【ヤリスカップ、はじまるよ! #4】<インプレ動画>「めっちゃ楽しい!」ヤリス カップカーの6MTと注目のCVTを乗り比べ!@富士スピードウェイ
ワンメイクレースとして21年の歴史を持つ『TOYOTA GAZOO Racing Netz Cup Vitz Race(以下、ヴィッツレース)』から生まれ変わり、新たな歴史を踏み出したばかりのワンメイクレース『TOYOTA GAZOO Racing Yaris Cup(以下、ヤリスカップ)』。
そのヤリスカップに迫る企画の第3回では、ヤリス カップカーの開発・生産を行っている『株式会社トヨタカスタマイジング&ディベロップメント(以下、TCD)』の工場に潜入し、クルマづくりにかける情熱をお届けした。
そして今回は、ついにヤリス カップカーをサーキットでインプレッション! 開幕戦が行われる富士スピードウェイでどのような走りを見せてくれるのか!?
はじめにおさらいしておくと、『ヤリス カップカー』は1.5Lエンジンを搭載したヤリスをベースに開発されたワンメイクレース参戦車両。
エンジンスペックは標準車と同様ながら、サーキット走行で必要不可欠なロールケージや前後牽引フック、6点式シートベルトなどのレース装備に加え、専用チューニングサスペンションセット、エンジンオイルクーラーなどを装着。
タイヤ&ホイールとバケットシート、ブレーキパッドを交換すれば、すぐヤリスカップに参加できるモータースポーツ入門用マシンとして発売されている。
6MT車で217万1,100円~(北海道地区は220万800円~)、CVT車で238万100円~(北海道地区は240万9,800円~)と手頃な価格設定も魅力のひとつだ。(※価格は税込金額)
ワンメイクレース参戦用車両とはいえ、もちろんナンバー付き車両なので一般公道も走行可能だ。そのため、サーキットまで自走で行き、レースを走り、そのまま帰宅するといった使い方もできる。
さらにレースに出なくても購入できるので、例えば「サーキットは走らないけど、カッコいいスポーツカーに乗りたい!」「街乗りがメインだけど、たまにサーキット走行会に参加する!」といったユーザーにもぴったり。
ミッションは6MTとCVTの2種類が用意されているので、マニュアル車が苦手という人でも安心だ。
全国のトヨタディーラーで新車として販売されているので、アフターサービス面でも安心感が高く「チューニングカーやカスタマイズカーに乗ってみたいけど大変そう」と悩んでいるユーザーにもオススメしたい。
オイルクーラーはMT車が水冷式なのに対して、発熱量の多いCVT車はオイルクーラーコアによる空冷式を採用。また、牽引フックなどの装備も最初から搭載されている
ボディ加工が必要なロールケージや6点シートベルトおよび取り付け用アンカーも最初から装備。運転席のみバケットシートへの交換が義務化される
ミッションは、6速マニュアルに加え、2ペダルのCVTモデルも用意
ヤリスカップでは、グッドイヤー製タイヤ『GOODYEAR EAGLE RS SPORT S-SPEC(サイズ:195/55R15 )』のワンメイクとなるが、ホイールやブレーキパッドは好みのものに交換可能
というわけで、ヤリス カップカーの基本情報はこれくらいにして、いよいよその走行性能に迫っていこう。
富士スピードウェイでインプレッション
ヤリス カップカーの実力を探るべく、用意したステージは富士スピードウェイ。ちょうど6月5日にヤリスカップの記念すべき第1戦が開催されるステージだ。
そして、そんなヤリス カップカーの走りをチェックするのは、ヴィッツレース参戦経験もあるプロドライバーの田ヶ原章蔵選手。タイヤメーカー『グッドイヤー』のワークスドライバーとして2008年から4年間ヴィッツレースに参戦し、ポールポジションや優勝経験もある実力派ドライバーで、ヤリス カップカーのチェックにはうってつけの人物。
6MTはもちろん、TOYOTA GAZOO Racingも一押しするCVTも用意し、その走行性能を隅々までチェックしてもらった。
シートポジションやステアリングの位置が素晴らしい!
