まさに富士山頂上決戦。各クラス上位だけが参戦できるTOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジ特別戦に挑戦
今シーズン、ネッツ東京レーシングから塚本奈々美選手とトヨタ86に乗りTOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジ(以下、ラリチャレ)に参戦し、C-3クラスを年間シリーズ5位で終えました。4位とは1ポイント差と惜しかったのですが、各クラスシリーズ5位以内であれば、上位のみが参戦できる特別戦にエントリーできます。今シーズンひたむきに挑んできた私たちにとってご褒美のようなラリーですが、さらに上位チームに胸を借りるつもりでひとつでも順位を上げようと挑みました。
ギャラリーステージは短くても要注意
裾野市運動公園の駐車場に設けられたサービスパークから、そのまま公園内のSS1へ。420mと短いのですが、管理道路と歩道を兼ねたルートは細く、鋭角にターンするのが難しい。さらにインにもアウトにもパイロンが設置され、タッチすれば1回につき5秒のペナルティが加算されます。また多くのギャラリーが観ている中を走るので緊張します。そしてSS1をスタート。低速で走るレッキでも曲がりにくいと思ったところは、車速を上げればもちろんさらに狭く感じます。選手のなかにはオーバースピードでコーナーに入って曲がり切れず、切り返す選手も。距離も短くターンも少ないのでペースノートはなく、コ・ドライバーの私はただ祈るのみ。奈々美選手はかなりギリギリまでインに寄せて走りました。パイロンの円錐部にはタッチしていないのですが、台座部を少し踏んでしまい10秒のペナルティとなってしまいました。C-3クラスは10台中6台がパイロンタッチしてしまうくらい、皆ギリギリまで攻めていたので、気分を入れ替えて次のSSへ向かいます。
シリーズ戦では少ないアップダウンの多いSS
通常ラリチャレのSSは、思ったより車速が上がってしまったり、ブレーキング時に制動距離が長くなってしまったり、タイヤのグリップを失いやすいことから、下りがほとんどないようレイアウトされています。ただ今回はシリーズ上位チームのみということで難易度を上げ、林道のSSの距離を伸ばすためにも下りも入れ、アップダウンの多いSSとなっていました。
今回の運営には、以前トヨタでレーシングカーやラリーカー開発のエンジニアで、WRC参戦時のサービス隊を務め、独立後は数々の国内外のラリーを走破したラリー界のレジェンド、竹平素信さん率いるチームテイクスが加わっています。地元裾野の地の利を活かし、おもしろいSSをレイアウトしてくれました。SS2は5.08kmと通常シリーズ戦の2~3kmと比較すると長め。ストレートは長くはないのですが、コーナーがリズミカルに現れ、テンポよく走れば好タイムが狙えます。このために奈々美選手は、ラリチャレ仲間と練習をし、ペースノートの作り方をシンプルにして、よりドライビングに集中できるように改善して挑んだので、コ・ドライバーの私とコンビネーションがよりうまく行き、5kmが短く感じるほどスムーズにゴールしました。しかしさすが周りが年間上位の選手たちだけあって、なかなか上位に食い込めません。
仲間と熱く楽しく競い合えるモータースポーツ
SS3は2.79kmのいつもより車速を出して走れるレイアウトでおもしろいのですが、なおさら冷静さと度胸が必要です。アップダウンを何度も繰り返し、ステアリングを持っていない私は、ジェットコースターに乗っている気分。ドライバーの奈々美さんはサーキットやドリフトの舞台で活躍しているので、そのドライビングを信頼しています。ここも大きなミスなく走り切りクラス6位、トップから3秒以内といい位置でゴールしました。午後も同じSSを繰り返しましたが、ギャラリーステージではまた5台がパイロンタッチをするなか、私たちはノーミス。続くSSも午前中とほぼ同じタイムで完走。いつもだと2本目のほうがタイムアップするのですが、これは1本目からしっかり攻めきれた証拠で初めてのことです。
結果はクラス8位でしたが、仮にエキスパートクラスに当てはめると6位のタイムでした。出走63台中22位。個人的に今シーズンは、シリーズ3位以内を目標にしていましたが、並みいる強豪を前に5位だったのは、やはり悔しいですが、初コンビの1年目としては存分にラリーを楽しみながら成長できたと実感しています。ネッツ東京レーシングならびにGR Garage東京若林の皆様に感謝しています。
そしてラリチャレに参加している選手たちと回を追うごとに仲良くなり、走り方なども教えていただいたりと、ラリチャレ仲間に感謝しています。今シーズンのラリチャレが終わっても選手有志による打ち上げにも呼んでいただき、ラリーの言葉の意味である「再び集う」を堪能しています。やはりモータースポーツ、とりわけラリチャレは、勝負はもちろん、仲間と熱く盛り上がれて最高です。ヴィッツやトヨタ86に乗っている皆さん、来シーズン、ラリチャレ出てみませんか。
- 選手有志の声掛けで今シーズンの打ち上げを開催。選手どうしで盛り上がれるのも魅力のひとつ
(写真:越智瑞穂・真壁 強・栗山尚広・ネッツ東京レーシング / テキスト:寺田昌弘)
ダカールラリー参戦をはじめアフリカ、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアと5大陸、50カ国以上をクルマで走り、クルマのある生活を現場で観てきたコラムニスト。愛車は2台のランドクルーザーに初代ミライを加え、FCEVに乗りながらモビリティーの未来を模索している。自身が日々、モビリティーを体感しながら思ったことを綴るコラム。
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