【ラリージャパンを1000倍楽しもう!】序盤3戦を終えて見えた「2020年シーズンに注目すべき5つのテーマ」…栗田佳織のWRCチェック!

みなさんこんにちは! 栗田佳織です。
GAZOO.comには、以前ドライビングレッスン動画に出演させていただいたことがありますが、ご覧いただいたことありますか?
今回は「ラリージャパンを1000倍楽しむ」企画ということで、私の大好きなWRCについて、あまり知らない方にも楽しく観戦できるよう、2020年シーズンのWRCの注目ポイントを書かせていただきたいと思います。

2020シーズンが開幕し、早くも第3戦までが終了しました。私は子育てに追われながらも、空いた時間にWRCのリザルトをチェックしたり映像を見てひとりで興奮したりと、WRCから離れられずにおります(笑)。
今年はなんと言ってもラリージャパンが開催されますからね!

さて、ここまでの3戦は特殊な路面のイベントではありますが、各チームのクルマのポテンシャルやドライバーの実力など垣間見ることができたと思います。そこで、私が思う2020シーズンのWRCの見どころを5つ、挙げてみました。

目下絶好調のエルフィン・エバンス/写真:TOYOTA GAZOO Racing
目下絶好調のエルフィン・エバンス/写真:TOYOTA GAZOO Racing

テーマ1:エバンス覚醒!

私が今季1番驚いているのがTOYOTA GAZOO Racingのエルフィン・エバンスです。開幕戦モンテカルロでいきなり3位表彰台。第2戦スウェーデンではオープニングSSから一度も首位を譲ることなく自身2度目の優勝。第3戦メキシコでは4位と、非常に安定感があります。

エバンスはターマックだけでなくグラベルでも速さがあり、もともとペースノート作りにも定評がありました。

が、今季トヨタへ来てここまで覚醒するとは!

2年前のMスポーツ時代は、チームオーダーでセバスチャン・オジェに順位を譲ったことも何度かありましたが、今年は選手権争いを期待できる強力なドライバーのひとりになりそうです。

まだ表情にあどけなさが見えるロヴァンペラ/写真:TOYOTA GAZOO Racing
まだ表情にあどけなさが見えるロヴァンペラ/写真:TOYOTA GAZOO Racing

テーマ2:弱冠19歳ロヴァンペラの可能性

今シーズン、エバンスと同様に周囲を驚かせているのは同じくTOYOTA GAZOO Racingのカッレ・ロヴァンペラ。
第2戦スウェーデンの最終パワーステージでは自身初となるWRCベストタイムをマーク! その結果、あのオジェをおよそ3秒上回り3位表彰台を獲得! 
リザルトを見ながら「うそ!?」と叫んでしまいました。

19歳4ヶ月でのWRCポディウムは歴代最年少記録。さらにここまでの3戦すべてでトップ5位内フィニッシュ。
いや〜とんでもない逸材ですね。
母国戦となるフィンランドでは、早くも優勝争いが期待できそうです。
ラトバラの持つWRC最年少優勝記録(22歳10ヶ月)狙っちゃいましょう!

開幕戦で鮮烈な逆転勝利を飾ったヒュンダイのヌービル選手/写真:@World / Red Bull Content Pool
開幕戦で鮮烈な逆転勝利を飾ったヒュンダイのヌービル選手/写真:@World / Red Bull Content Pool
第2戦スウェディッシュラリーではTGRのメンバーと記念写真に納まるオィット・タナック選手(前列右から2人目)/写真:Jaanus Ree/Red Bull Content Pool
第2戦スウェディッシュラリーではTGRのメンバーと記念写真に納まるオィット・タナック選手(前列右から2人目)/写真:Jaanus Ree/Red Bull Content Pool

テーマ3:ヒュンダイの強力な2枚看板

ヒュンダイは2014年のWRC復帰以来ティエリー・ヌービルがエースドライバーを務め、昨年2019年は悲願のマニュファクチャラーズタイトルを獲得しました。
その実力あるチームに今年、昨シーズンのドライバーズチャンピオンであるオィット・タナックが加入! 

なんというか……ズルイ布陣ですよね〜。オールラウンダーの強力な2台が揃いました。

ただヒュンダイと言えば、昨年までヌービルのタイトルのためにたびたびチームオーダーを発動するチーム。ヌービルとタナックのダブルエース体制の今シーズン、ヒュンダイのチームの動きにも注目したいと思います。

ドライバ―をしっかり支えるメカニック/写真:TOYOTA GAZOO Racing
ドライバ―をしっかり支えるメカニック/写真:TOYOTA GAZOO Racing

テーマ4:トヨタチームの戦闘力

昨年からラインナップを総入れ替えしたトヨタ。開幕前までは、オジェを筆頭にエバンスがセカンドドライバー、ロヴァンペラはまず経験を積むのが最優先……

かと思っていましたが、蓋を開ければ3台とも素晴らしいポイントゲッター!

オジェやエバンスはもちろんのこと、ロヴァンペラも見事にチームに貢献しています。
ここまでの3戦は特殊なコンディションのため今季全体を占うのはまだ早いと思いますが、今年のトヨタは強い。穴がない。このバランスのとれた3台なら、昨年獲り損ねたマニュファクチャラーズタイトル、イケますよー!

2020年が最後のシーズンと噂されるセバスチャン・オジェ選手。有終の美を飾れるか!?/写真:TOYOTA GAZOO Racing
2020年が最後のシーズンと噂されるセバスチャン・オジェ選手。有終の美を飾れるか!?/写真:TOYOTA GAZOO Racing

テーマ5:2020年のチャンピオン候補

ここ数年、オジェVSヌービルVSタナックの三つ巴の戦いが続いてきた選手権争い。2020年はここにエバンスも加わってくるのではないでしょうか! ヤリスとの相性もいいようで、ドライビングを楽しめているというコメントも力強い限りです。

昨年のチャンピオンであるタナックは開幕から出遅れてしまいましたが、彼のスピードはまさに異次元。防衛に向けてここから全力で挽回してくるはずです。

また6年連続タイトルを獲得したことのあるオジェは、今季限りでの現役引退を表明しています。最後のWRCシーズンはぜひチャンピオンに返り咲いてほしいですね!

写真:TOYOTA GAZOO Racing
写真:TOYOTA GAZOO Racing

今シーズンはドライバーの力量が試される!

開幕からの3戦を見ると、やはりトヨタのエバンスとロヴァンペラの予想以上の活躍ぶりに驚かされます。

しかしWRCはここからが勝負どころ!
今シーズンは久々のカレンダー復帰となるサファリやニュージーランド、そしてラリージャパンが開催されます。
新規とも呼べるイベントではみんながイコールコンディション。クルマの性能以上にドライバーの力量が試されるシーズンとなりそうです。
選手権争いはもちろんですが、まずは一戦一戦楽しもうと思います。

そして最終戦は念願のラリージャパン! ぜひ一緒にラリーカーの迫力を感じましょう!

プロフィール
栗田佳織(くりたかおり)
昭和63年1月29日新潟県生まれ。日本体育大学体育学部武道学科卒(少林寺拳法専攻)、少林寺拳法4段。J SPORTSのオーディションに合格し、「WRC世界ラリー選手権」の番組ナビゲーターを務めてきたが、結婚と出産を機に現在はお休み。2019年11月に開催されたセントラルラリーでは、セレモニアルスタートとゴールでのMCを務め、ラリー現場に復帰した。


[ガズー編集部]

ラリージャパンを1000倍楽しもう!特集