ルノー愛好家だったオーナーが往復200km通勤の相棒として選んだスズキ・イグニス
「社会人になってはじめて買うクルマは、セリカと決めていました」
1970年生まれのHata-sanさんは、16歳でバイク、18歳になると自動車の免許を取得して自分のクルマを所有するのが当たり前という時代で育ち、例に漏れずクルマに興味を持つようになっていたという。
そんなHata-sanさんがひと目惚れしたのが、社会人となった1989年に同時期にデビューした5代目セリカ(ST180)。絶対に手に入れると決意して貯金を始め、1991年にマイナーチェンジしたタイミングでセリカ(ST182)を購入したそうだ。
こうして待ちに待ったHata-sanさんのカーライフがスタート。いっぽうで、時を同じくしてキャンプも趣味となっていたという。
「セリカでは沢山の荷物を積載できないので、同僚のランドクルーザーを借りていました。セリカは気に入っていましたが、いつしか『キャンプ道具を積めるクルマが欲しい』と思うようになっていましたね」
そんなHata-sanさんに新たな出会いが訪れたのは、とある中古車屋さんでのこと。
「ある時、ふらっと立ち寄った中古車店に『ルノー・5(サンク)』が展示されていたんです。シートに座らせてもらうと、あまりの座り心地の良さに驚きましたね」
それ以来、ルノーというクルマに興味を持ち始めたHata-sanさんは、1995年のフランクフルトモーターショーに展示されていたルノー・メガーヌの存在感に衝撃を受け、そんなメガーヌのバリエーションのひとつとして登場したメガーヌ・セニックに心を奪われたという。
「モノスペースカーと呼ばれるセニック独特のフォルムに“こんな奇抜なデザインのクルマがあるんだ”とひと目惚れしました。そして、ルノー・メガーヌ セニックの本国発表から2年後となる1997年、待ちに待った日本での発売決定を受け、実車を見ることなくカタログだけで購入を決めたんです」
ちなみに、これは九州地区で第1号の契約車だったとか。
「フランス車特有の快適な乗り味やシートの座り心地のよさ、吸い付くような粘りのあるコーナリング、最大容量1,800ℓの荷室スペースを確保することもできる後席の多彩なシートアレンジは、キャンプ道具の積載に最適と、すべてが自分にピッタリで、もうほかのクルマには乗れなくなっていましたね」
この1997年式メガーヌ・セニックを皮切りに、ルノーの沼にハマったHata-sanさん。フランス車やイタリア車が集まるコミュニティにも参加し、イタフラ車のクルマ仲間も増えていったという。
そして、そんなルノーとのカーライフは、2006年に待望の第1&2子となる双子が誕生したことで、さらに加速していくことになる。
というのも当時、奥さまは初代キューブ(Z10型)乗っていたのだが、双子用のベビーカーが積載できなかったのだ。そこで「必要に迫られていたため『困ったどうしよう!』『だったら、カングーがいいんじゃない!?』と、ホームセンターで日用品を買うような感覚で、慌ててルノーの販売店に行ってカングーを契約してきました(笑)」という冗談のようなエピソードは本当のハナシ。
といったワケで、メガーヌ セニックとカングー(2007年式)という2台のルノー車を所有することになったHata-sanさん一家。その後、祖父母をクルマに乗せて移動することが多くなり、2008年にはメガーヌ・セニックを7人乗りのグランセニックに買い換えたそうだ。
しかし、それから1年後の2009年、Hata-sanさんのカーライフを一変する転機が訪れる。
職場の勤務地が佐賀から熊本に代わり、福岡から通うため往復200kmという超ロングドライブ通勤がスタートしたのだ。
最初の1年こそグランセニックを使用していたが『快適すぎて眠くなる』『パーツの消耗が早すぎで維持費が高価になる』と、通勤車両を奥さまが乗っていたカングーへと変更。そうして2016年まで7年間カングーで通勤していたが、ついに走行距離が35万kmとなり『そろそろ次のクルマを』となった。
そして、維持費を考慮した結果「これを機にフランス車を卒業しても良いのでは?」ということになり、カングーに代わるクルマ探しをはじめたという。
「長距離通勤がメインとなるので、小排気量でタフなクルマを探していて、ちょうど同時期に開催されていた福岡モーターショーを見に行ってみたんです」
そこでHata-sanさんの目に留まったのが、コンセプトカーとして展示されていた『イグニス トレイルコンセプト』。
