【2018トヨタ博物館クラシックカー・フェスティバル in 神宮外苑】イギリス車好きな夫と出会ったきっかけもこの1台、女性オーナーが乗るオースチン・A35

神宮外苑、聖徳記念絵画館の前に約100台のクラシックカーが集まった『2018トヨタ博物館クラシックカー・フェスティバル in 神宮外苑』。快晴に恵まれ黄色く染まった銀杏並木の下で、展示車が会場内を走行するクラシックカーサーキットという、生のエンジン音や走行風景を目と耳で感じられるコンテンツも実施されていた。
そんななか、群馬県在住の30代女性オーナーが乗って参加していた1台が、この1956年式オースチン・A35カントリーマンだ。
1956年はA35の発売初年度にあたる年。1952年に小型ファミリーカーとして発売され広く受け入れられたA30の後継モデルで、A30同様に2ドア、4ドアサルーン、バンなどの様々な形状が作られた。カントリーマンという名前は、当時オースチンがステーションワゴンのモデル名として使っていたものだ。

「10年近く乗っていたBLMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーション)のミニを事故で廃車にして、今度は同じように古い年式でミニのバンが売っていないか探していたところ、これが売りに出ているのを見つけて、とにかく可愛い見た目が気に入って欲しくなりました。イギリス車だともっと落ち着いた色も多いんですけど、赤いボディカラーもめずらしいからいいな、と思いましたね」とはオーナー。

クラシックカー・フェスティバル当日は旦那さんといっしょに群馬から来場されていて、聞けば旦那さんのほうはオープン2シーターのMG・ミジェットを所有し、ふたりが別々に古い年代のイギリス車に乗っているご夫婦だということも判明。また、どちらもイギリス車好きになる入り口になったのはミニだったという共通点を持っていた。
オースチン・A35を購入したのは2010年のことで、ふたりが結婚されたのは2013年。クルマ好きが集まるオフ会で、イギリスの旧車オーナー同士という共通点があって意気投合したそうだ。
そんなオーナーのクルマ歴を聞いてみると、最初に乗っていたのはジムニーだったという意外な過去も教えてくれた。クルマ好きになったのは父親の影響が大きく、父の乗るジープやトラックの横で幼少期を過ごしたこともあり、「ジムニーなら丈夫で安全だから」と父に勧められるまま乗り始めたという。
しかし、そのジムニーは横転までする、もらい事故で廃車に。オーナーも両大腿骨を骨折するほどの大ケガを負ったが、それで済んだのはジムニーのおかげでもあったそうだ。

話をオースチン・A35に戻すと、今ではレジャー目的での使用がメインだが、独身時代には所有しているのがこれだけだった時期もあり日常的に乗っていたという。
「意外に思われるかも知れませんが、車重が805キロと軽いおかげで加速力もあって、高速道路でもアベレージ100km/hくらいでガンガン走れるんです」
そもそも、A35というネーミングも、A30とおなじA型エンジンを使用しつつも排気量を増やし、パワーアップした馬力(34hp)が由来になっている。こちらのA35に積まれているのは水冷直列4気筒OHVの948ccだ。
購入当初にフューエルメーターが故障していて、メーターが満タンなのにガソリンタンクの中身はゼロでエンストというトラブルに遭遇したが、それ以外は大きなトラブルもなく快調に乗れている。ダイナモの出力が弱いため、日常的には使わなくなった今ではバッテリー切れが起きやすいのが心配とのことだが、モバイルブースターの携帯や、それがなければご夫婦での押しがけで解決する。車重の軽さもここで活きてくるというわけだ。

とくに大きなカスタマイズも加えておらず、発売から半世紀以上経ったモデルながら、現代になってもスペアパーツが豊富に用意されているイギリス車ならではの事情もあって、今後もオリジナルの良さを維持して楽しく乗っていきたいと目標を話してくれたご夫婦。
ヘッドライトはノーマルのままでは光量不足ということもあり、アフターパーツのH4型に既に交換してあり、重視していきたいのはこういった安全にかかわる部分とのこと。ブレーキも安心できるほどの制動力はないため、ここもいずれ容量アップしたい部分だそうだ。

ほかにも「外装が結構傷んでいるから、鈑金もやってボディもキレイにして乗っていきたいよね」と夫と話す姿からは、ご夫婦でこのA35の良さを共有しているような気持ちが伝わってきた。このクルマがなかったらオーナーと夫の出会いもなかっただろうと考えると、クルマとの巡り合わせが人の人生を大きく変えてしまうものだと、改めて認識させてくれた歴史のある1台だった。

[ガズー編集部]

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