[クルマ好きFile S耐@Rd.1富士/シンリョウレーシング]女子大生も居ついちゃった!? 「一緒にいて楽しい」仲間が集まるチームと代表の魅力
2020年シーズンは24時間耐久という、大一番のレースからの開幕となりました「ピレリスーパー耐久シリーズ」(以下 S耐)。
24時間走り続け、24時間マシンをコースに送り出す!この過酷なレースに挑むのは、本当にクルマ、そしてレースが好きなドライバーとチームの皆さん。そんなクルマを使って究極に楽しんでいる人たちを紹介するべく、S耐の現地取材企画の第2弾は、ピットの雰囲気から『全力で楽しんでいる』感が見るからの雰囲気であふれているシンリョウレーシングさん。
長く参戦しているチームだけに、チームのみなさんがS耐を楽しんでいることは容易に想像がつきます。ただ、インタビューを進めるうちに、サラリーマンから社長、医師、さらに女子大生をも魅了し、アットホームでありながら、マシンをひとつのゴールに向けて運ぶ「団結力」を作り出しているのは、チーム代表のS耐が好きでたまらない気持ちと人柄だということに気づかされたのでした。
耐久レースは長いほどみんなで楽しめる!?
シンリョウレーシングは、S耐の前身にあたるN1耐久シリーズにも参戦していたチーム代表の冨桝朋広氏が、当時のレース仲間とチームを組んで2002年に立ち上げた老舗チームです。
数あるレースの中から耐久レースを選んだ理由を、「耐久レースはドライバーもメカニックもみんなで楽しむことができるレースなんです。もちろんスプリントレースもとても楽しいと思いますけど、でもすぐ終わっちゃうでしょ(笑)。我々にとってレースは楽しむものだから、長い時間いろんな事をして遊びたいんです」と冨桝代表が話すように、生粋のエンジョイ派チームです。
若い世代には、「(厳しい)あのレースで頑張ってこいよ!」とワンメイクなどのスプリントレースを勧めることもあるそうですが「ある程度の年齢になるとソコで戦えなくなることもあるでしょ。それならもうみんなで楽しんじゃいましょ!」というスタンスでドライバーもスタッフも参戦できるレース、それがS耐なのだそうです。
さて、そんなシンリョウレーシングですからメンバーがベテラン揃いなのか?といえば、実はそうではありません。
「笑っちゃいますよ、(ウチのチームは)ホンマに寄せ集めですよ(笑)」と冨桝代表がいうとおり、世代はとても幅広く、住んでいる地域もバラバラ。チームは和歌山県を拠点にしていますが、中には北海道から参加しているスタッフも!
今回の24時間レースを戦っているドライバーやメカニックなどのチームスタッフに伺ってみても、クルマ関係はもちろん、建築関係だったり美容外科の先生からアルバイトまで、その職業まで様々です。
そんな、ドライバーやスタッフの方にも、S耐と冨桝代表について話を聞いていますので、少しご紹介していきましょう。
女子大生も居ついてしまった家族のような心地よさ
まずは、学生時代にこのチームと出会い、それ以来チームの一員として参戦し続ける長村未知さん。長村さんは学生の頃レースに参加する友人の手伝いのため足を運んだサーキットで、シンリョウレーシングのスタッフとたまたま知り合ったのがチーム加入のきっかけだったそうです。
「クルマやレースにハマったというよりはこの家族みたいな雰囲気が好き。最初から居心地がよかったんです」とのこと。
当時大学4年生だった彼女はその後もS耐に参加し続けるために自動車パーツの量販店でアルバイトをはじめたのですが、なんとレースウイークには仕事を休む事を条件に採用してもらったのだとか。週末は特に忙しいはずなのですが…。
冨桝氏は「ウチのチームに来て楽しくなっちゃったみたいだけど、これじゃメシ食えないよって言ったらバイト始めちゃって…大学まで行かせた親の立場だったら、なんて事も頭をよぎりましたが、両親にはちゃんと認めてもらったみたいです。長村さんに限らずですが、ホンマみなさん好きでやってくれてますよ」と当時のことを語ってくれました。
卒業後の進路を雰囲気や居心地というあまりにも漠然としたきっかけで決めてしまう長村さんの潔さにはびっくり! でも不思議なことに、他のチームメンバーも同じようなニュアンスでこのチームについて語っていたことにさらに驚かされました。
レースに限らず、学生時代でも社会人生活の中でも、明確な理由があるわけでもないのに不思議と仲間が集まってきちゃう場所とか、ついつい会いたくて訪ねちゃう人っていますよね。シンリョウレーシングというチームと冨桝代表は、まさにそんな存在なのかもしれません。
マシン選びにも無理せず楽しむための工夫あり!
