サニー』が集結…オールサニーズ・ミーティング
2024.12.22
-
-
-
軽自動車サイズの布製タイヤチェーン「モビルシュシュ」が一般販売開始
2024.12.22
-
-
-
スバル「ゲレンデタクシー」5年ぶり開催へ、クロストレックHVが苗場を駆ける
2024.12.22
-
-
-
「カスタマイズは人生に彩りを与える」、東京オートサロン2025のブリッツは『MFゴースト』推し
2024.12.22
-
-
-
ヒョンデの新型EV『インスター』、東京オートサロン2025で日本初公開へ
2024.12.22
-
-
-
スズキ『スイフト』新型のツートンカラーが「オートカラーアウォード2024」特別賞に
2024.12.21
-
最新ニュース
-
-
ホンダ『プレリュード』、米国でも25年ぶりに復活へ…次世代ハイブリッド車として2025年投入
2024.12.22
-
-
-
名機・A型エンジン搭載の歴代『サニー』が集結…オールサニーズ・ミーティング
2024.12.22
-
-
-
軽自動車サイズの布製タイヤチェーン「モビルシュシュ」が一般販売開始
2024.12.22
-
-
-
スバル「ゲレンデタクシー」5年ぶり開催へ、クロストレックHVが苗場を駆ける
2024.12.22
-
-
-
「カスタマイズは人生に彩りを与える」、東京オートサロン2025のブリッツは『MFゴースト』推し
2024.12.22
-
-
-
ヒョンデの新型EV『インスター』、東京オートサロン2025で日本初公開へ
2024.12.22
-