子供を連れて、母子3人で誰にも邪魔されないキャンプ地へ。自然派キャンパーの74ランクルオーナー家族
11月20日と21日の2日間、静岡県の大野路ファミリーキャンプ場で開催された「第35回ラウンドクルーザーズ・ミーティング(通称:LCM)」。同じ車種に乗るファンミーティングではあるが、キャンプ場が会場ということもあり、お子さんを連れたご家族での参加が目立っていた。
愛車のオーナー兼ドライバーの夫に連れられ、妻とお子さんが参加するという構成が多かったなかで、こちらの70系ランドクルーザーオーナーの島崎さんは、彼女と子供ふたりの3人でやってきていた。
「今日は主人のお休みが取れなかったのもあるんですが、本気でキャンプに興味があるのは私のほうなので、いつもこの3人だけで出かけることのほうが多いですね」と、家族みんなでキャンプするときもあれば、夫を置いて島崎さん&お子さんで出かけることもあるそうだ。
それも整備されたキャンプ場ではなく、自然が残ったワイルドなキャンプ場を選ぶことが多いというのだから恐れ入る。
子供のころから親にキャンプに連れて行ってもらう機会がしばしばあったという島崎さん。結婚後は、家族のファミリーカーとしてトヨタ・シエンタに乗るようになり、子供が小学校に入学してから一度、シエンタに乗ってキャンプにチャレンジ。ところが積載性の問題もあり、全力でアウトドアを楽しむにはシエンタでは少し心もとなかった。
そこでファミリーカーとして、さらに本格的なキャンプにも使えるクルマへの買い換えを考えはじめた。
「復刻版の発売がきっかけになり、10年ほど前にランクルに興味を持ちました。それでいろいろと情報を調べたんですけど、やっぱり普通のクルマとはちょっと違った特別なクルマという印象があって、維持するのが大変じゃないかな……と、遠い存在に思っていたんです」と、興味はあるが、当初は乗るのが難しいというイメージがランクルにあったそうだ。
そんななかで5年ほど前に、シエンタを買い換えるタイミングがやってきた。
「そのとき、もっとキャンプが楽しめるクルマにしたいと主人に相談したんです。最初は、キャンプやアウトドアといった趣味に使える、そんな謳い文句の軽自動車を探してみたんですよ。でも軽自動車でも予算は200万円くらいと言われ、それならランクルを選んでも変わらないのでは?と思い、このランクルを買うことになりました」
島崎さんの愛車のランクルは、2000年式のミドルボディモデル(74V型)。ご自宅の駐車スペースをオーバーするため、理想だったロングボディは断念。ショートかミドルの選択肢になり、なるべく大きなほうがよかったのでミドルを選んだ。
積載性に加えて、島崎さんにとってのランクルのメリットは走破性の高さ。荒れた路面でもガンガン走れるランクルを手に入れたことで、設備の整ったキャンプ場だけではなく、森や河原といった不整地をキャンプ地に選べるようになったことも島崎さんには好都合だった。
「とくに目的地を作らず、人が誰もいないような、自分も知らない場所を探して行くんです。人の目を気にしなくていいので気楽だし、そういう場所で焚き火をするのが大好きで。むしろ、焚き火が目的でキャンプをしているようなものですね」と、ワイルドなアウトドアがお好みとのこと。それならランクルはうってつけだろう。
そんなワイルド派のキャンプ地では、当然ながら炊事場なんてものはない。枯れ木や枯れ葉を集め、火を起こしたり、焚き火をしたりしないといけない。
「今では、自分より小学5年生の娘のほうが火起こしや焚き火が得意なんですよ。枯れ木や枯れ葉を集めて、上手に火を起こしてくれます」と島崎さん。
もうひとりの息子さんは小学3年生。撮影中も元気いっぱいで、「すぐに屋根に乗ろうとするんですよ(汗)」と島崎さん。こんなハードなアウトドアライフを子供のころから経験すれば、きっと強いお子さんに育っていくだろう。
そんな島崎さんのランクルには、よりキャンプを快適に行うためにDIYで行ったカスタムが各所に施されている。
リアゲートを開けると、そこには木製の折りたたみテーブルが設置されていた。このテーブルも島崎さんのお手製で、内張りを剥がし、みかん箱をばらして、その木材をリサイクルしてテーブルを作ったそうだ。
「新品の木材より、時間が経過した風味のある素材が好みなんですよ。そこでみかん箱を使っています」と、素材にもこだわりを見せる。ご飯を食べたり、コーヒーを飲んだり、おやつを食べたり、とっても便利そうだ。
車中泊することも多い島崎さん。また、普段の通勤にもランクルを使っているので、車中泊の目隠しと、通勤先の駐車場で日除けとして使うためにカーテンも追加。このカーテンも島崎さんのオリジナルアイテムだ。
「このカーテンは、Tシャツの染め屋さんに頼んで作ってもらったオリジナル品です。右側に自分のランクルの型式もデザインに入れてもらっています。そのTシャツの染め屋さんは、象の柄をあしらったデザインが気に入って、カーテンをオーダーしました!」という。
車内に目を移すと、ダッシュボードの上にはランクルとともに象の模型の姿も発見!とにかく象が大好きという話だった。
ドリンクホルダーもひと工夫。この無骨なデザイン、どこかで見たことはないかな?じつはバスなどで使われている折りたたみタイプのドリンクホルダーを流用しているのだ。なんでも磁石で取り付け可能らしく、ドアに穴を開けずに装着できるそうだ。ドアに穴を開けたり、加工したりしたくなかった島崎さんにとっては、ピッタリのドリンクホルダーだった。
購入時は心配だったという維持費も、ランクルが頑丈なおかげかトラブルはほとんどなく、走行距離が30万キロを超えた今でも快調だという。
「維持費は、ガソリン代がちょっとかかるかなくらいですね。燃費はお世辞にもいいとは言えないので(笑)。でも、新しいクルマを買わなくても、古いクルマを大事に長く乗り続けるのもエコだと思うんです。そう思って、これから走行50万キロを目標にまだまだ乗り続けたいですね」
アウトドアを愛し、自然とともに過ごすことに楽しみを感じる人々にとって、旧型のランクルというクルマは、快適装備が満載の最新車両よりも、ある意味で居心地がいいのかもしれない。このクルマだからこそ楽しめる世界、探検できる場所、そしてかけがえのない体験がある。
(文: 長谷川実路 / 撮影: 三木宏章)
[GAZOO編集部]
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