ちなみにシンリョウレーシングが参戦しているのは2001~3500ccのFF/4WDによって競われるST-2クラス。長年スバル(インプレッサ)WRXと三菱ランサーエボリューションが火花を散らして来たクラスで、今年はトヨタGRヤリスの参戦にも注目が集まっています。シンリョウレーシングは長年ランサーエボリューションでこのクラスを戦っていますが、販売を終了して4年半以上も経つランエボでもそのポテンシャルは十分で「あまり無理をせずプライベーターができる範囲でも楽しめるS耐だからこそ乗りつづけていられる」そうです。ちなみにエンジンもミッションもノーマルです。
これからもエボで出場し続けるのかという問いに冨桝代表は「もちろん勝負権がなくなっちゃうようだったら考えるけど、現状ボディをちゃんと新しいものに変えていけばまだまだ戦えますよ。それに(レースには)いろいろなクルマがいたほうが楽しいでしょ」と答えてくれました。
観戦するお客さんのことまで考えているなんて、どこまで世話好きなんでしょうか!?
プロとおなじマシンでサラリーマンも社長も走るからこそ楽しめる!!
ランエボで長年S耐を戦い続けているプロドライバーの菊地靖選手もシンリョウレーシングで戦う1人です。菊地選手はS耐について「俺自身4WD好きだし、ずっと乗ってるから特性も掴めています。だからチームでは決勝の走り方やランエボの癖とかを教えたりアドバイザー的な事もしていますが、S耐はプロじゃなくても十分に参加できますよ。街で見かけるクルマが競っている姿も華やかなので見て楽しめるし、興味があったら参加者にもなれる身近なレースですのでぜひサーキットにきて声をかけてください」とのこと。
冨桝代表も「耐久レースはアマチュアがプロと同じ1台のクルマに乗ることによって乗り方もセットアップの仕方も、そしてタイム差もすごくわかるし、勉強になるんです」と、その楽しみ方やメリットを教えてくれました。
プロと同じクルマで一緒に戦うからこそ得られるドライビングテクニックは、プロになるつもりはないけど、もっともっと運転が上手くなりたい人の究極の手段かもしれませんね。
菊地選手とともに戦う大橋正澄選手もこのS耐に長年参戦し続けている1人です。学生の頃からレースを続けている大橋選手は36年ものキャリアを持つドライバーながら本職はアパレル会社の社長。
「歳とともに速さは落ちてくるのは否めないけど、その分経験による応用は効くようになってきます。それゆえS耐にはプロドライバーじゃなくても長くやれる環境があります。チームスタッフとオーナーが協力しながら、そしてオーナーがみんなから手助けをしてもらいながら組織を上手く回るようにしていくのは、会社経営とよく似てますね」とは経営者らしい視点。やっぱり大切なのは「人」なんですね。
菊地選手、大橋選手とともに戦う岡崎善衛選手はクルマ好きが高じて免許をとってからFJをはじめ、30歳を超えてからF3でレース経験を積んできた異色の経歴。
クルマの開発に携わる自動車関連会社のサラリーマンでありプロドライバーでもある立場です。岡崎選手は「S耐はお祭り感があり、違うチームの選手とも和気藹々とした雰囲気がありながら、同時にレース自体の真剣さも共存するメリハリが魅力で、なによりS耐は有給を上手く使えばサラリーマンでもできるレースというところも魅力です」と語ってくれました。
「一緒にいて楽しい」を大事にするから仲間が増える
もちろんクルマのメンテナンス中は真剣モード。楽しいときとのメリハリがしっかりと感じられます。
全国のクルマ好きが、ちょっとしたきっかけで集まった気の合う仲間がシンリョウレーシング。住んでいる場所もバラバラだからみんなが集まるのはレースウィークだけ。チーム代表の冨桝氏は「だからこそ一緒にいて楽しい人というのが大切なんです。そういう仲間だから真剣に戦えるんです。クルマ好きはもちろん普段はクルマをそんなに触らないけどこのチームの雰囲気が好きで参加してくれる人もいます。新しい仲間が増えてももちろん一緒です。参加してくれた仲間には、ちょっとしたお手伝いではなく、みんなちゃんとクルマに触れやー! って声をかけて、どんどん触ってもらっています(笑)」。
クルマをもっともっと楽しみたいからチームがあり、もっともっと楽しみたいからこそ真剣に向き合う。時として無情な結果もあるのがレースの世界ですが、誰もが一生懸命やっていることをチームの1人1人が知っているから、原因が何であれ特定の個人を責めるような雰囲気は一切ありません。
そんな「S耐が目指すところ」や「FUN TO DRIVE」を絵に書いたようなチーム、それがシンリョウレーシングでした。
次回のS耐は10/10&11のスポーツランドSUGO戦。3時間耐久レースなので、マシンの速さやドライバーの技量が重要となりそうなこのレースで、どんな「FUN TO DRIVE」に出会えるのか?次回もお楽しみに!!
執筆 / 撮影: 高橋 学 編集: 山崎リク(編集部)
[ガズー編集部]
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