「欧州車的なデザイン、大きすぎず小さすぎないサイズ感も良かったです。特に気に入ったのがメーターまわりで、直線的でシンプルなデザインが気に入りました。長距離通勤をしているとメーターパネル、ダッシュボードがLEDやメッキパーツでギラギラしていると目が疲れるんですよ。ただ、シートだけはフランス車の座り心地の良さに体が慣れてしまっていたので、自分の好みとは違って残念だったのを覚えています」と、シート以外はほぼ合格点となり、候補車としてピックアップされることに。これがイグニスとの出会いとなる。
そして、コンセプトカーだったイグニスが市販車としてデビューすると、カングーが車検の時期を迎えたタイミングで、スズキの販売店を訪れて現車を確認。「懸念していたシートが改善されていなかったら、候補落ちしていましたが座面が広く、クッションもしっかりしていて合格レベルの座り心地の良さでした」ということで購入を決意したという。
2017年10月までカングーに乗り、翌11月には晴れてイグニス Fリミテッド(FF21S)を購入。ボディカラーはイグニスのイメージカラーとなる『フレイムオレンジパールメタリック』をチョイスした。
ちなみにHata-sanさんは「優柔不断な性格なので、買うクルマは必ずカタログの表紙と同じボディカラーを選んでいます」と、セリカやルノー車など今まで購入した愛車はすべてカタログの表紙になっている車両と同じ色にすることで、どの色にするかという悩みの種を軽減しているという(笑)。
「イグニスって、よく見ると歴代スズキ車のイイところをオマージュしているように見えるんです。例えば、フロントグリルやヘッドライトまわりは初代のセルボみたいだったり、ボンネットガーニッシュはエクスクードっぽかったり。Cピラーはフロンテクーペで、ブラックアウトしたピラーはスイフトなど、個性的なデザインだと思います」
特に斜めから見る前後方アングルのフォルム、高いヒップポイントによる見晴らしの良さもお気に入りだそうだ。
そんなイグニスに乗りはじめて2023年で6年が経過し、その総走行距離はなんと24万km。1週間で1000km走行し、エンジンオイルは3ヶ月ごとに交換しているという。
走行12万kmあたりでISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)が壊れ、リビルト品に交換したものの、その他はタイヤのパンクを除けばほぼノントラブルで、とても経済的なクルマだとHata-sanさん。
ちなみに通勤路である片道100kmの所要時間は1時間45分。その内訳は、下道が約33km、高速道路が約67kmで、オートクルーズ機能も大活躍しているのだとか。
そして、それほどの距離をイグニスと共に過ごしてきたHata-sanさんは、こうも言う。
「スズキのクルマって、1990年代のルノーに通じるものがあるんです。オリジナリティ溢れるデザインに、走る・曲がる・止まるというクルマの基本性能もシッカリ。確かなモノづくり、かつリーズナブルにクルマの楽しさを提供してくれるという所に共通性を感じます」
イグニスがキッカケで今度はスズキ車にハマるようになったHata-sanさんは、車検を機に奥さまが乗っていたグランセニックの買い替えを決意した際にも…
「グランセニックを手放すとなって、欧州車を卒業するのが少し寂しくなったんです。イタフラ車のコミュニティにもずっと参加してきましたし…。そこでもう一度、今必要な愛車の条件を整理してみたんです。『家族4人乗れる』『レギュラーガソリン』『背が高く乗り降りしやすい』『近年水害が多いので悪路走破性の高い四輪駆動』『妻が運転できるコンパクトさ』『グランセニックと同じ水色』という、6つの条件でした。そして色々と探してみると、あるじゃん! エスクード!! といった流れでした」
写真は、グランセニックとのお別れとなったエスクードの引き渡し時に、スズキの店舗で撮影したものだという。
「フランス車からは卒業しましたが、現在は2台のSUZUKI ALL GRIP(欧州スズキ4WD車の名称)のコンパクトSUVオーナーとなって、新たなカーライフを愉しんでいます」
そして、今回の撮影会を前に『さらにSUVらしく!』と、イグニスのタイヤをトーヨー・オープンカントリーR/T(175/60R16)に交換してきたという。
「高速道路走行には不向きですが、実際に走行してみると違和感を感じることはほとんどなく、逆に拍子抜けでしたね(笑)。懸念していたロードノイズや乗り心地ですが、一般道ではノイズが少し気になりますが、高速走行の時速80km/hを超えると気にならず、1週間で慣れました。乗り心地もほとんど変わらず、タイヤの分厚いゴムのせいなのかイグニス特有の突き上げ感が解消されてフラットな乗り心地になりました! その他、加速が少し鈍った程度なので気にするほどでもなく、燃費は約1km/ℓダウンしたけど許容範囲内だったので優秀ですね」
