【連載全9話】第3話 日産ローレル(電動格納式ドアミラー)・・・日本発の技術やアイデアのあるクルマ

工業製品として時代の先端を行く自動車は、さまざまな技術を生かしてつくられています。今回は、なかでも日本発祥のアイデアやテクノロジーが注がれた、注目すべき日本車を週替わりで紹介します。

日産ローレル(電動格納式ドアミラー)

この世に登場してからおよそ40年、いまでは日本のみならず世界標準と言っても過言ではない装備。あるのがあたり前で、なかった困るであろう装備。電動格納式ミラーは、そんな装備のひとつではないだろうか。

これを世界で初めて備えたのは、1984年のフルモデルチェンジで登場した5代目日産ローレル(C32型)である。1968年に誕生し、“和製BMW”という異名をとった初代以来、欧州調とアメリカン調のスタイリングをいったりきたりしていたアッパーミドルサルーンであるローレル。「アウトバーンの旋風(かぜ)」とうたった欧州調の4代目の評判があまりよくなかったことから、5代目では再びアメリカン調に戻し、「ビバリーヒルズの共感」というキャッチフレーズを掲げてデビューしたのである。

4代目のエアロルック風に対して、時代に逆行するように角張って光り物が多かったボディーは、4ドアセダンと4ドアハードトップの2タイプ。最大の話題は直列6気筒エンジンで、20年近くにわたって日産の主力ユニットとして使われてきたL型に代わるRB型が初搭載されたことだった。だが、その陰では世界初となる電動格納式ドアミラーが採用されていたのである。

そもそも日本でドアミラーが解禁されたのは前年の1983年。それまでのフェンダーミラーに比べて横方向への張り出し幅が大きいため、とりわけ狭い都市部の駐車場などでは畳めたほうが便利という発想から電動格納式ドアミラーが生まれたのだろう。出た当初は「日本車特有の本質とは関係ないギミック」などとやゆする声もあったものの、使ってみればその便利さは一目瞭然。続々とフォロワーが現れ、やがては世界中のメーカーに広がっていったのだった。

[GAZOO編集部]

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