【連載全16話】第3話 マツダ・ファミリア ロータリークーペ・・・日本生まれの懐かしいスポーツモデル

今回は、一見ごく普通のクルマのようでありながら、優れた走行性能や運転の楽しさで知られたFR(フロントエンジン・リアドライブ)の日本車をピックアップ。1970年代のモデルを中心に16車種を週替わりで紹介します。

マツダ・ファミリア ロータリークーペ

世界初のロータリーエンジン搭載市販車は、1964年に登場したNSUヴァンケル
スパイダー。これはシングルローターエンジンだったが、後に主流となる2ローター式ロータリーエンジン搭載の市販車第1号は、1967年に発売されたマツダ・コスモスポーツ。ロータリーの本家であるNSUのRo80に先駆けての快挙だった。そのロータリーエンジンを大衆車である2代目ファミリアの2ドアクーペボディーに搭載したモデルが、1968年にデビューしたファミリア ロータリークーペである。

マツダが「ロータリゼーション」と称したロータリーエンジン普及化計画の第1弾であり、搭載された491cc×2の10A型エンジンの最高出力はコスモスポーツ用の110PSから100PSへとデチューンされていた。しかし車重は805kgにすぎず、メーカー公称値で最高速度180km/h、0-400m 16.4秒という2リッター級のスポーティーカーをもしのぐパフォーマンスを発揮。しかも価格はコスモスポーツ(148万円)の半額以下であり、レシプロエンジン搭載の同級車と比べても1、2割高の70万円に抑えられていた。

一方で、シャシー性能がエンジンに追いつかないとか、燃費が悪いといった批判はあったものの、マツダ自身が「走るというより飛ぶ感じ」と表現したロータリーフィーリングを大衆にも広めたのは間違いない。レースにも参戦し、国内ではツーリングカーの王者だった日産スカイライン2000GT-R、海外では耐久レースでポルシェやBMW、フォード(カプリ)など、いずれのシーンでも格上の相手に果敢に挑み、健闘した。

[ガズー編集部]

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