フェアレディ―Zに乗るためAT限定解除、今や愛車が生きる活力
フェアレディZに興味を持ったことをキッカケに、AT限定免許を限定解除して現在の愛車を手に入れたという”りねかさん”。彼女の生活スタイルまで変えてしまったというほど溺愛する愛車とのカーライフについてお話を伺った。
スポーツカーを愛するオーナーさんを取材させていただくと、最初はクルマに興味がなくてオートマ限定免許を取得したものの、その後スポーツカーを運転するために限定解除をしたという方に出会うことがある。
沖縄県浦添市在住の”りねかさん”(28才)も、この日産・フェアレディZに乗るために3年前に限定解除し、今では「我が子のように」大切にして充実したカーライフを満喫しているというスポーツカーオーナーのひとりだ。
「私がZを好きになったのは『湾岸ミッドナイト』のアニメを見てからです。それからどうしてもZに乗りたくなって、どうせ買うなら新しいほうがいいとZ34を買うことにしたんです。ただ、私はもともとオートマ限定免許しか持っていなかった。でもクルマ好きな旦那の『オートマ車じゃ絶対ダメ。買うならマニュアル車で』という方針で限定解除することにしました。でも、当時は限定解除するのがすごく嫌だったんです。慣れるのにも苦労しましたから…」
そうは言っても、根が負けず嫌いという”りねかさん”は「できないというのは嫌だから、絶対にコンプリートしてやる」と練習に励み、試験は見事にストレートで1発合格。そして3年前にマニュアルミッションで2014年式のフェアレディZ Z34(VQ37VHR)を購入し、約7年間のオートマ車ライフを卒業したという。
「前に乗っていたハスラーは、新車で買って5年も乗っていなかったけど、このクルマに乗ると決めてすぐに売りました。さらに旦那さんのフィットRSハイブリッドもマニュアルなので、もうマニュアル車に乗るしかない状況でした(笑)。ただ、Zがうちに来た当初はやっぱり運転がストレスで嫌でしたね。マニュアル車の運転にすら慣れていないのに、このクルマだから、とにかく怖くて怖くて」
しかし、そんな”りねかさん”も今では「運転がめっちゃ楽しいし、今考えると限定解除して本当によかった」と、マニュアル車のZ34での運転を楽しむようになっている。
そしてZ34に乗り始めてからはそれまでカフェなどに費やしていた時間が全部クルマと過ごす時間に変わるなど、彼女の生活スタイルも大きく変化していったという。
「まず、女子特有の集まりにほとんどいかなくなりましたね。『この金額ならガソリンが〇〇くらい入るし』とか考えたら純粋に楽しめなくなってしまって。クルマの趣味は共有できる人が近くにいるし、自分でドライブに出掛けて写真を撮っているほうが楽しくなっちゃって。まわりからは『あの子めっちゃ変わったね』って言われているらしいです(笑)」
そんな現在の”りねかさん”は、普段の通勤などにはフィットRSを使い、休日は旦那さんを伴ってこのZ34で撮影スポットを探しながらドライブを楽しんでいるという。
「ぜんぜん触っていなかったカメラは、この子を買ってからめっちゃ触るようになりました。ドライブしていいところを見つけたら撮影してってかんじです。私とこの子のツーショットは一緒にドライブしてくれる旦那にお願いしています」
取材に同行してくださった旦那さんにお話を伺うと「本来だったら旦那がクルマ好きで奥さんに反対されるものなんでしょうけど、うちは逆なんです。僕、本当はR34スカイラインが好きなんですよ。でもりねかが『Zに乗りたい!』というのを優先して、利便性とマニュアルで燃費のよいフィットに乗っているかんじです(笑)」と、すっかりクルマに魅了された”りねかさん”の気持ちを最優先に、微笑みながら彼女のカーライフをサポートしている様子がとても印象的だった。
そして今はこんなにも美しくてカッコ良い佇まいのこのZ34だが、実は1年ほど前に事故で廃車級の損傷を負ってしまったのだという。
