スマホカーナビに新たな選択肢。トヨタ車載ナビと同じエンジンの無料アプリ「moviLink」ってなんだ?

今やドライブには欠かせないとさえ言えるカーナビ。メーカーオプションやディーラーオプションの車載カーナビ(車載器)を利用している人は多いのではないでしょうか。ただ、長く乗っているクルマでは地図データが古くなってしまったり、借りたレンタカーに装着されていなかったりして困ることも。最近ではディスプレイオーディオと呼ばれるカーナビ機能を省いた車載器を搭載する車種も出てきています。

そこで助けになるのがスマホのカーナビ。カーナビアプリをインストールして、車内に設置するだけで簡単に使い始められます。しかし、カーナビアプリにもたくさんの種類があり、どれが自分にぴったりかは試してみないと分かりません。そんななか、2021年3月に登場したニューカマーが「moviLink(モビリンク)」というアプリです。トヨタの標準的な車載カーナビと同等の機能を持っているにもかかわらず、無料で使えるのだとか。どんな特徴を持つカーナビアプリなのか、さっそくチェックしてみましょう。

トヨタの車載ナビと同等のエンジンが無料で

このmoviLinkというスマホアプリ、トヨタの車載カーナビと同じエンジンが採用された本格派。交差点が近づいたときの案内の仕方やタイミング、ナビしてくれる声も車載器と変わらないので、トヨタ車に乗っている人なら違和感なく使えそうです。

とはいえ、ナビの仕方や声質のような基本的な部分は、ほかのカーナビアプリもそれぞれにこだわって作り込んでいます。moviLinkならではの特徴としては何があるのでしょうか。

まず大きなポイントを挙げると、1つはほとんどすべての機能を無料で使えることです(自車位置を示すアイコンの変更機能のうち、一部のアイコンのダウンロードのみ有償オプション)。ほかのカーナビアプリのなかには、毎月継続的なサービス料金の支払いが必要なものもあります。その分多機能ではあるものの、あまりクルマに乗らない時期があったとしても契約し続けなければならないので、毎月支払うのがもったいないと感じるかもしれません。

動作をカスタマイズする設定項目も必要十分

「車の自車マークを変更」する機能のみ有償オプション(買い切り)で、ほかの機能はすべて無料で利用可能

無料で誰もが手軽に使えるカーナビアプリという意味ではGoogle マップが代表的です。ただ、Google マップは汎用的な地図アプリをベースにしているので、必ずしもドライブ向きとは言えないところもあります。例えば案内表示が最小限しかなく、クルマでは通行が困難な細い道が案内されてしまうケースも少なくないようです。

一方でmoviLinkは、トヨタの車載カーナビに匹敵する機能を持ちながら、最新の地図データへの更新も継続的かつ迅速に行なわれ、それでいて無料で使い続けられるのが強み。もちろんトヨタ車以外でも使えますし、古くなったマイカーの車載器代わりに利用すれば、開通したばかりの道路を通行するルートにも対応して、より快適に移動できるようになるでしょう。

主要カーナビアプリ比較

  moviLink Googleマップ Yahoo!カーナビ カーナビタイム
種別 基本無料 無料 基本無料 有料
課金要素 自車位置アイコンの変更(250円買い切り) 移動式オービス・検問情報など(月額250円) 音声案内、渋滞回避など(月額550円、年額5700円ほか)
音声案内
交差点・分岐の3D拡大図
渋滞・混雑情報 VICS、Tプローブ 独自プローブ VICS、独自プローブ(iOSは要ログイン) VICS、独自プローブ
音声検索
駐車場満空情報
徒歩ルート案内
駐車位置記憶
旅程作成機能
Android Auto 対応 対応 非対応 対応
CarPlay 対応 対応 対応 対応

独自のプローブ情報とVICSで現実に即した交通状況が分かる

新しい道路を使って効率的に移動できるのはカーナビアプリにおいて重要な点ですが、もっと重要なのは、現実の道路のリアルタイムな混雑状況をいかに収集して最適なルートを選択・案内してくれるか。単に最短距離のルートを案内してくれたところで、その途中経路が大渋滞して到着に時間がかかってしまうのでは意味がありません。

