ユーノス・コスモ (1990年~) バブル時代の名車たち14話

生産:1990年 ~1996年

幸か不幸か実現しなかったが、北米向けにV12エンジン搭載の超高級サルーンまで企画するなど、拡大路線をひた走っていたバブル期のマツダ。国内で5チャンネルもの販売網をそろえていた1990年当時、ユーノス店のフラッグシップとして登場した高級パーソナルクーペが4代目コスモ。全長4.8mを超える大柄なボディーに、上級グレードは大食いだが超絶スムーズな3ローター・ツインターボエンジンを搭載していた。

仔牛10数頭分の本革を使ったという、贅(ぜい)を尽くしたインテリアも見どころだった。イタリア産のウッドパネルを隠し味的にあしらったダッシュに、イグニッションをONにすると浮かび上がってくるメーター類、世界初採用となるGPSカーナビのディスプレイはタッチパネル式のスイッチも兼ねるなど、最先端のハイテク装備も満載していた。

最上級グレードの新車価格は500万円超だったが、約5年間の生産台数が1万台未満では、開発コストを含めた採算はどう考えても赤字。渋滞にハマるとリッターあたり3km以下という極悪の燃費なども含めて、バブル崩壊後は「走る不良債権」呼ばわりもされたが、デカダンという言葉が似合う唯一の日本車と言える。