第13回 軽自動車はこれからどうなる? | プロフェッサー由美の自動車トレンド講座

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第13回 軽自動車はこれからどうなる?

人気はトールワゴンだけじゃない? スポーツタイプも続々登場!

★今回のテーマ★

2014年、国内新車販売台数に占める軽自動車の割合がついに4割を超えました。販売台数自体も3年連続で増加しており、当時は軽の勢いがホントにすごかったのを覚えています。ところが2015年になると一転して販売はダウン。今は冬の時代なのかもしれません。日本が誇る独自規格のミニカーは、今後どう変わっていくのでしょうか?

クロスオーバーSUV、オープンスポーツなど、多様なモデルが続々登場

2015年4月から軽自動車税が引き上げられ、年間7200円から1万800円になりました。前の年から消費税も上がっていますし、低価格で維持費が安いことが売りだった軽自動車は、苦戦が続いています。

そんな中でもやはり売れ筋なのはトールワゴンやスーパートールワゴンですね。2016年1月の軽自動車販売台数を見ると、ダイハツ・タント、ホンダN-BOXとこのタイプが1位、2位にランクイン。販売台数も1万台超えで、根強い人気がうかがえます。

一方で注目したいのは、5位にランクされたスズキ・ハスラー。2014年に発売されたクロスオーバーSUVタイプのモデルで、これまでになかったデザインで大人気になりました。ベースになったワゴンRは7位ですから、派生車種のほうが売れているのです!(驚) 私もハスラーが出た時には新鮮なフォルムに引きつけられました。今でも、軽の世界に新しい可能性をもたらした革命児だと思っています。

かつては不動のベストセラーだった軽ハイトワゴンのスズキ・ワゴンRですが、今ではSUVタイプの派生モデル、ハスラーの方が人気を博しています。ユーザーの好みの変化がうかがえますね。

その後、ダイハツからもクロスオーバーやスポーツモデルなど、3つのテイストでバリエーション展開する個性派モデル、キャストが発売されました。また、ホンダからはN-BOXスラッシュが出ています。トールワゴンの屋根を切り落としてクーペライクに仕立てたモデルで、『アメリカン・グラフィティ』の世界を再現したインテリアやハワイの空と海をイメージしたデザインパッケージなどを用意。これはもう、軽のスペシャルティーと言ってもいいですね。

オープンスポーツも2台登場しています。2014年にダイハツ・コペンが復活し、2015年にはホンダからS660が発売されました。1990年代前半の軽スポーツカーブームから20年が過ぎてのリバイバルです。生産台数が限られていることもあって納車が追いつかず、S660は2016年2月の段階ではオーダーすらできない状況になっています。

スポーツカーということでは、スズキ・アルト ワークスが15年ぶりに帰ってきたことも話題です。同じアルトのスポーティーグレードでも、ターボRSのトランスミッションは“2ペダル”だけでしたが、ワークスには専用設計の5段MTが用意されています。乗ってみると、パワフルで荒々しい。レカロシートも装備されていて、“運転好き”にはたまらないのではないでしょうか。

左から順に、ホンダS660、スズキ・アルト ワークス、ダイハツ・コペン。ほかのモデルと比べてたくさん売れているわけではありませんが、どのクルマもファンから根強い支持を集めています。

こうやって見渡すと、軽自動車がバラエティー豊かな品ぞろえになっていることがわかります。昔のように、スズキ・ワゴンRとダイハツ・ムーヴだけが突出して売れる状況ではなくなりました。少しでも人と違うクルマに乗りたいという気持ちが、軽のユーザーにも広まってきたみたいです。

これからはさらに多様化が進んでいくと思いますが、各メーカーが新ジャンルにチャレンジすれば、軽自動車の世界はもっともっと魅力的になるはずです。そのためにはボディーカラーを増やしていくことも大切。ハスラーは明るいピンクやオレンジなどをそろえて、オートカラーアウォードでグランプリに選ばれました。人気の白やシルバーも相変わらず根強い人気ですが、カラフルなバリエーションがあったほうが楽しいですよね。

色が豊富な軽自動車といえばダイハツ・ミラ ココア。ボディーカラーは15種類。パネルカラーとシートカラーがそれぞれ3種類。仕様に応じた外装デザインの違いも組み合わせれば、実に160種類(!)のバリエーションの中から、自分好みの一台をコーディネートできます。

