【連載全9話】第1話 ダイハツ・シャレード(4ストローク直列3気筒エンジン)・・・日本発の技術やアイデアのあるクルマ

工業製品として時代の先端を行く自動車は、さまざまな技術を生かしてつくられています。今回は、なかでも日本発祥のアイデアやテクノロジーが注がれた、注目すべき日本車を週替わりで紹介します。

ダイハツ・シャレード(4ストローク直列3気筒エンジン)

世界的に見て、今日では排気量1.2リッター以下のガソリンエンジンの多くが、またメーカーによっては1.5リッターでも3気筒のシリンダーレイアウトを採用している。だが、この4ストローク3気筒エンジンというもの、四輪車用としては半世紀前には存在しなかった。同じ3気筒でも2ストロークであれば、かつてはアウディの前身であるDKWやスズキを筆頭に広く使われていたし、4ストローク3気筒も二輪車ならトライアンフ、BSA、ヤマハなどで採用されていたのだが。

量産型の四輪車用として、これを世界に先駆けて実用化したのは1977年に誕生した初代ダイハツ・シャレード。欧州で大衆車の主流となりつつあった、ハッチバックボディーとエンジン横置きFFを組み合わせた合理的な設計のリッターカーである。随所に小型軽量化のための知恵が見受けられたが、最大の特徴が最高出力55PS(グロス)を発生する直列3気筒SOHC 993ccエンジンの導入。ダイハツいわく、高出力と低燃費、低排出ガスという相反する要求を満たすべく研究開発した結果、1リッターの場合は1気筒あたり330cc、すなわち3気筒が動力性能でも燃費でも有利で、3気筒エンジンで不可避の振動と騒音の問題はバランスシャフトにより解決できるとうたわれていた。

5人乗り実用車として必要十分な居住性、動力性能と経済性を兼ね備えていたシャレードは、石油危機後の省資源ムードにマッチし、大衆車が上級移行してリッタークラスが空白となっていたこともあってヒットした。それから半世紀年近くが経過し、3気筒エンジンが小型車の世界標準となった今こそ、その先見性が光るといえるだろう。

[GAZOO編集部]

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