釣り上げたマグロを3本、余裕で積める!プロアングラーの活動を支える2代目日産 エクストレイル
海、湖、渓流など、思い思いのフィールドで多くの人が釣りを楽しんでいる。プロアングラーは、その頂点に立つ存在だ。
15年前からプロアングラーとして活動する遠藤真一さん。千葉県の房総半島を拠点にしながら、川の源流域に棲むイワナやヤマメから大海原を回遊するマグロまで、1年を通してさまざまな魚を追いかけている。
「大工だった親父が釣り好きでね。子どもの頃から一緒に連れて行ってもらっていました。初めてやったのはブラックバスでしたね」
遠藤さんは16歳で初めて運転免許を取得。なんとそれは船舶免許だった。父親が釣り船を所有していたので、「お前も免許を持っていた方がいい」とクルマの免許より先に船の免許を取得したそうだ。
学校を卒業後、遠藤さんは父親と同じ大工になった。在来工法で住宅を建てていたが、だんだんとハウスメーカーに押されるようになり、新築ではなく修繕の仕事が多くなってきた。
自分がやりたかったのはこういうことなのか。自問自答を繰り返している時、釣具メーカー2社から「テスターにならないか」と声がかかった。
「この時は誘いをお断りしたのですが、お声がけいただいたことで自信が持てて、大工を辞めて釣具店で働くようになり、同時にプロアングラーとしての活動をスタートさせました」
そんな遠藤さんに愛車遍歴を尋ねると、大工の頃に乗っていたのはトヨタのランドクルーザー、ランドクルーザープラド、ハリアー。当時はプレミアム感溢れるSUVを好んで乗っていたことがわかった。ところが、これらのクルマはすべてとんでもない事件に巻き込まれていた。
「信じられない話ですが、この3台はすべて車両盗難の被害に遭ってしまいました。車両保険に加入していたので金銭的な被害は少なくてすみましたが、あまりにも被害に遭うので僕も窃盗団の一味ではないかという疑いまでかけられて……。疑惑を晴らすのに苦労しましたよ」
幸いにも盗難グループが摘発されたことで遠藤さんへの疑いは晴れたが、保険会社から盗難被害に遭いやすい人気SUVは避けたほうがいいとアドバイスされた。それもあって次はローダウンしたホンダ オデッセイを選んだ。遠藤さんがプロアングラーに転身したのはこの頃だ。
趣味で釣りを楽しんでいた頃は自分の好きな魚を狙い、好きなポイントに足を運べばいい。しかしプロになると、スポンサーの要望を満たしたり、より難易度の高い魚を狙ったりするためにこれまで訪れなかったような場所に行く機会も増えた。
たとえば山奥にある川の源流などがそうだ。ローダウンしたオデッセイだと車体の底やエアロを擦ってしまう。実際、遠藤さんはオデッセイのリップスポイラーを何度も割ってそのたびに交換し、いくら使ったか覚えていないという。
車高が低いため目当ての場所までたどり着くことができず、仕方なく途中にクルマを停めてポイントまで山の中を歩いたことも何度もある。腹を決めてプロアングラーになったのに、こんな状態では本末転倒だ。保険会社からはSUVは避けたほうがいいと言われていたが、遠藤さんはSUVへの乗り替えを決めた。
「今乗っているのは僕にとって2台目のエクストレイルです。オデッセイから乗り替えた時、最初は2.5Lのガソリン車にしました。結構パワーがあって走りがいいので、一発で気に入りました。最終的に16万kmくらい走ったのでそろそろ廃車かなと思っていたら、たまたま知り合いから譲ってほしいと言われたので、その人に渡しました。
じゃあ自分は次に何に乗ろうと考えた時、やっぱりベストな選択はエクストレイルだと思ったのです」
現在のエクストレイルは2Lクリーンディーゼルターボを搭載した20GT。これは最初のエクストレイルを手放した後に知り合いが営む中古車販売店から「ちょうど今、3万kmくらいしか走っていないエクストレイルがあるよ」と言われて見に行き、色とディーゼルであることに惹かれて手に入れたものだ。
2台続けて同じクルマに乗る。遠藤さんにエクストレイルのどこが気に入ったのかを尋ねると、プロアングラーとして活動していく上でこれ以上適したクルマはないと感じたからだという。
冒頭に書いたとおり、遠藤さんのフィールドは山奥から海まで幅広い。たとえば山奥の源流域でイワナなどを狙うならスズキ ジムニーのような小さくて機動力があるクルマがベストだが、それだと海でマグロのような大物を釣り上げた際に獲物を持って帰ることができない。
エクストレイルには100Lサイズのクーラーボックスが3つ積載できるので、尻尾を切って下処理したマグロ3匹分を余裕で家まで持って帰ることができるそうだ。
「しかも荷室は防水仕様なので、もし汁が出てしまってもカーペットに染み込まず、簡単に拭き取ることができます。人によっては生臭い魚を車内に積むのを嫌がりますが、下処理をきちんとして腹にもしっかり氷を入れておけば臭いはほぼしません。もちろん、まったくしないわけではありませんが(笑)」
撮影やイベントなど、遠藤さんの釣り場は全国津々浦々。東北だろうが、九州だろうが、エクストレイルで向かう。イベント主催者などからは新幹線や飛行機で来てもらっても構わないと言われるそうだが、「だって釣った魚は家に持って帰って食べたいじゃないですか」と笑う。
自然の恵みに感謝し、釣り上げたものは無駄にせずありがたくいただく。これも釣り人の大切な心持ちなのだろう。
ちなみに遠藤さんが大工時代に乗っていたランクルなどにもう一度乗りたいとは思わなかったかを尋ねると、大きく首を横に振った。
「ランクルは山奥に行くには大き過ぎます。林道を走ることはできても、はみ出した小枝などでボディを傷つけるのは避けられません。もったいなくてそんな場所にランクルでは行けないですよ(笑)」
いろいろなことを気にせず気軽に乗れるのも2代目エクストレイルの魅力なのだろう。話を聞くと、遠藤さん以外にも同じクルマに乗るプロアングラーが何人かいるという。
一昨年、長く勤めた釣具店を円満退職し、プロアングラーとしての活動に集中する体制が整った。現在は釣りファンのためにツアーなども企画している。山奥に行く際は目的地の途中で集合し、遠藤さんのクルマに乗って目的地に向かう。そして、遊漁船も手に入れ、これから船長として海釣りファンをサポートしていく予定だという。
「もちろんその日に自分が狙った魚を思ったとおりに釣り上げるのは嬉しいことですが、今はそれ以上に人が喜んでいるのを見るのが楽しい。だからいろいろな形で釣りファンを楽しませていけたらと考えています」
40代も半ばを過ぎて、自分が本当にやりたいことができる環境が整った。T31型エクストレイルは、これからも全力で遠藤さんの活動をサポートしてくれるはずだ。
https://www.instagram.com/shin1_endo/
(取材・文/高橋 満<BRIDGE MAN> 撮影/柳田由人 編集/vehiclenaviMAGAZINE編集部)
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