走行前にシートポジションのチェックを行う田ヶ原選手。
「シートポジションが低くて、目線が自然に遠くに向くのでいいですよね。あと、ステアリングの位置も低くなったね!ヴィッツのレースカーだと、ステアリングを一番下まで調整しても少し高かったけれど、ヤリス カップカーはちょうどいい高さに調整できるので操作しやすそう。ステアリングやシフトレバーなどを含めて、ペダルの操作を考えたレイアウトになった印象を受けたね。シートやステアリングの調整幅も広いので、小柄な方や女性でも乗りやすいんじゃないかな!」
「あと、ステアリングの重さがいいね。軽すぎず、重すぎず、スポーティでちょうどいい!」と好感触のようだ。
シートやステアリング、シフトノブをチェックする田ヶ原選手。リヤシートも十分な広さが確保されているので、普段使いでも快適だ
6MT車はエンジンレスポンスの良さを活かしたコーナリングが魅力!
まずは乗り慣れたマニュアル車のほうからコースイン!
テスト走行を終えた田ヶ原選手にドライブフィールを聞くと「ポテンシャルが高い!」と驚きを隠せない表情だった。
「ステアリングを回したときに重さや切れ角がサーキット走行に最適で、クルマ自身が意識を持っているようにスムーズにドライブをサポートしてくれるんですよ。とくにステアリングの切れ角が理想的で、10時10分の位置で握って、持ち直すことなく1周できたので、両手でがっちり握って運転できる点は評価したいね」
「乗用車ベースのクルマって、利便性を考慮して、ステアリングの切れ角を多めに設定して、操作感も軽めにしていることが多いんだけど、ヤリス カップカーは違う。ちゃんと最初からサーキット走行も意識して設計しているんだろうね! カチッとしたフィールと、少なめの切れ角のおかげもあって、タイヤの情報も把握しやすいね!」と絶賛。
さらに「エンジンレスポンスがいいから、街乗りじゃもったいないくらい(笑)。これはサーキットで全開走行してもらいたいよね。ブレーキングで一気に車速が落ちてもアクセルペダルをグッと踏み込めば、すぐに加速姿勢に入れるし、コントロール性も抜群!パワーバンドも広いから、言い方は悪いけど、多少ラフに運転してもクルマが助けてくれて、それなりのタイムが出ると思う」
「このあたりは、ヴィッツレースからヤリスカップに移ってくるドライバーたちも違いを感じるんじゃないかな! とくに2速や3速を使う低速コーナーで違いがはっきりと体感できると思いますよ」
次に足まわりのフィーリングを聞いてみると、「あくまでコンパクトカーだからロール感はあるんだけど、それがクルマの運転を学ぶには最適! 適度なロール量と接地感があるから、初心者から中級者、上級者まで楽しめるサスペンションに仕上がっていると思うよ」
「それにリヤサスペンションの減衰力セッティングが変更できるようになったのも面白いよね。今回は中間あたりの硬さで走ったけど、タイヤの空気圧と合わせてセッティングを探していけば、いろんな乗り方ができそう。初心者はロールさせながら安全に、上級者は減衰力を硬めにしてコーナリングスピードを上げていくといった、ドライバーのスキルに合わせた楽しみ方ができるんじゃいかな!」
「ヴィッツレースではできなかったリヤの減衰力調整ができるようになって興味津々なエントラントも多いんじゃないかな?」と、ヴィッツレースとヤリスカップの違いも分析。
最後にシフトフィーリングやギヤ比など、ミッションのフィーリングについて聞いてみた。
「シフトポジションがわかりやすいよね。クルマによってはシフトポジションの間隔が狭くて、2速に入れたはずが4速に入っていて失速……なんていうミスも起こしやすい。でも、ヤリス カップカーはそのあたりの設計が適切で、初心者やマニュアル車に慣れていない人でも的確なシフトチェンジができそうだね」
「シートに座ったときにシフトノブの位置もちょうど良くて、気持ちよくシフトチェンジしていけるのがいい。ギヤ比のバランスもよくて、今回の富士スピードウェイでは、ギヤ選択で悩むこともなかったよ」
