No Attack No Chance 夢に向かって ~コロナ禍のアメリカで修行中のメカニックからの便り その2~

  • 写真 Chris Owens /IMS PHOTO

2021年オフシーズンテスト・セブリング・インターナショナル・レースウェイ

では、アメリカのINDYCARのチームRahal Letterman Lanigan Racing(以下、RLL)で修行中の須藤翔太くんからのレポートの続きです。一人暮らしも長くなると、料理も上手で母さんとしては驚く訳です。異国の地でも、コロナ禍でも、自分で楽しみも見出しているようで心配ないかな。プライベートもチラ見させてもらっています。それでは、どうぞ!

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2020年INDY500

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2020年INDY GP・インディアナポリスのロードコース

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2020年INDY500

所属チームについて

現在、所属しているRLLはINDYCARのチームの中では中小規模のチームです。レースが好きな人なら一度は耳にしたことがある有名なチーム、Andretti、Ganassi、Penskeと比べたら小さいチームです。(※この3チームの規模はかなり大きいです)

所属するチームは、チーム名 [Rahal Letterman Lanigan Racing]にもあるようにBobby Rahal、 David Letterman、Mike Laniganの3人の共同チームオーナーからなるチームで、1992年に活動を開始しています(※現在の3人共同オーナーになったのは2011年より)。現在、インディアナ州にINDYCAR チーム、オハイオ州にIMSAチームと二つのカテゴリーに参戦をしています。2022年初頭にはインディアナ州ザイオンズビルに東京ドーム1.5個分の土地に新社屋を竣工し、2つ別々だった拠点が1つに集約されます。

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2020年INDY500優勝後のショップ

  • 写真 須藤翔太

2020年INDY500優勝後ワーキングベイに飾られたフラッグ

INDYCAR チームがあるインディアナ州ブラウンズバーグのショップのメンテナンスベイには、各ドライバーのロード・ストリート用とスピードウェイ用の2台のクルマを置いています。また、トランスポーターもショップの中にあり、またピットストップ練習のためのスペースや動くマシンなどもあります。チームのSNSやYouTubeを見ていただければサイズ感はなんとなく分かっていただけるかと思います。

○ショップ紹介
https://www.youtube.com/watch?v=G6dPUP9OuWA&t=6s

○トランスポーター紹介
https://www.youtube.com/watch?v=greByE3NG0g

○Pits stop practice
https://www.youtube.com/watch?v=PJRvq1AAZhc 

※すべて2019年のものです

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2020年INDY500 Winners Ring

チームはとてもいい雰囲気でみんな仲がいいですね。いつも楽しくやろうって感じなので、自分のスタイルにはかなりあっている印象です。仕事は、朝7時からお昼休憩を1時間挟んで、午後の4時までで基本残業はしません。

定時を少し過ぎた頃には、メンテナンスベイには人は誰もいません。残業もシーズン中の日程が詰まっていて、時間がどう考えても足りないときだけするくらいです。実際、日本にいたときのスピードで仕事をすると時間がものすごく余るくらいに感じるので、今は適度にバランスを取りながら取り組んでいます。

仕事の仕方は、それぞれに専門分野の人たちがいて分業で行っています。イメージとしてはF1チームのような細かい分業制のような感じでしょうか。分業している分、一つの事柄に対して多くの時間を割くことができるので、クルマ作りという面ではかなり良い環境です。

今シーズンの仕事の内容

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2020年セントピーターズバーグ・フロリダにて

今シーズンから30号車 佐藤琢磨選手のフロントエンドのメカニックになりました。シーズンを通してタイヤ交換もやる予定です。昨年まではショップベースのメカニックで3台目のドライバーがスポットエントリーするときの3rdカーのメカニック兼シーズンエントリーの2台のサポートメカニックでした。

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2021年オフシーズンテスト・セブリング・インターナショナル・レースウェイ

今年は日本人同士、琢磨選手と共に昨年よりも良い成績を残せればと思っています。僕自身の一つの夢でもあった海外で琢磨選手のクルマのメカニックとして活動できるので、非常に楽しみです。そして、昨年はCovid-19の影響で無観客、スケジュールの変更・キャンセルなどもありましたが、琢磨選手のINDY500 、2勝目、エントリーしている2台のドライバーズランキングも6位と7位と良い成績を収めているので、引き続き頑張ろうと思っています。

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2020年INDY500 Winners Partyにて

今シーズンは、4月18日のアラバマグランプリ(バーバー・モータースポーツ・パーク)での開幕の予定です。オフシーズンテストも残り少なくなってきましたが、開幕に向けてより良いクルマづくりをしていきます。そして、やれるだけやって良い報告をアメリカから届けられればと思っています。今シーズンもチームの応援よろしくお願いします!

アメリカ生活について

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なかなか素敵なお住まい

コロナの影響もあり渡米して来た日に、2020年の開幕戦の中止延期が決定、州でのロックダウン宣言で始まったアメリカ生活でした。この状況でビザを取得できたのはラッキーでしたが、まさか渡米してきて1カ月半、何もやることがないという事態になるとは思っていませんでした。

今現在のアメリカのコロナの感染者数は、日本と比べたら比にならないくらい多いです。
マスクをしなかったアメリカ人がしっかりマスクをしたり、イベントごとが大好きな国の人たちが親せきを集めてホームパーティーをやらなかったりの状況。みんな健康のために、今は我慢しています。すべてがという訳ではありませんが、パンデミック以前のアメリカからは想像のつかない現状です。

公共の施設(スーパーなど)を含めてすべての施設でマスクの着用義務があったり、州によってもルールが厳しかったりします。マスクをしていないとまずほとんどの店に入れてくれません。いつどこで感染するのか分からないのでいつも危険と隣り合わせです。また、所属しているチームも仕事中はマスク着用義務があります。

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おせちまで作っちゃった!料理上手でもあります

僕自身も日用品の買い物や仕事以外は、なるべく家にいるようにしています。本当は渡米してきたから行きたいところはいっぱいあるのですが、1人の軽率な行動で多くの人の命を犠牲にする可能性があるので我慢です。年末、帰国することも考えましたが、渡航リスクを考えてやめました。今年も帰国するのはビザ関係の手続きのために帰国するくらいのような気がしています。

僕は基本的にはStay homeをしています。気分で部屋の模様替えをしたり、趣味で料理をしたり、ピットワークとかのために筋トレをしたり、ここ最近1999年のインプレッサを購入したので少しずつ直しつつ、いじったりと有効に時間を使っています。このパンデミックがこれからどうなっていくかは分かりませんが少しでもこの状況が良くなって以前のような生活様式に戻れることを祈るばかりです。

No Attack No Chanceで挑戦し続けます。夢に向かって!

(テキスト:須藤翔太、編集:大谷幸子)

[ガズー編集部]