マツダ・アクセラが教えてくれた『クルマが楽しい』という感覚

  • GAZOO愛車取材会の会場、富山県射水市の海王丸パークで取材した2018年式マツダ・アクセラ15Sプロアクティブ(BM5FP)

    2018年式マツダ・アクセラ15Sプロアクティブ(BM5FP)

幼い頃からクルマに興味を持ち、ミニカーやゲームで遊ぶことで知識などを蓄え、さらに“好き度”を加速させるという人も多い。そのため免許を取得する前から憧れのクルマや、将来乗りたい車種を夢見るなんてこともよくある話だ。しかし人によっては、大人になってから、ある日突然クルマに目覚めてしまうなんてこともある。
2018年式マツダ・アクセラ15Sプロアクティブ(BM5FP)のオーナー『☆雪猫☆』さんは、偶然出会ったアクセラにひと目惚れしたことで、クルマ好きへの道に足を踏み出したという。

マツダの主力小型車『ファミリア』の後継として、2003年にデビューしたアクセラ。世界戦略車としての役割を果たすため、ファミリア時代よりもボディサイズを拡大し、5ドアハッチバックやセダン、さらには2.3リッターターボエンジンを搭載するホットハッチなど、モデルバリエーションを拡大していった。
☆雪猫☆さんが所有するBM5FP型は、そんなアクセラの3代目として誕生したモデル。2010年に打ち立てた『魂動』というデザインコンセプトを受け、ダイナミックなスタイリングが取り入れられたCセグメントのセダンバージョンだ。

その当時、祖母がマツダ車オーナーだったことから、なんとなくマツダディーラーに足を運んだという☆雪猫☆さん。そこで展示されていたマツダ創立90周年記念車の『アクセラスポーツ1.5S Style』を目にしたことで、これまで知らなかったトキメキを感じてしまったという。
「もともとはクルマに一切興味がなく、免許を取得して乗っていたヴィッツは家族と共用で、何の思い入れもない単なる練習車だったんです。運転に慣れた頃になると、次第に自分のクルマが欲しくなったので、何軒かのディーラーにクルマを見に行きました。でもクルマに興味がない人間からすると、どのクルマもピンとこない。もう何でもいいかなって思っていた時にディーラーで見かけたのが、2代目のBL型アクセラだったんですよ。すごく衝撃的な顔つきで、このクルマに乗ってみたいと思ったのが、クルマに興味を持ったはじめての経験ですね」

この時、☆雪猫☆さんは25歳。運命の1台と巡り合ったことで、遅咲きながらもクルマの楽しみが開花した。それからは毎週末のドライブから、オーナーズミーティングやサーキットイベントへの参加など、さらに深いクルマ趣味を満喫することになる。
「オフ会に行くと、色々なオーナーさんのアクセラがあって、それぞれがカスタマイズを楽しんでいるんですよね。そんな色とりどりのアクセラを見ているとカスタマイズにも興味が湧いてきますし、自分の愛車とは違うグレードなんかにも目移りするようになって。ちょうどその頃、仲間からマツダスピードアクセラの話を聞いて、速いアクセラっていう存在にも視野が広がっていきました。結果として2台目としてマツダスピードアクセラに乗り換えましたが、この2台を経験したことはクルマの選び方を学ぶ良い機会だったと思います」

そして、2013年にBM型へとモデルチェンジされると、新しいアクセラにも興味が湧くのは当然のこと。そこでディーラーに足を運んで目にした新たなアクセラは、これまで以上に興味深いモデルとして映し出されたという。

「新しいアクセラを見てまず興味を惹いたのはセダンのスタイリングです。それまではハッチバックしか見ていなかったのですが、BM型のセダンはスッキリしていて好みのデザインだったんです。さらに装備品もかなり充実しているし、何よりも結婚のタイミングだったこともあって、燃費が良くなっているという点も買い換えを決意するうえでポイントでした」

