多忙なビジネスマンの貴重なオフタイムを支えるレクサス NX
武蔵野の森公園(東京都)をスタートし、富士スピードウェイ(静岡県)でゴールした東京2020オリンピックのロードレース。
2021年の開催以降、ロードレースコースは多くのサイクリストが走るようになり、中でも山中湖やその周辺の三国峠、道志みちはサイクリストにとって聖地の一つとなっている。
今回お会いした北川史和さんは、週末に別荘のある山中湖周辺を中心にロードバイクを走らせている。北川さんの職業は経営コンサルタント。誰もが知る世界的な企業や自治体などのコンサルティングを手掛け、平日は多くの人と会い分刻みのスケジュールをこなしている。
週末に自然の中でロードバイクを走らせるのは、一度気持ちをリセットする上で欠かすことのできない時間だという。
「いくつもの案件が同時並行的に進行していると、自分では忘れているつもりでも無意識のうちに頭の中で仕事のことを考えてしまいます。
でも、ロードバイクで山を登っているとだんだん頭の中が真っ白になり、ロードバイクを漕ぐこと以外、すべてのことが頭からなくなっていきます。いわゆる『ランナーズハイ』に近い状態でしょうね。
こうやって強制的に仕事を完全に忘れる状態を作ることで、新しい週もフレッシュな状態で仕事をすることができるようになります」
また、山道をストイックに攻めるまではしなくても、ロードバイクをクルマに積んで自然の中に行き、100kmほどのんびり走るだけでも十分リフレッシュできる。
そんな時はグルメ情報などをスマホで調べてあちこち寄り道しながら走るそうだ。知らない土地を走ると未知の体験だらけで好奇心が刺激される。これもロードバイクの醍醐味だ。
北川さんは国際会議でプレゼンテーションを行うために、海外出張に出ることも多い。そんな時も必ずロードバイクを携行する。海外でもオフの時間に数時間走ることで時差ボケの予防になるし、張り詰めた心をリラックスさせることができるのだという。
そんな北川さんの愛車は、新型レクサスNX。現在はオーダーが殺到して注文停止になるほどの人気モデルだ。滅多に実車を見ることができないクルマだけに、思わず「よく手に入れることができましたね」と聞いてしまった。
「NXの前はRXに乗っていたのですが、私には大きすぎると感じていました。駐車場などに停めるのも大変だし、ロードバイクをルーフに積むのも一苦労です。そこで2021年10月に新しいNXが発表された時、すぐに乗り換えを決意してオーダーしました」
それでも納車までには半年ほどの時間を要したという。手元にクルマがやってきたのは2022年3月。ほとんどの人が欲しくても手に入れることができない状態なので、半年ほど乗った感想を教えていただいた。
「まず驚いたのはボディ剛性の高さです。TNGAプラットフォームならではの剛性感ある乗り味は、運転していてとても安心感があります。そしてRXに比べて視界が広くなっていることも運転のしやすさにつながっていると感じます。このあたりは新しいモデルになり、かなり改善したのでしょうね」
買い替えの一番の理由はサイズ的な部分だが、NXのデザインも購入の決め手になったという。
「次世代レクサスを謳うだけあって、NXはこれまでになくデザインが洗練されたと感じています。とくに垂直に切り立ったスピンドルグリルの表現は新鮮さを感じました」
そして何より北川さんが感心したのは、HMIやエンターテインメント性能の進化だった。
「インパネ、メーターなど、クルマとドライバーの接点となる部分が大きくて見やすいし、タッチディスプレイの操作性も優れています。そしてボイスコントロールの性能も上がっています。私は新しいレクサスがものづくりだけでなくコトづくりに力を入れていることを強く感じました。
私はマークレビンソンではなくレクサスNXプレミアムサウンドシステムを選びました。それでも音質は十分すぎるほど素晴らしい。クルマを家の延長線上にあるものと考えたとき、NXは非常に満足度が高いですね」
