【連載全9話】第6話 日産インフィニティQ45(油圧アクティブサスペンション)・・・日本発の技術やアイデアのあるクルマ

工業製品として時代の先端を行く自動車は、さまざまな技術を生かしてつくられています。今回は、なかでも日本発祥のアイデアやテクノロジーが注がれた、注目すべき日本車を週替わりで紹介します。

日産インフィニティQ45(油圧アクティブサスペンション)

路面や車体姿勢の変化に瞬時に対応し、能動的(アクティブ)に作動する究極のサスペンション、といわれた油圧アクティブサスペンション。F1などモータースポーツの分野で開発が進められてきたこのシステムを世界で初めて採用した市販量産車が、1989年に登場した日産インフィニティQ45である。

期せずしてトヨタのレクサスと前後して立ち上げられた、日産の北米を中心とする海外向け高級ブランドがインフィニティ。そのフラッグシップがQ45であり、レクサスLS400(日本名はトヨタ・セルシオ)とともにそれまで欧米メーカーに独占されていた高級セダン市場に進出した。“ジャパン・オリジナル”をキャッチフレーズに掲げ、従来の高級車像とは異なる独自の価値観を追求していた。

全長5mを超える6ライトのサイドウィンドウを持つボディーは、高級車であるにもかかわらずグリルレスで、代わりにノーズの中央には七宝焼のエンブレムが鎮座。ボンネットの下には、国産乗用車用としては当時最大だった4.5リッターのV型8気筒DOHC 32バルブエンジンがおさめられていた。

サスペンション自体の構造は4輪マルチリンク。組み合わされた油圧アクティブサスペンションは、シャシー各部に配置されたセンサーがとらえた路面と車体姿勢の変化をコンピューターが瞬時に演算し、エンジン駆動のオイルポンプから供給される油圧を制御してダンパーの役割を持つアクチュエーターを作動させるというもの。このシステムにより、常に車両姿勢をフラットに保ち、快適な乗り心地と優れた操縦安定性を両立。舗装の継ぎ目や凹凸など路面の変化や、急ハンドルや急ブレーキなどの緊急回避行動に対しても挙動変化が小さく、路面からの入力を柔らかくいなし、安全かつ安定した走りを実現したとうたわれていた。

[GAZOO編集部]

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