「自称ですが、恐らく『ワンオーナー国内最高走行距離&飛び石被弾数ナンバーワン』のイグニスです。CVTがじわじわと滑りはじめているので心配ですが、様子をみながら大切に乗っていきたいです」
グランセニック、カングー、イグニスと乗り継ぎながら、トータルで14年間も福岡~熊本の往復200kmを通勤し続けてきたHata-sanさんの目標は、このイグニスで前車カングーの走行距離35万kmを超えることだそうだ。計算ではこのクルマであと3年乗れば36万kmの走行距離となる予定である。
そんなイグニスは、今日もHata-sanさんの相棒として往復200kmの通勤路で活躍中だ。
取材協力:虹の松原森林浴の森公園(佐賀県唐津市浜玉町浜崎)
(文: 櫛橋哲子 / 撮影: 平野 陽)
[GAZOO編集部]
スズキのクルマが愛車
-
-
「自動車」の進化は「人」の進化。仲間とワイワイ楽しむためのスズキ キャラ
2024.11.12 愛車広場
-
-
-
日本一有名な(?)クルマ馬鹿がたどり着いた「ジムニー シエラ」という境地
2024.09.27 愛車広場
-
-
-
『親の英才教育』でクルマ好きになった青年の愛車ライフ、スイスポからGR86へ
2024.08.22 愛車広場
-
-
-
地球を17周!? エブリイバンで68万キロを走破する驚きのカーライフ
2024.08.20 愛車広場
-
-
-
スズキ・スイフトスポーツで行く峠巡り。ハンドルを握っている時間は、自分らしくいられる時間
2024.08.04 愛車広場
-
-
-
小さくても頼もしい。マリンスポーツも難なくこなすスズキ ハスラーの実力
2024.07.12 愛車広場
-
GAZOO愛車広場 出張取材会in 佐賀
-
-
15年の冬眠期間を経て、新たに漕ぎ出した“ニーナナレビン”と二人の時間
2024.02.28 愛車広場
-
-
-
カーニバルイエローのホンダ・ビートと歩み始めたハタチの初愛車ライフ
2024.02.28 愛車広場
-
-
-
ルノー愛好家だったオーナーが往復200km通勤の相棒として選んだスズキ・イグニス
2024.02.27 愛車広場
-
-
-
「走らせなきゃもったいない!」タフな2000GTとの愛車ライフ
2024.02.27 愛車広場
-
-
-
クーペスタイル好きがたどり着いたのは、かつて憧れたトヨタ1600GT
2024.02.26 愛車広場
-
-
-
スズキ・ジムニーはミニマムサイズで最大限の幸せを実現するドリームカー!
2024.02.26 愛車広場
-
最新ニュース
-
-
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
2024.11.21
-
-
-
軍用ジープが最新モデルで蘇る…ドアなし&オリーブドラブが渋い「ラングラー ウィリス'41」発表
2024.11.21
-
-
-
EV好調のシトロエン『C3』新型、欧州カーオブザイヤー2025最終選考に
2024.11.21
-
-
-
「めっちゃカッコいい」新型レクサス『ES』のデザインにSNSで反響
2024.11.21
-
-
-
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
2024.11.21
-
-
-
日本発の「ペダル踏み間違い防止装置」、世界標準へ…国連が基準化
2024.11.21
-
-
-
楽しく学べる「防災ファミリーフェス」を茨城県の全トヨタディーラーが運営する「茨城ワクドキクラブ」が開催
2024.11.21
-
最新ニュース
-
-
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
2024.11.21
-
-
-
軍用ジープが最新モデルで蘇る…ドアなし&オリーブドラブが渋い「ラングラー ウィリス'41」発表
2024.11.21
-
-
-
EV好調のシトロエン『C3』新型、欧州カーオブザイヤー2025最終選考に
2024.11.21
-
-
-
「めっちゃカッコいい」新型レクサス『ES』のデザインにSNSで反響
2024.11.21
-
-
-
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
2024.11.21
-
-
-
日本発の「ペダル踏み間違い防止装置」、世界標準へ…国連が基準化
2024.11.21
-