ホンダシビック「ダブル・アール」と暮らす。 “軽さ”を好むオーナーが惚れ込んだ限定車。

2007年に300台限定で発売された『Honda CIVIC MUGEN RR』。“軽さ”にこだわって愛車をチョイスして江口さんはこのクルマに惚れ込み、手を尽くして手に入た。沖縄の空の下で暮らす程度極上のダブル・アールとのカーライフを教えていただいた。

愛車を選ぶ際の基準は、見た目、性能、使い勝手などひとによってさまざまで「どうしてそのクルマを選んだのですか?」という問いかけは取材時にも必ずと言っていいほど使う常套句だ。
そんな問いかけに、こう返してくれたのは沖縄県糸満市に住む江口理之さん(59才)。
「昔から三菱のランサーターボやギャランVR-4のラリー専用モデルなどを乗り継いできたんですが、基本的に軽いクルマが好みで、クルマ選びの際にはまず車重から見てしまう傾向にあります。車重の軽さってブレーキングした時に実感しますよね。それに、軽いといろんなものが壊れにくいと思うんです。乗っている時に自分があまり見ることのない外装は、正直あまり気にならないかな」
そんな江口さんが、新車から大切に乗り続けているという愛車は『Honda CIVIC MUGEN RR (ダブル・アール)』だ。

  • Honda CIVIC MUGEN RR (ダブル・アール)

ホンダ専用のアフターパーツを製造販売し、F1やスーパーGT車両のエンジンも供給するなどホンダのモータースポーツを支え続けてきた『無限』ブランド。
そんな無限が、長年の間に培った技術やレース活動でのノウハウを注ぎ込んで、シビック タイプR(FD2)をベース車とした初のコンプリートカーとして2007年に300台限定で発売したのがMUGEN RRだ。

  • Honda CIVIC MUGEN RR (ダブル・アール)のエンジンルーム

専用のチューニングによってパワーアップしたエンジン、減衰力調整機能付きサスペンションに専用ブレーキシステムなどによって走行性能を高め、そしてフロントバンパーやリヤスポイラーのセンター部分、エンジンカバーやエアクリーナーなどをカーボン製とすることで軽量化を図っているのが特徴といえる。

このMUGEN RRが発売される1週間前に、ディーラーでシビックタイプRを借りて試乗していたという江口さん。
「ディーラーから借りていたタイプRは、軽かったけれどサスペンションがすごく硬くて、でもそれがまたレース車両っぽくていいなと感じたんです。僕はもともと東京に住んでいて、移住して30年近く経つんですが、東京にいた頃はレース車両でサーキットを走っていたこともあったので、なんだかそれが懐かしく感じてタイプRを欲しいなと思い始めていました。そんな時、1週間後にこのMUGEN RRの発売が発表されたのでこれにしよう!と思ったんです」
こうして購入を決めた江口さんだが、やはり人気の限定モデルだけあって、入手するまでには困難を極めたという。

「抽選ではなかったけれど沖縄で買うことはできなくて、購入予約ができそうなところをいろいろ調べているうちに、宮崎県のディーラーさんを紹介いただいたんです。そこでなんとか購入することができて、宮崎から沖縄まで送ってもらいました。購入したのは2007年10月でしたが、納車されたのは2008年の6月だったので、半年かかりましたね。ただ、手に入れることに夢中で駐車場のことをすっかり忘れていたんですよ。それで、購入が決まってから慌てて隣のおばちゃんの畑を売ってもらってガレージを作ってと、結構バタバタしました。ガレージが完成したのが納車1ヶ月前だったので、結果的にはタイミングよかったんですけど(笑)」

  • Honda CIVIC MUGEN RR (ダブル・アール)

こうしてMUGEN RRを手に入れた江口さんは、友人たちとのツーリングやジムカーナなどでその走行性能を満喫するようになった。また、時にはファミリーカーとして使われることもあったという。
「長野で開催されたRRのミーティングの時はさすがにクルマを持っていけなかったので、僕だけ単身で参加しました。これまで一度も本土にクルマを運んだことはないんですよね(苦笑)」

  • Honda CIVIC MUGEN RR (ダブル・アール)

実際に乗ってみて一番気に入っているのが、その抜群の乗り心地。「ノーマルのタイプRよりも乗り心地がいいんですよ。サスの減衰を5段階に変えられるけど、一番硬くしてもノーマルより跳ねる感じがしないんです」と絶賛だ。
また、購入してからカスタムした箇所はほとんどなく、15年経った今でもノーマルを維持しながら美しい状態を保っている。
「外装で唯一手を加えたのが、ホイールです。買ってすぐに赤いラインのシールを貼りましたね」
購入の決め手となったポイントのひとつだというF1を彷彿とさせるリアフォグも健在だ。

そんな江口さんはMUGEN RR以外にもクルマやバイクを所有していて、天候や用途に応じて使い分けながら沖縄でのカーライフを楽しんでいるという。
「ガレージには息子のアルトや奥様のクルマ、さらにオープンスポーツカーのアリエル、そしていろいろなジャンルのバイクを5〜6台置いています。趣味のダイビングにいくときはアルトで、晴れていて友達と出かける時はオープンカーのアリエルかバイク、MUGEN RRも雨が降ったときや乗りたい気分の時に活躍しています。さらに、実は移動手段は他にもあって、駅伝などの陸上競技をやっているので毎日10kmは走っています!だから、車やバイクよりも自分で走っている距離のほうが長いかもしれません」

「最近はアリエルというメーカーのレーシングカーみたいな4輪マシンが楽しくて、ボーガン製の3輪車も気になっています」という江口さん。
50ccエンジンを搭載したミニカー登録車の光岡自動車製キットカーもお気に入りで「1人乗りなのでワンコとドライブによく行きます」とのこと。
“軽さ”を重視する江口さんらしさが現れた乗り物選びで、南国でのドライブを想像するだけで爽快な気持ちになれそうだ。

ここ数年はMUGEN RRが活躍する機会は減ってきているものの、バッテリーは常に充電し、車検も自分で取りに行ってナンバー付きを維持するなどいつでも乗れる準備は万端。現在の走行距離は約26000kmで、今後もこの美しい状態を保ち続けていきたいという。

  • Honda CIVIC MUGEN RR (ダブル・アール)

趣味の水中撮影をするために沖縄へ移住し、来年で30年目という江口さん。このMUGEN RRをはじめ、アリエルや各種バイク、そして自分の足というさまざまな移動手段を駆使しながら、今後も充実した南国でのカーライフを送っていくに違いない。

取材協力:オリオンECO 美らSUNビーチ

(⽂:西本尚恵 / 撮影:土屋勇人 / GAZOO編集部)