「ちなみに今回は、レブリミットの6800回転でシフトチェンジし、メインストレートで5速まで使ったけど、運転に慣れた人や、レース中にうまくスリップストリームを使えば6速に入るんじゃないかな。ある程度慣れてきたら、回転数をキープしながら少し上のギヤを使うことで、あっと驚くようなコーナリングができそうだよね」と、6速化のメリットも体感したようだ。
CVT車は、ミッションの理解とクルマとの対話が重要
ヤリス カップカーは、シフトチェンジの必要がない2ペダルのCVT車を設定していることも魅力。はじめてレースに参加するドライバーや、マニュアルミッションに慣れていないドライバーには嬉しいポイントだろう。
今回はそんなCVT車も田ヶ原選手にインプレッションしてもらった。
その感想を聞くと「ステアリングやペダル操作に集中できるので、運転がうまくなりたい人には最適! CVTってMT車より速くないってイメージがあるかもしれないけど、思いった以上に速い!」と、CVT車とサーキット走行のマッチングの良さに驚きの声をあげる。
詳しくドライビングフィールを聞いていくと「CVT車は、常にパワーバンドの6500回転をキープできそう! ただ、ブレーキングやコーナリングで減速して、回転数が落ち込んでしまうと加速が少しもたつくから、回転数を落とさないCVT車独自のドライビングテクニックが要求されるかな」
「具体的には、できるだけ急ブレーキをかけず、車速を徐々に落として、スムーズに加速させることが重要!そのためには、1つ前、2つ前のコーナーから車速を計算して、コース取りを組み立てていく必要があります」
「ただ、CVT車の特性を理解し、しっかりと向き合えば、6MT車と変わらないタイムで走ることができる!マニュアル車でドカンとブレーキを踏んで、一気に加速するという運転に慣れている人は、意外と戸惑うかもしれないね。あくまで自然に、スムーズな運転がポイントだね!」と、CVT車のコツを教えてくれた。
また、「CVTというミッションを理解することも大切。マニュアル車とCVT車の決定的な違いは、すべて自分で操作するか、クルマと一緒に操作するかの違い」
「CVT車は、コンピューターが運転のサポートをしてくれるので、それを理解して運転することがタイムを出すポイント!そういう意味でクルマとの対話が多いのはCVT車だと思う。クルマをパートナーとして扱い、どんなときに助けてくれるのかを正しく理解し、必要な操作を行うというプロセスがマニュアル車とは決定的に違うんです」
「今後、CVT車のスペシャリストが生まれてくると、もっとヤリスカップが盛り上がりそうだよね!MT車のスペシャリストとCVT車のスペシャリストという2つのカテゴリーができて面白そう!それぞれを極めていけば、今までとは違ったワンメイクレースに成長していけそうだよね」と、最後はヤリスカップへの期待も語ってくれた。
ちなみに今回のテスト走行では、全開アタックではないが、MT車とCVT車のタイム差は約1秒と僅差。状況によってはシフトミスの不安もないので、CVTのほうが速く走れることも十分ありえるだろう。
ヤリスカップ第1戦は6月5日、富士スピードウェイで
今年からはじまるヤリスカップ。その第1戦は、6月5日に富士スピードウェイで開催される。トヨタが開催している参加型レースの歴史に新たな1ページを加える瞬間を、ぜひ多くの人に見てもらいたい。また参加してもらいたい。
ヴィッツレースからヤリスカップに変わり、新しくスタートする今年は、すべてのエントラントがゼロからのスタートとなる。そんな初年度は、はじめてのレースチャレンジにも最適!!
この記事を読んで、少しでもヤリスカップやヤリス カップカーに興味を持ち、参加してみたいと思ってもらえたら嬉しいかぎり! ヤリス カップカーは、全国のトヨタディーラーで新車として購入できるので、気になった人は問い合わせてみてほしい。
(⽂:三木宏章 / 撮影:藤井元輔)
[ガズー編集部]
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