「いわゆる右直事故でした。エアバックも全部出てしまった状態で、直す費用も高いし、修理したとしても修復歴ありのクルマになってしまうので、廃車まで考えたんですけど…でも彼女が『このZがいい』と言ったので、半年以上かけて修復したんですよ」
「この子が私の命を助けてくれたんです。というのも、エアバックの効果が大きくて、私はかすり傷くらいでした」
“りねかさん”によると、エアバックはハンドルだけでなくピラーやシートからも作動して彼女の身を守ってくれたそうだ。
こうしてますます”りねかさん”の愛情が深まったZ34について、彼女のこだわりポイントやお気に入りについて伺ってみた。
「このガンメタカラーは購入時にこだわった点ですね。最初は定番の白か黒かで悩んでいたんですが、他人と被らない色にしたいけれど派手なのも嫌だった。そこでメカっぽい雰囲気のあるこのガンメタを選びました。とても気に入っています」
また、クルマを買ってから交換したホイールとマフラー、ウイングを含むスタイリッシュな斜め後ろからのフォルムが特にお気に入りという。
「このワーク製ホイールはZ乗りのオーナーさんからのお下がりで特注品らしいんですけど、まわりからは『白ホイールは絶対似合わない』って批判されました。でも私はこれがいいなって思ったんです。『そんなことないよ』って貫き通して正解でした! ホイールといっしょにテイン製の車高調も装着しました」
また、マフラーとウイングにも”りねかさん”のこだわりが反映されている。
「マフラー出口のチタンカラーの配色が20種くらいあってめちゃくちゃ迷いました。でもこれと同じアイテムをつけているZを見て、これなら間違いないって。マフラー音も意外と紳士なんですよ。ウイングも、あまりわざとつけたみたいな感じが嫌だったので、この形状を選んだんです」
一方の車内については、ステアリング以外は純正のまま。これには”りねかさん”ならではの理由があった。
「ステアリングは事故後に交換したんですが、ホイールに合わせて白いアベニュー製にして、スポークもマフラーと合わせてチタンカラーにしました。シートも本当はバケットシートを装着したかったんですけど、身長が足りなくて調整しても乗れないので諦めました(苦笑)。でも、エアバッグ付きの純正シートは私の身を守ってくれましたから、大事な存在です!」
大きな事故を乗り越えて3年間乗り続けているこの愛車に、ますます夢中な”りねかさん”。そんな彼女にはこの後もやりたことが山ほどあるのだとか。
「例えばエアロやウイングをバリス製かニスモ製にしてみたい。ニスモは赤いラインがトレードマークですけど、私ならあえて全部ガンメタ色にして馴染ませるようにしたいですね。それに内装も変えていきたい。目指している仕様にするにはめちゃくちゃお金がかかるし、一気にはできないので、どう攻めていこうか旦那と検討中です」
Z34に出会ってから大きく変化していった“りねかさん”のカーライフ。そんな愛車について、最後に彼女はこう語る。
「このZ34に出会うまでの私は多趣味で、全部が“浅かった”。基本的に冷めやすいタイプだったのでこのクルマを買ったときも『そのうち飽きるのだろうな』と思っていたけれど、こんなにのめり込んでしまいました。これまで、こんなにひとつのことに没頭したことがないので、飽きるタイミングがわかりません(笑)。私にとってこのZ34は我が子のようで、まさに生きる活力。仕事も含めて、この子のために生きているという感じですね」
“りねかさん”の愛車への情熱は、冷めるばかりかヒートアップしていくばかり。きっと数年後には、さらに彼女らしさが詰まった素敵な相棒に仕上がっていることだろう。
いつかまた、その姿を見られる機会がありますように!
取材協力:オリオンECO 美らSUNビーチ
(⽂:西本尚恵 / 撮影:土屋勇人 / 編集:GAZOO編集部)
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