第4回 トレンドカラーってどう決まる? | プロフェッサー由美の自動車トレンド講座

自動車って、乗るのは楽しいけど最新技術はムズカシイ?
そんなアナタも大丈夫。どんな疑問にもプロフェッサー吉田由美が答えちゃいます!

第4回 トレンドカラーってどう決まる?

クラウンが“白人気”の火付け役? これからの人気色ってどんな色?

★今回のテーマ★

ファッションやコスメの世界には、シーズンごとにトレンドカラーがあります。ちなみに2015年の春夏は、アクアマリンやクラシックブルーなどの海色が流行しているみたい。確かに私もこの夏は、ブルー系の洋服ばかり選ぶ傾向があります(笑)。これと同じで、自動車にもトレンドカラーがあります。と言っても、さすがに季節ごとに違うというほどではありませんが、少しずつボディーカラーの傾向が変わっているのは確か。さて、次に流行するのはどんな色なのでしょうか?

無彩色が好まれるのは変わらないけれど、ヴィヴッドな色にも注目が

少し古いお話ですが、昭和の時代の日本では、乗用車といえば白というのが常識だったのだとか。3代目トヨタ・クラウンが「白いクラウン」というキャッチコピーで登場して、「オーナーカーといえば白」というイメージをみんなに焼き付けたそうです。公用車やハイヤーが黒だったせいか、それと対照的な色ということだったのかもしれませんね。1980年代になると、同じくトヨタのマークII 3兄弟やソアラが人気になって、いわゆる“ハイソカーブーム”が到来。普通の白よりちょっと青みがかったスーパーホワイトがもてはやされました。ところが、1990年代になるとシルバーが人気色に。一時期は40%から45%ものシェアを占めるほどにもなりました。しかし、それが最近ではまた白が盛り返してきて、世界的な流行になっています。

「白いクラウン」というフレーズとともに人気を博した3代目トヨタ・クラウンは、「高級セダン=ハイヤーや社用車」といったそれまでのイメージを崩した立役者でもあります。スポーティーな2ドアハードトップも存在しました。

理由のひとつに、クルマの下取り価格(リセールバリュー)に影響する、ということもあるのかもしれませんが、こうしてみると、自動車のボディーカラーは、どうしても無難な色が選ばれる傾向が強かったようです。その後、多少の変動はあるにしても、人気色は一貫して無彩色で、レッドやブルー、イエローなどのヴィヴッドな色はなかなか苦戦。でも、最近は少しずつ流れが変わってきているみたいですよ。

先日、4代目の新型マツダ・ロードスターに試乗しましたが、ソウルレッドプレミアムメタリックと呼ばれる赤いボディーカラーがとっても艶があってキレイ~。この色は2013年にアテンザで初採用されたものですが、今ではマツダ車全体のイメージカラーになっています。私もこの色は大好きですが、ユーザーにも好評で、デミオでは約2割がこの色だそうです。

ブランド全体でレッドのボディーカラーを訴求しているマツダ。赤系はほかの有彩色と同じく好みの分かれる色なのですが、マツダではすっかり人気色として定着しているようです。

そういえば、少し前に登場したピンクのクラウンにはビックリでしたね! あれは「モモタロウ」という名前の色で、クラウンの落ち着いたイメージを覆したいという思いが込められていたそうです。大胆なグリルデザインにピンクのボディーカラーは相当目立ちますが、期間限定で販売したところ、650台もの注文があったとか!

優れた自動車のカラーデザインを選ぶオートカラーアウォードでも、近年では明るい色がグランプリを獲得することが増えています。この賞は日本流行色協会が1998年に始めたもので、2014年12月に発表されたオートカラーアウォード2015のグランプリに輝いたのは、軽自動車のスズキ・ハスラーの3パターンのボディー/インテリアカラー。ボディーカラーはいずれも目の覚めるような明るい発色でした。

SUVタイプの軽乗用車「スズキ・ハスラー」。オートカラーアウォードに輝いたのは、パッションオレンジ×ホワイト2トーンルーフのボディーカラーと、パッションオレンジ×ダークグレーのインテリアカラーの組み合わせ、サマーブルーメタリック×ホワイト2トーンルーフおよびキャンディピンクメタリック×ホワイト2トーンルーフのボディーカラーと、ピュアホワイト×ダークグレーのインテリアカラーの組み合わせの、全3種類のコーディネートでした。