こうして3台目のアクセラとして、セダンという新たな選択をした☆雪猫☆さんだったが、このセダンはしばらくして不慮の事故によって乗り換えが必要になってしまったという。
しかし、新たなクルマを考えたところで、やはり乗りやすさやデザインなどはアクセラがど真ん中で、他のクルマには一切興味が湧かなかったため、再びアクセラセダンを購入したという。それほどまでに、アクセラに対する愛情は深かったということだ。

こうして4台目として2018年から乗りはじめた現在のアクセラでは、乗って楽しむのはもちろん、カスタマイズという楽しみも満喫。特にお気に入りのヘッドライト周りには、看板屋さんで作ってもらったデカールタイプのアイラインを貼り、猛禽類のような精悍な表情を作り上げているという。

また、メッキモールやバンパーのロワガーニッシュなどは海外製のパーツをネットで購入し、DIYで取り付けを行なっているのだとか。
ハッチバックモデルとは違ってセダンには対応するパーツが少ないこともあり、派手なエアロやペイントを施すのではなく、こういった細かなパーツで工夫しながらカスタムを施すことも、徐々に満足感を高めていくことにつながっているのだ。

「実はこのアクセラが納車された翌日に、仕事の都合で地元の秋田県から富山県へと引っ越すことになってしまったんです。そうなれば、新たな生活拠点となる富山のことを知りたくなりますし、いろんな地域を見てみたい。さらに長野県とかも比較的近くなるので、松本城とか善光寺とか、観光スポットにも足を運ぶようになりました。だから引っ越して早々に走行距離は一気に増えちゃいましたね。週末ドライブで1000キロの走行も普通にこなしていましたので、5年間で14万キロ弱の走行距離となってしまいました」

現在オドメーターが示す13万9000キロのほとんどが週末の観光ドライブというから、そのアクティブさは驚異的と言えるだろう。
また、地元の秋田への帰省などもこのアクセラで行なっているのだが、燃費の良さは思っていた以上で、1回の満タンで秋田〜富山が往復できるというのも家計に優しく、アクセラを選んで良かったと思えるポイントだという。

搭載するエンジンは1.5リッターのP5-VPS。今後は自身もハイブリッドやEVなどにシフトしていくかもしれないと考えているだけに、経験値としてしっかりと純粋なガソリンエンジンを満喫し、心に刻んでおきたいという思いもあってこのクルマを選んだそうだ。
メンテナンスに関しては5000キロごとのオイル交換と定期点検での標準メンテナンス程度だが、2回目の車検も難なく合格。走行距離が伸びているにも関わらず、メンテナンスコストが抑えられているのは、毎週末のドライブで距離を走る☆雪猫☆さんにとって大きなメリットでもある。

☆雪猫☆さんのアクセラは、マニュアルミッション車というのもこだわりのひとつ。シフトノブは自身2台目となったマツダスピード・アクセラから使い続けているもので、☆雪猫☆さんがクルマ趣味にのめり込んでいった歴史を共に歩んでいるだけに、今後乗り換えたとしても大切に持ち続けていきたいと考えているという想い出の品である。

「アクセラという名前はこのモデルで最後になってしまい、今はMAZDA3に統一されちゃっています。だから次に乗り換えなければならなくなった時、進化したアクセラを選べなくなってしまっているのは残念ですね。でも、そう考えるとアクセラを卒業して新たなクルマに目を向けるきっかけにもなるかもしれません。とはいえ、このアクセラはまだまだ元気なので、その時が訪れるのはまだ先のこと。現在の目標は20万キロ走らせるという事なので、その目標を達成できたらまた考えるようにしますよ」

なんとなく訪れたディーラーでアクセラを目にした日から14年。その間にはアクセラを通じてクルマ選びの楽しさから、走る喜び、さらにカスタマイズの満足感などたくさんのことを経験した。
また、イベントを介して広がった仲間や、一緒にドライブを楽しむ家族の笑顔など、かけがえのない時間も手に入れた。
☆雪猫☆さんにとって、人生を豊かにしてくれた『アクセラ』は唯一無二の存在なのである。

取材協力:海王丸パーク(富山県射水市海王町8)
(文: 渡辺大輔 / 撮影: 平野 陽)
[GAZOO編集部]

MORIZO on the Road