【連載全16話】第12話 ボクスホール・フィレンザ…地名が車名になっているクルマ
いったいどんな理由で付けられたのか? 今回は、国内外の地名がそのままモデル名やグレード名になっているクルマ、16車種をピックアップ。週替わりで紹介します。
ボクスホール・フィレンザ
現在はグループPSAだが、1925年から2017年までゼネラルモーターズ(GM)傘下にあったイギリスのメーカーであるボクスホール。フィレンザは1963年以降同社のボトムラインを支えていた小型車であるビバをベースとした2ドアクーペで、1971年にデビュー。その車名はイタリア中部トスカーナ州の、ルネサンスの中心地として知られる都市フィレンツェにちなんでいる。
当初はこれといって特徴のないクーペだったが、1973年に大がかりな変更を受けて本格的なGTとなった。それまでの角形シングルまたは丸形デュアルのヘッドライトを備えた平凡なマスクに代えて、風洞実験の結果決定されたという大胆な顔つきに変貌。ガラスカバーで覆われた奥に角形デュアルヘッドライトを埋め込んだ、アルピーヌA310風のグリルレスのスラントノーズは“ドループ・スヌート”(垂れ鼻)と呼ばれた。
固められたサスペンションにアルミホイール+185/70HR13タイヤを履き、エンジンはツインキャブを備えて最高出力132PSを発生する2.3リッター直4 SOHC。ZF製の5段MTを介して最高速度193km/h、0-96km/h加速7.6秒というパフォーマンスを発揮した。デビューが石油危機と重なったことに加えて生産上の問題もあり、2年間での生産台数はわずか204台にすぎなかった。ただしエアロダイナミックなドループ・スヌートのアイデアは、これ以降に登場するシェベットやキャバリエといったボクスホールの主力車種に採用され、他社にも影響を与えた。
[ガズー編集部]
【連載全16話】地名が車名になっているクルマ特集
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