専用色やスペシャルなデザインをまとった特別仕様車は今でも多いのですが、昔は芸能人とのコラボバージョンもありました。例えば1980年代に人気だった「麻美のフェミナ」というアルト。当時、大人の魅力で人気があった小林麻美さんをイメージキャラクターにした女性仕様車で、回転ドライバーズシートを備えていました。フェミニンな内装にお買い得装備を付けて、女性に人気だったようです。ファッションビルのパルコのイメージを借りた「ミラパルコ」というものもありました。

今ならどんなコラボが可能でしょうか。嵐は日産のCMに出演していましたから、デイズの嵐バージョンを作れそうです。スズキのCMに出ているTOKIOはDASH村のイメージが強いので、ジムニーとかキャリイのアドバイザーに就任するのがいいかもしれません。EXILEは、トールワゴンのカスタム系が似合いそうですね。

芸能人と軽自動車のコラボレーションといえば、2010年にホンダから浜崎あゆみとのコラボレーションによるゼストのスタイルパッケージが登場しています。

女性仕様車なら、きゃりーぱみゅぱみゅモデルも見てみたいですね。ポップでオシャレなモデルになりそうです。ヘッドライトに飾り付けした「つけまバージョン」なんていうのはいかがでしょう。もっとインパクトということで考えたら、小林幸子さんモデル! 透明なシフトノブの中に巨大衣装に身を包んだ小林幸子さんが浮かび上がるとか、金ピカで派手なモデルが作れそうなので、考えただけでもわくわくします。

軽自動車メーカーの皆さん、いかがですか? 芸能人コラボモデルを企画するなら私がご相談に乗りますよ(笑)。

★用語解説★

軽自動車税
軽自動車はサイズやエンジンに制限がありますが、それと引き換えにいろいろな優遇が受けられます。例えば税金。軽自動車には年間1万800円の軽自動車税が適用されます。これでも増税されたのですが、登録車の自動車税は一番安くても2万9500円。まだまだお得ですね。

軽スポーツカーブーム
ホンダは1991年にミドシップの軽オープンカー「ビート」を発売。これに呼応するようにスズキがFRの「カプチーノ」、マツダがガルウイングドアを持つ「AZ-1」を投入しました。3台合わせて「平成ABCトリオ」なんて呼ばれていました。ブームがすぐ終わってしまったのはちょっと残念です。

アルト ワークス
1987年に登場したスズキ・アルトのスポーツバージョンです。DOHCインタークーラーターボエンジンを搭載して、派手なエアロパーツを装備していました。2000年を最後にラインナップから消えていましたが、復活を望む声がたくさん寄せられて、ついに発売することになったそうですよ。

ミラパルコ
1980年代はパルコがファッションビルの代表的存在でした。そのイメージに乗っかる形で1985年に女性向けのモデルとして登場したのがダイハツ・ミラパルコ。「乗ればホリデイ ミラパルコ」という楽しそうなCMが印象的でした。今なら「ミラ109」といったところでしょうか。

★ここがポイント★

軽自動車といえば、今一番の話題はやっぱりアルト ワークスですね。ターボRSも出来のいいクルマでしたが、やっぱりワークスの名を切望する人が多かったようです。昨年秋の東京モーターショーに予告なしで出展され、「一番のサプライズ!」と喜んでいる人がたくさんいましたよ。

ホンダS660はマツダ・ロードスターと日本カー・オブ・ザ・イヤーを争ったモデルです。「ビートの後継車」、はたまた「S600の再来」といわれ、ホンダらしいクルマだとしてクルマ好きを喜ばせました。

軽自動車は日本独自の規格で、ガラパゴス化だとして軽んじる人もいます。でも、制約の中でしのぎを削った結果、日本のメーカーは自動車の小型化技術で世界をリードしています。フォルクスワーゲンがスズキの技術を欲しがったほどですから。

都市部にいるとわかりにくいのですが、地方では軽自動車が主流と言ってもいいほど、手軽な足として愛されています。バリエーションが増えることで、ライフスタイルに合ったモデルを選べるようになるのはステキなことですね。

(文=吉田由美/写真=小林俊樹、田村 弥)

[ガズー編集部]

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