そうしたことから、多くの車載器やカーナビアプリは道路交通情報通信システム「VICS」と呼ばれる技術を用いて問題を解決しています。道路の混雑状況などを収集し、そのデータをもとにカーナビ画面で渋滞の程度を表現したり、渋滞を避けて短時間で移動できるルート案内に役立てたりしているのです。

moviLinkももちろんVICSに対応していますが、加えてトヨタ独自の「Tプローブ交通情報」にも対応しているのが特徴です。実際に走行しているほかのトヨタ車からリアルタイムに収集したデータを分析し、より現実に即した交通状況をカーナビ画面に反映します。moviLinkではこの「Tプローブ交通情報」をメインに活用し、その情報が十分に得られない場所でのみVICSからの情報を補足的に使って、渋滞表示や経路案内を行なっています。

つまり、リアルタイム性の高い「Tプローブ交通情報」と、データ量の多いVICSという両者のいいとこ取りで、最適なルート案内を可能にしているというわけです。渋滞のストレスを感じることなくドライブできるようになれば、目的地で楽しく活動できますし、帰路でも余計な疲れをため込まずに済みます。お出かけがもっと楽しくなる、と言えるかもしれません。

手間なく、スムーズな移動につながる便利機能がたくさん

休日にクルマで遠出しようと思ったとき、車載器だけでは不便な場面もあります。クルマに乗ってから画面操作で目的地を入力することになるので、いざ出発というタイミングでまず時間が取られてしまいます。しかも、目的地近くの駐車場にクルマを停めたらお役御免。スマートフォンで別の地図アプリを開き、目指していた場所に歩いて向かうことになるでしょう。あちこちの観光スポットをドライブしながら巡るようなときは、これを何度も繰り返すことになり、いちいちめんどうです。

moviLinkではそうしたドライブの仕方も見越して、いくつかのユニークな便利機能を用意しています。1つは「おでかけプラン」機能。これは、行きたい場所が複数あるときに、その場所1つ1つを経由地として登録しておくことで、出発地点から最初の目的地となるA地点、次のB地点、さらにはC地点へ、というように、地点間の移動ルートをすべて案内してくれるようになるものです。出発前の時間のあるときに目的地をゆっくり検討でき、当日はすぐに呼び出してナビの案内に従うだけなので手間を省けます。

また、対応車種であればmoviLink上で検索した目的地を車載器に無線(Bluetooth)転送する「車に送信」機能が利用できます。乗り込んだあとに車載器の画面を操作して目的地入力する必要がなくなるので、出発までの時間を短縮できるはず。移動中に別の場所に目的地を変えたくなったときも、同乗者に操作してもらって「車に送信」してもらうだけなので素早く対応でき、楽ちんです。

そして目的地近くにクルマを駐車したあと、moviLinkなら徒歩に適したルートも検索できるため、移動がシームレスにつながります。1つのアプリで移動に関わる大部分をカバーしてくれる、いわゆるトータルナビ的な使い方ができるのは、とりわけ初めて訪れる地域を観光するときに便利さを実感するのではないでしょうか。

きめ細やかな月2回のアップデートで進化し続ける

moviLinkはApple CarPlayとAndroid Autoにも対応しています。スマートフォンとクルマをUSBケーブル、もしくは無線で接続することで車載器の画面に「moviLink」を映し出し、大画面でよりカーナビらしい使い方ができるようになるものです。

対応車載器と接続することで最適なナビ画面表示が可能になるApple CarPlayやAndroid Autoにも対応。なお、接続中は安全のためアプリの画面は操作できなくなる

いろいろとうれしい機能が詰まったmoviLinkですが、使い込んでいくと、もしかしたら不満に感じるところや、もの足りないと思う部分が出てくるかもしれません。そんなときは開発元にメールなどで要望として伝えてみるのも手です。moviLinkは月2回のペースで定期的にアップデートしていて、ユーザーの声をもとにどんどん機能改善しているのもウリとのこと。多くのユーザーが求める内容であれば、意外と早くその要望が反映されるのでは?

と、ここまでさまざまな機能やメリットを紹介してきましたが、カーナビアプリは実際にクルマで走行しながら使ってみないと、本当に便利かどうか分からないところもあります。次回はほかのカーナビアプリとも比較しながらmoviLinkの使い勝手を詳しく見ていきたいと思います。

moviLinkダウンロード

moviLink(Android版)
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.toyotaconnected.tlbsapp

moviLink(iOS版)
https://apps.apple.com/jp/app/id1544411161

[GAZOO編集部]