小学校教諭の一家が、ハイエースのキャンパーで誰もいない草原を目指す理由
真冬の厳寒期以外は毎月、某県某所にあるキャンプ可能な野原に、トヨタ ハイエースのキャンパー仕様でやってくる𡈽田さん家族。
いわゆる「キャンプ場」へは行かない。そして𡈽田さん家族が愛する野原のすぐ近くには、野原を所有および管理している山荘があるのだが、そこにも泊まらない。野原でごはんをつくって食べ、サッカーやラジコンなどで遊び、そして野原に停めたハイエースキャンパーの車内で眠る。
理由はいくつもある。
まずは「とにかくそれが楽しいから」というのが最大の理由ではあるが、「お金がかからないから」「宿と違って、子どもたちにいちいち『静かにしなさい!』と注意しないで済むから」というのも、𡈽田さんと妻が、2人の子とともにハイエースキャンパーで旅をする理由だ。
「とはいえそれと同時に『家族だけで自由な時間を過ごすこと』によって、自分にのしかかってくるさまざまなストレスを開放したい――という部分も強いのかもしれません」
𡈽田さんは神奈川県内で公立小学校の先生をしている。もともとは高校卒業と同時に保育士となり、県内の児童福祉施設などで働いていた。
それはそれで大いにやりがいを持って臨んでいた仕事だったが、いつしか「やはり小学校の先生になりたい」と思うようになり、保育士としての仕事を続けながら通信制大学に入学。5年がかりで大卒資格を取得し、さらに2年をかけて小学校の教員免許を取得した。
「で、車と旅も若い頃からけっこう好きでしたね。20代後半の頃に『私をスキーに連れてって』でおなじみのST165型セリカ GT-Fourを知人から10万円で(笑)譲ってもらって。その後はトヨタ ハイラックス サーフに乗り替えて、ちょうどその頃に妻と知り合って、トヨタ ツーリングハイエースに買い替えて……」
そして妻も言う。
「そうですね。その頃はまだキャンピングカーは持ってなかったけど、ツーリングハイエースにお布団を積んで、あちこち行きましたね。私は当時まだ運転免許を持ってなかったけど、2人で四国に行ったときの朝のことは本当によく覚えてます」
「うん、あれは忘れないね。夜に神奈川を出て、朝には淡路島で日の出を目のあたりにしていたという超弾丸ドライブでしたが(笑)、ツーリングハイエースの運転席と助手席から見たあの美しい日の出は、一生忘れられません」
「あれに味を占めて、私たちの旅人生が始まったと言えるのかも(笑)」
そして子どもが生まれると、夫婦2人および子どもたちの“旅”はさらに加速した。
ツーリングハイエースから、現在乗っているものとは違うハイエースベースのキャンパーに乗り替え、例えば鹿児島県の種子島へロケットの打ち上げを見に。また、天体望遠鏡を購入したことから生まれた縁で教えてもらった、現在通っている“野原”にも、ほぼ月1回のペースで通うようになった。
そして旅をより快適で安全なものとし、夫婦が楽しむだけでなく「2人の子どもがもっともっと多くのものを見て、さまざまな経験ができるように」と、現在乗っているToy Factory製の「BADEN」という優秀なキャンパーに乗り替えた。
「……で、先ほど申し上げたストレスの話に戻るわけですが、やはりね、学校の先生ってけっこうストレスフルな仕事ではあるんですよ。いや、どんな仕事でもそうであることはわかっていますし、しかも“小学校の先生”というのは自分がやりたくて選んだ、本当にやりがいを持ってできる仕事であることも間違いありません。誇りみたいなものも持っています。しかし……」
ここで多くを具体的に述べることはできないが、やはり“人対人”の仕事だけあって、単に「授業準備がきわめて忙しい」などの問題を超えた領域でのさまざまなストレスが、教諭という職業人にはのしかかる――らしい。
「そういったストレスに襲われたとき、もしも『ときおり旅に出る』というライフスタイルを自分が選んでいなかったとしたら、しかも『他者を交えず、愛する家族だけで時を過ごす』というタイプの旅を選んでいなかったとしたら――。
試したことがないので実際にはわかりませんが、もしかしたら『自分自身が潰れてしまう』という結果になっていた可能性もなくはないでしょう。でも、私は大丈夫なんです。なぜならばこのキャンパーと、何もない野原と、そして妻と子どもたちがいてくれるから」
ただただ草原と木々、そして青空が広がり、そんな青空の下でサッカーボールを意味もなく追いかける我が子と配偶者を見つめながら、妻も言う。
「私の場合は、仮にこのキャンピングカーがなかったとしても、自分ひとりで自分の軽自動車に乗って、ここに来るかもしれません(笑)。とにかく、普段の生活から離れて“何もしない時間”をつくるというのは、本当に大切なことなんだなと思っています。
まぁここへ来ても、結局はごはんづくりに追われていたりするのが実態ではあるのですが(笑)、今後はそのあたりをもっと上手にやりくりして、『ただただ火に薪をくべる』みたいな贅沢な時間に、私や家族の時間を費やしたいですね」
さまざまな情報や便利な品々が世の中の隅々まで行き渡った“今”という時代にあっては、「特に何もしない時間」こそが実は究極の贅沢品であることに、多くの人は気づいている。そして気づいていながら実際には、なかなかそれを手に入れられないままでいる。
ハイエースのキャンパーを手に入れたからといって、“それ”が自動的に手に入るわけでもないだろう。だが「移動する/メシを食う/休む/寝る」という人間の“根本”ともいえる行為を一手に支えてくれるキャンパーが1台あるとないとでは、人生の様相が大きく異なってくるだろうことだけは、ほぼ間違いない。
トヨタ ハイエースのキャンパーは𡈽田家の面々に幸福と“開放”とを提供しているだけでなく、𡈽田家の面々が日々交わるさまざまな人にも――例えば𡈽田教諭が教えている児童らにも――間接的にそれらをもたらしているのだなと、今、ふと気づいた。
(文=伊達軍曹/撮影=阿部昌也/編集=vehiclenaviMAGAZINE編集部)
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