【連載全17話】第2話 フォード・モデル18・・・パワフル&ゴージャス! V8エンジン搭載車

排気量のダウンサイジングが進むなか、徐々に数が減りつつあるV8エンジン搭載車。今回は、かつて輝きを放った国内外のV8モデルをピックアップし、週替わりで紹介します。

フォード・モデル18

ロールス・ロイスなどに試作例はあったものの、最初に市販車にV8エンジンを導入して成功したのは、1915年のキャデラック・タイプ51だった。以来、高級車用エンジンとして認識されていたV8を初めて搭載した量産大衆車が、1932年に登場したフォード・モデル18である。

フォードの歴史で言えば、量産体制を確立したパイオニアであるモデルT(T型フォード)の後継がモデルA。そのモデルAに続くモデルBにV8を載せた仕様がモデル18となる。ボディーは映画『アメリカン・グラフィティ』の劇中車として知られる通称“デュース クーペ”(deuce、1932年の「2」に由来)こと2ドアクーペ(写真)をはじめ、2ドア/4ドアセダン、2ドアロードスター、2ドアカブリオレ、4ドアフェートンなどが用意された。

シリンダーヘッドの形状から“フラットヘッド”と呼ばれる、新開発された90度V型8気筒サイドバルブの3.6リッター(221立方インチ)エンジンは、最高出力65PS/3400rpm、最大トルク13.3kgf・m/1250rpmを発生。モデルB用の3.3リッター(201立方インチ)直4エンジンの最高出力51PSと比べて3割近いパワーアップだった。

1932年に生産されたおよそ27万5000台のフォード乗用車のうち、V8搭載のモデル18が7割近い約18万5000台を占めたといえば、その評価と人気がわかるだろう。その後、フラットヘッドV8は改良を受けながら戦後の1953年までに約1600万基が生産され、アメリカがV8大国となる礎を築いた。そして通称“YブロックV8”ことOHVのV8ユニットにバトンを渡したのだった。

[GAZOO編集部]

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