家の延長線。北川さんはNXを何度もこのように表現した。休日に自宅から別荘に移動し、オンタイムからオフタイムに気持ちを切り替えていく。クルマはその導線になる存在だからこそ、快適でリラックスできなくてはならない。NXは自宅と別荘にプラスされる、新たな安らぎの空間となった。
一方、ロードバイクのトランスポーターとして考えた場合、背の高いSUVは使いづらさがあるのではないかとも感じた。NXの全高は1660mm。RXの1710mmより50mm低いとはいえ、北川さんはロードバイクをルーフに載せたり降ろしたりする際に踏み台を使っている。
「バイクは軽いから苦にならないよ」と笑うが、たとえばロードバイクをそのまま中積みできるアルファードのようなモデルにしたほうが、より快適に趣味を楽しめるのではないか。
「使う道具を本当に大切に扱う人なら雨などで汚したくないという思いもあるでしょうし、必然的にそういう選択をすると思います。でも私はレースで転んでも気にしないし、塗装が剥げたらタッチペンで補修すればいいと思っているタイプ。道具は使ってナンボですから。
それより楽に中積みできるクルマを選ぶことで犠牲になる部分が我慢できないと思ったのです。その一つが音響環境。クルマは空間が広くなるとどうしても音響環境的には不利になります。私にとって移動中にいい音で音楽を楽しむのも大切な時間ですから」
また、積載性を優先して走りを楽しむことを犠牲にしたくなかったという。
もともとスポーティなクルマが大好きで、学生時代は大学の先生から譲り受けたボロボロのスズキ フロンテ(錆びて床に穴が開いていたそうだ)を山道でサイドブレーキを引きながら走って遊んでいた。
アメリカに留学した時はST160系トヨタ セリカを乗り回していた。日本に戻ってからはトヨタ カムリに少し乗った後、BG型、BH型という2台のスバル レガシィツーリングワゴン、そして初代レヴォーグという3台のステーションワゴンを乗り継いだ。これらを選んだのはもちろんBOXERターボの強烈な走りを楽しむためだ。BG型は機関系にかなり手を加えていたという。
NXも北川さんはスポーティな走りを求め、Fスポーツをチョイスした。しかし実際に乗ってみると、走行中のふらつきが気になる場面もあったという。そこで純正のメンバーブレースを装着し、合わせてスポーツマフラーなどを入れてみた。これによりノイズやふらつきが劇的に減少し、満足できる走りが手に入ったそうだ。
NXが納車されて半年。北川さんはオンとオフの時間を上手に切り替えながら大きな仕事をいくつも手掛けている。NXは北川さんの相棒としてプライベートを支えてくれているが、話を伺っていると北川さんには別の願望もあるのではないかという感じがした。
というのも過去の愛車であるレガシィツーリングワゴンやレヴォーグに話が及んだとき、北川さんはものすごく楽しそうに話をしてくれた。
「もしかしてスバルにまだ未練がありますか?」と訪ねたら北川さんは大きく笑い、こう続けた。
「未練がないと言ったら嘘になりますね。もちろんNXには満足していますが、ハンドリングの楽しさなどは車高の高いSUVとステーションワゴンでは比較になりません。
新しいレヴォーグに2.4Lターボを積んだSTIスポーツRが設定されましたよね。あのエンジンはいじったら最高に楽しいと思う。でも私もいい歳ですし、そちらには行かないように自制しています。もし行ってしまったらキリがなくなりそうなのでね(笑)」
NXを自分好みに仕上げて快適な移動時間を満喫し、ロードバイクで無心になる。現在はこのライフスタイルが北川さんにとって必要不可欠なのは言うまでもない。
でも新しいスバルのスポーツワゴンは、チラチラと視界の中に入っている。もしかしたら近い将来は趣味の幅が広がり、ロードバイク以外でも頭を真っ白にする時間を持っているかもしれない。
(取材・文/高橋 満<BRIDGE MAN> 撮影/柳田由人 編集/vehiclenaviMAGAZINE編集部)
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