S耐レプリカ仕様を夢見て。愛車GRヤリスはレース好き青年の自由なキャンバス
ハッチバックボディのGRヤリスのトランクルームに、溢れそうなほどの愛車にまつわるグッズを詰め込んで、大蔵海岸公園での取材会に臨んでいただいた森諒太さん(25才)。
Jリーグで活躍するサッカークラブ『名古屋グランパス』のユニフォームを身にまとっているのは、愛知県への郷土愛の現れはもちろんだが、なによりも胸にドドーンと『GRヤリス』のロゴがデザインされているからに他ならない。
まさに“愛車”と呼ぶにふさわしい森さんのGRヤリス愛は、いったいどのように育まれていったのか?これまでのカーライフをお聞きした。
「両親からむかしの写真を見せてもらったら、小学校に入る前から完全にクルマ好きな子どもだったみたいです」
そう話す森さんにとって、最も影響を受けたのはクルマ好きな両親の存在だったという。
「物心が付いたころから、両親といっしょにモーターショーやサーキットイベントに連れて行ってもらうことも多かったです」
しかも、ただイベントを観覧するだけではなく、森さんの父がかつて所有していたマツダ・ランティスは、ショップのデモカーといえるほどのカスタムを施し、カスタムカーショーの名古屋オートトレンドに出展車両として展示されることもあったほどだという。
そんなクルマ好き家族のひとりとして育った森さんは、18才になるとすぐに念願の自動車免許を取得。教習車を卒業して最初に乗ったのは、マニュアル仕様のトヨタ・86だったという。
「86は母親が通勤用に乗っているのを借りて乗りました。昔はマツダのデミオだったんですが、自分が大きくなってからは前期型の86に乗り換えていましたね」
高校卒業後は自動車短大へ進学したという森さん。そしてついに、自分にとって初めての愛車を手に入れるタイミングがやってくることとなる。
「もともとスーパーGTが好きだったということもあって、一番好きだったのが、JZA80型スープラがベースのエッソウルトラフロースープラでした。だから、免許を取ったら自分もスープラに乗りたいな…と憧れていたのですが、当時はもう中古価格が高騰しすぎていて手の届く範囲じゃなくなっていましたね(笑)」
泣く泣くスープラへの夢を諦め、地元の愛知県内で様々な中古車を探していたなかで、とある中古車屋に置かれていたNB型ロードスターに一目惚れしてしまったという森さん。
「そのロドはワイドフェンダーが付いた3ナンバー公認車両でした。(グループ)Cカーやスーパーシルエットみたいなレーシングカーのような雰囲気のクルマに乗りたいと思っていたのもあったし、いずれサーキットも走ってみたいと思っていたので『これだ!』という感じでした」
ロードスターを手に入れてからは、学校に通うかたわら友人と出かける週末のドライブが習慣だったと森さん。ミーティングも小規模なものから大きなイベントまでロードスターを相棒に参加するようになり、そこではロードスター乗りの年上のクルマ好きの方々との関わりもできたという。
社会人になってからも合計6年間乗り続けて愛着が芽生えたロードスターは、車検こそ一時抹消しているものの、いずれサーキット走行などに出番がやってくることを考えて大事に保管しているそうだ。
そして2019年末、GRヤリスが発表される。
「ニュースを見て『なんか凄そうなクルマがトヨタから出たぞ』というのが第一印象でした。その直後に開催された東京オートサロン2020で実車を見ながら話も聞いて、購入する決意はそこで固めましたね。愛知出身でスープラが好きでトヨタにも思い入れがある、そんな自分にとって『トヨタがイチから作ったスポーツカーが出てきた』とあれば、もう買うしかないだろう、と」と森さん。
その後、初めて新車を注文するにあたって両親とも相談する期間を経て、初回受注締め切りギリギリの6月末にGRヤリスの最上位グレードであるRZ High Performance First Editionを注文。
そして、納車されるまでのはやる気持ちを抑えられなかった森さんはGRヤリスの試乗車に乗るため、各地のトヨタディーラーを巡っていったという。
「とにかく納車前にもGRヤリスのことを良く知りたい!と思って、9月の発売時からいろんな店舗でグレードの違う試乗車などにも乗りました。意外にも愛知は試乗車の配備が遅かったみたいで、早く乗るために県外のディーラーにも出かけました」
そうして待ちわびた愛車は翌年の2021年2月にめでたく納車。取材時までのおよそ10ヶ月間で、走行距離が2万6000キロを数えるほどに乗り込まれていた。
「見た目は普通のヤリスがゴツくなっただけかなという印象だったんですが、乗ってみると軽快感が全然違って、想像以上のクルマでした。エンジンが1.6Lとは思えないほどのパワーがあって、そのままサーキットにも行けちゃえそうなほどスポーツカーとしてのポテンシャルが高いのに、快適性が良くて街乗りもまったく苦労ない。まさにオールマイティなクルマだと感じましたね」
そして、GRヤリスを愛するが故にコレクションを続けているグッズの数はもはや数え切れないほど。
「愛知の人間なので、むかしから野球は中日ドラゴンズ、サッカーは名古屋グランパスのファンなんです。とくに2020年のグランパスはユニフォームにGRヤリスのロゴが採用されたので、その年はひたすらオフィシャルグッズを集めていました(笑)」
そんな森さんには、自身の相棒のGRヤリスとともにやってみたいと考えている、とある野望が存在するようだ。
「スーパー耐久に参戦していたROOKIE Racingのレプリカ仕様のGRヤリスを作りたいんです!」
GAZOO.com内でもたびたびその様子をリポートしてきたこともあるROOKIE Racingは、トヨタの豊田章男社長が自ら立ち上げたレーシングチームであり、豊田社長自身も愛称の“モリゾウ”という名でドライバーとしてエントリーしていることでも知られている。
「ROOKIE Racingのカラーリングも好きだし、なによりもS耐のGRヤリスにはマスターテストドライバーのモリゾウさんご本人も乗っていたじゃないですか。GRヤリスオーナーの自分にとって、一番思い入れが強いチームなんです」と、レース観戦が趣味という森さんならではの理由が。
ちなみに現在でも、行動圏内の富士スピードウェイや鈴鹿サーキットでスーパーGT、スーパー耐久、スーパーフォーミュラといったレースの現地観戦は欠かさない趣味のひとつだという。
そして、実は今回の取材をきかっけにレプリカ仕様の第一歩を踏み出したという森さん。
「ホイールをS耐のGRヤリスが履いていたウェッズスポーツTC105Xに履き替えてきました。じつは結構前に手に入れたホイールで、ガリ傷ができるのがこわくてずっと置いたままだったんですが、せっかく撮影してもらえるということでこの機会に交換してきました!だけど、交換せずに待っているあいだに本物のほうのホイールは別の物に変わっちゃったんですけどね(笑)」
これを皮切りに外装のフルラッピングをはじめとした本格的なレプリカ仕様への道を進め、いずれはロードスターのころのようにサーキット走行にもチャレンジしたいという目標も話してくれた。
人生初の新車として手に入れた自分だけの相棒であるGRヤリスの真っ白なボディをキャンバスに、これからも森さんの描く夢は広がっていくばかりだ。
取材協力:大蔵海岸公園
(⽂: 長谷川実路/ 撮影: 稲田浩章)
[GAZOO編集部]
GAZOO愛車広場 出張取材会 in 兵庫
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