このほかにも、最近の自動車メーカーはいろいろと新しい試みを行っています。ホンダ・ステップワゴンの新色ミルクグラス・パールはほとんど白に見える薄いグリーンで、とても不思議な色。ルーフに別の色を使う、ツートンカラーのオシャレなモデルも増えています。個人的に注目したいのは、つや消しのボディーカラー。MINIが出したマットブラックの特別仕様車は、独特の雰囲気を持った迫力のあるモデルです。

また、同じ色調の色でも種類はたくさんあって、例えばレクサスRCは、シルバー・グレー系だけでもマーキュリーグレーマイカ、プラチナムシルバーメタリック、ソニックチタニウムの3種類をラインナップ。青と赤には特殊な塗装技術を反映して、ヒートブルーコントラストレイヤリング、ラディアントレッドコントラストレイヤリングという長い名前が付けられています。名前といえば、最近はボディーカラーに和風の名前のものもあります。トヨタ・パッソには、アズキマイカ、キナコメタリックというおいしそうな色が用意されています。

​ボディーカラーにヒートブルーコントラストレイヤリングが用いられたレクサスRC F。色の名前に使われているコントラストレイヤリングとは塗装の技術を表したもので、表面だけでなく中間層にもクリアコートを施した5層構造になっているのだとか。

いずれのボディーカラーも、メーカーが各時代の世相やユーザー層の嗜好(しこう)を調べ、クルマを通してそれに応えようと吟味を重ねて開発したものです。過去に例を見ないほどにバラエティー豊かとなった昨今のトレンドは、私たち自身の好みの多様化によって生まれたものなのかもしれません。

同じクルマでも、ボディーカラーが違うと印象はガラッと変わります。アナタも色で少し冒険してみると、カーライフが楽しくなるかもしれませんよ!

★用語解説★

白いクラウン
1967年に登場した3代目トヨタ・クラウンのCMでは、真っ白な雪の中を白いクラウンが走り、「白いクラウン、ハイライフ・セダン」と歌っています。家族旅行の様子を描くことで、このクルマがオーナーカーであることを印象づけました。

スーパーホワイト
1981年に初代トヨタ・ソアラで初めて採用された色で、特徴は従来の白塗装より大幅に上げられた明度にあります。翌年にはマークII、チェイサー、クレスタにもこの色が設定されました。

モモタロウ
2012年12月のトヨタ・クラウンの記者発表会では、ピンクのクルマにどよめきが起きましたね! モモタロウと名付けられた新色は、メキシコの建築家、ルイス・バラガンの建築にインスパイアされたものだそうです。

オートカラーアウォード
自動車のカラーデザインを対象にした表彰制度で、国際流行色委員会に参加する日本流行色協会(JAFCA)によって1999年に開始されました。第1回の受賞車は、スパークリングゴールドメタリックのトヨタ・ハリアーでした。

★ここがポイント★

​私自身のクルマ遍歴を振り返ってみると、最初に買ったクルマがブラックで、レッド、オレンジと乗り継いで、……めぐりめぐって、このところは、白いボディーカラーがマイブーム。

と言うのは、とても綺麗な白いボディーカラーが増えたから。ひと言で「白」と言っても、バリエーションは豊富。最近はソリッド系の白に加え、パールの入ったキラキラした白も多くなってきたみたいですね。

2014年の統計では、世界のクルマのうち、白いボディーカラーのものは約29%。次にブラックが19%、シルバーが14%と続きます。はなやかな色が増えたとはいえ、無彩色が人気なことには変わりありません。

白はどんなファッションでも合わせやすいということもあり、つい選んでしまうのはわかります。女性にとってはレフ板効果があり、綺麗に見える色でもあります。色彩のある色もいいですが、これからも“トレンドナンバーワン”の座は、不動の白……という状態は、まだ当分続きそうです。

(文=吉田由美/写真=田村 弥、郡大二郎)

[ガズー編集部]

MORIZO on the Road