【ハチマルミーティング2018 愛車紹介】廃車級クラッシュを乗り越え25年、激レア2シーターオープントップマシン、ダイハツ・リーザスパイダー
日本のモータリゼーション黎明期だった1955年に、通商産業省(当時)が発表した「国民車構想」を背景に誕生した軽自動車。その魅力はなんといってもコンパクトで扱いやすい車体と維持費の安さで地方における大切な交通手段となっているが、日本独自の規格ということもあり、ガラパゴス的な進化の課程でマニアにはたまらない名車や珍車を多く生み出してきた。
ハチマルミーティングに参加していた鈴木さんが所有するダイハツ・リーザスパイダーもそのうちの1台といえるもの。聞けば1993年に購入してから25年間、大切に乗り続けてきたワンオーナーものだというから驚きだ。
「当時はスズキのマイティボーイに乗っていたのですが、仕事の関係でダイハツ車に乗り換えることにしました。いろいろ車種を検討していたときに、展示されていたリーザスパイダーを発見。本当はマニュアルシフトがよかったのですが、すでに在庫がないということでオートマ仕様を選んだわけです」と購入の経緯を説明してくれた。
リーザスパイダーは、1991年に発売された軽オープンモデル。2ドアハッチバックの軽スペシャリティ『リーザ』のバリエーションモデルとして開発されたもので、ベースとなったリーザのルーフをカットしてソフトトップへ変更している。
1989年に開催された第28回東京モーターショーに参考出品された際には後席を装備した4人乗りだったが、市販モデルでは2シーターへ変更。水冷直列3気筒OHCターボエンジンも、市販までの間に変更となった軽規格に合わせて550ccのEB型から660ccのEF型に変更されている。最高出力は64ps、最大トルクは9.4kgm。オープン化に合わせておこなわれたボディ補強により、車重はベースモデル90kg増の740kgとなっている。ほかにはない特徴的なクルマではあったが、実用面などの問題で販売はふるわず、1993年の生産中止までの総生産台数はわずか380台だったといわれている。
現在までの走行距離は6万8000kmになっている鈴木さんのリーザスパイダー。やはりオープン状態での気持ちよさは格別で、ターボエンジンによる走りは現在のモデルと比べても不満はないものだという。車内を拝見してみると、2シーター化によりシート後部は広めのカーゴスペースとなっていて、使い勝手は上々の様子。ホールド性の高そうなスポーツタイプのシートは表皮がレザーで、不意の雨などにも対応したものになっている。面白いのはサイドウインドウで、三角窓風のデザインになっているが、実際はレールを追加しているだけでガラスは1枚もの。軽量化のためなのか、ガラスの開閉はレギュレターによる手動タイプとなっていた。
足まわりを中心にファインチューンが施されていて、サスペンションはローダウン化のためにスプリングをカット。また好みのホイールが装着できるように、純正ではPCD110の4穴タイプだったものを、ハブスペーサーをワンオフしてPCD100の4穴タイプに変更。タイヤは純正の155/70R12から、インチアップの155/60R13サイズとなっている。
左右2本出しのマフラーには、フジツボ製のマフラーカッターを追加。インテリアではステアリングを3本スポークタイプのモモ製に変更したほか、シフトノブやフロアマットを変更している。
じつは鈴木さんのリーザスパイダーは、過去に側面から他車に突っ込まれる大事故を受けたが、廃車の危機を乗り切った経験がある。「外装類は事故に遭った2000年の時点で、純正パーツの供給はすべて廃版となっていました。そこで修理をするために解体車のリーザを買って、そちらから必要な部品を移植しながらなんとか直しました。エンジ系の外装色は修理のついでにオールペンしたもので、ホンダの高級車用の純正カラーなんです」とのこと。しっかりと手入れされた美しいボディからは想像できないが、事故の影響で車体に微妙な歪みが生じているようで、多少の雨漏りが発生しているとのことだ。
約25年経過したモデルではあるが、先に触れた事故以外は、これまでのところ大きなトラブルはない。多くの旧車乗りたちが苦労しているパーツ調達も、通常のメンテに必要な消耗品に関してはほとんど困らないという。「ここまできたら、今後も大切に乗りながら長くこのクルマを維持していきたいですね。基本的には現状維持でと思っていますが、機会があれば外装だけは純正色のレッドに戻したいです」と笑顔でこたえてくれた鈴木さん。コペンのルーツともいえるレアな軽オープンモデルに、今後も各地のイベントで会えることを期待してます!
[ガズー編集部]
「ハチマルミーティング2018 @富士スピードウェイ」の記事
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