【連載全17話】第10話 日産プレジデント・・・パワフル&ゴージャス! V8エンジン搭載車

排気量のダウンサイジングが進むなか、徐々に数が減りつつあるV8エンジン搭載車。今回は、かつて輝きを放った国内外のV8モデルをピックアップし、週替わりで紹介します。

日産プレジデント

1963年に登場した日産のセドリック スペシャルは、初代セドリックのホイールベースと全長を延ばして2.8リッター直6 OHVエンジンを搭載。ショーファードリブン需要を狙った3ナンバー仕様だった。1965年にセドリックがフルモデルチェンジを迎える際にスペシャルから発展・独立するかたちで誕生したのが、日産の戦後型としては初の3ナンバー専用設計となるプレジデントである。

モノコックの4ドアセダンのスタイリングは、もともと2代目セドリック用として日産社内で進められていた案がベース。2代目セドリックのデザインをピニンファリーナに委託することになり、宙に浮いてしまった社内デザインをアレンジして採用したのだった。ホイールベース2850mm、全長5045mmは国産最長だったが、1795mmの全幅は国産初のV8搭載車であるトヨタ・クラウン エイトより50mm狭かった。

内容的には当時の米車に倣ったオーソドックスな設計で、パワーユニットはセドリック スペシャル用から発展した直列6気筒OHV 3リッターと、日産初となる90度V型8気筒4リッターの2種類。乗用車用としては国産最大となる後者は、国産最強となる最高出力180PS、最大トルク32.0kgf・mを発生。3段ATを介して車重1600kgの車体を185km/hまで引っ張るといわれた。

V8搭載の最高級グレードであるDタイプは、国産初となるパワーステアリングやパワーウィンドウ、クーラー、そしてこれも国産初となるワイヤー作動式のリモコンフェンダーミラーなどを標準装備して、価格は300万円。クラウン エイト(165万円)の倍近い国産最高価格車だった。1973年には大がかりなフェイスリフトを受け、エンジンを4.4リッターに拡大。その後も小変更を加えながら1990年までの四半世紀を生き延びた。

[GAZOO編集部]

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