トヨタ・シエナ ビッグサイズなミニバンは大きな夢を詰め込んだファミリーカー

  • GAZOO愛車取材会の会場、富山県射水市の海王丸パークで取材した2015年式トヨタ・シエナSE(XL30)

    2015年式トヨタ・シエナSE(XL30)

国や地域によってクルマに求める機能や性能が異なっているのはご存知の通り。そのため日本国内で販売されているモデルだけではなく、世界各国には様々なクルマが存在している。もちろん日本の自動車メーカーであっても、日本からの輸出だけでなくそれぞれの国や地域で製造ラインを設けているため、日本未発売の車種も意外と多く存在しているのだ。そんな日本未発売のミニバン、2015年式トヨタ・シエナSE(XL30)をファミリーカーとして活用しているのが大西さんだ。

アメリカで製造されているシエナは、日本市場で考えるとアルファードを超える超特大サイズのミニバン。全長が5メートルを超える車体ながら、それ以上に巨大なバンモデルが数多く存在する北米市場では、これがスタンダードサイズ。使い勝手の良い7/8人乗りのシートレイアウトは、特に子育て世代のお母さんが乗ることを想定した設計で、現地では“マムカー”と呼ばれるファミリーカーの筆頭でもある。
大西さんの乗るシエナは3代目として2010年にデビューしたモデル。もちろん日本では正規販売されていないので、並行輸入で日本に上陸した車体となる。

「結婚した時、将来の子供のために使い勝手の良いファミリーカーに乗り換えようって話になったんです。ベビーカーやそのほかの荷物をいろいろ載せるとしたら大きいクルマがいいよねって、選択基準ができあがっていったんですよ。以前はミニクロスオーバーに乗っていたのですが、それよりも大きいモデルで何があるって考えた時、社員旅行でハワイに行った際にタクシーとして乗ったシエナが浮かんだのが購入のキッカケですね。サイズは狙い通り十分に大きいですし、何よりもハワイで見た時の印象がすごく良くって。調べてみたら富山に1台あるということで、2年前に手に入れました」
日本でも数が少ないシエナなら、ファミリーカーとしてだけでなく、趣味車としても満足度が高い。何よりハワイで過ごした楽しい時間を思い起こさせてくれるため、日常生活にも彩を与えてくれると考えたのだ。

ボディサイズだけでなく大排気量車がスタンダードな北米モデルということもあり、シエナは普及グレードに直列4気筒2.7リッターの1AR-FEとV型6気筒3.5リッターの2GR-FEという2つのエンジンバリエーションが存在する。
大西さんのモデルはV型6気筒を搭載し、ゆとりの走りを満喫できるのが特徴。またこのエンジンは国内販売車両でもエスティマやアルファードに搭載されているため「パーツの入手には困らないだろう」と購入当初は考えていたのだが…実際にはオルタネーターなど一部のパーツはブラケット形状が違っており、整備もひと筋縄ではこなせなかったのは誤算だったとか。
しかし、こういった部品の情報などを仕入れるために、オーナー同士のコミュニティで情報交換を行なうことでシエナオーナーとの絆が深まりクルマの楽しみも広がった、とプラスに考えているそうだ。

ハワイでの経験からファミリーカーとして選択したシエナだけあって、カスタマイズもハワイローカルを意識したアクセサリーをチョイス。バンパーステッカーやインスペクション(検査証)ふうデザインのステッカーなど、見る人が見ればわかる陽気なハワイアンスタイルを作り上げているのはこだわりのポイントだ。

ボンネットには北米では定番といえるバグガードを装着。このパーツはフロントウインドウに当たる虫を跳ね除けるためのアイテム。虫の死骸のこびりつきを防ぐという実用性はもちろん、アメリカナイズドされたクルマにとっては、北米のイメージを掻き立ててくれる。
「実家が奈良なのですが、子供が生まれてからは度々帰ることが多くて。富山からの長距離ドライブだと季節によっては虫がバシバシ当たってすぐにフロントウインドウが汚くなってしまうんです。でもコレが付いていると若干は緩和されるので、長距離を走る時には重宝していますよ」

また、アメリカでは定番のアクセサリーと言えるアンテナトッパーは、ロッドアンテナが装備されているクルマだからこそ装着できるアイテム。こういった細かいアクセントを取り入れることで、ハワイローカルのイメージを高めているというわけだ。

フロントバンパーの開口部にはインタークーラーを装着。とは言っても搭載する2GR-FEはNAのため、ダミーのカスタムアイテムとして取り入れている。しかしシエナを知らない人が見ると、ターボを搭載したハイパフォーマンスミニバンと勘違いしてくれるが狙いなのだとか。
「日本ではあまり見かけないクルマだから、インタークーラーがダミーだって気づかない人も多いんですよ。逆にシエナを知っている人から見ると、ターボを付けてるの? って目で見てもらえるので、あくまでもダミーなんですが満足度は高いですね。日常的に妻が乗っているのですが、巨大なボディと左ハンドル、前置きインタークーラーということでかなり注目されるみたいです」

足元にはアメリカのブランド『フォージアート』のホイールもセット。娘さんのミリイちゃん(8ヵ月)が生まれてくるまではエアサスを組んでイベントなどにも参加していたのだが、乗り心地を優先するために現在はエアサスからノーマルサスに戻しているそうだ。

「もともとはイベントも楽しめるファミリーカーという考えでしたが、娘が生まれたことでもっといろんなことを楽しみたいと思うようになりましたね。例えばこのクルマならキャンプなどのアウトドアにも活用できるんじゃないかと思っています。ただ、左ハンドルは駐車場とかの施設で対応していないところが多いんですよね。こればっかりはシエナに乗るようになってから気づいたことなんですが、そのマイナス点を加味しても色々な楽しみが増えていることを考えれば、とても満足できるクルマですよ」

アウトドアでも活用できるようにと、アメリカのカート製のルーフラックに加えてヒッチメンバーも装着。装備品などもアメリカ製にこだわって装着することで、実際にハワイで使われているミニバンのイメージを強めているのだ。
もちろんこういったカスタマイズは奥さんも了承済み。というよりも、むしろ奥さんも積極的にカスタマイズによって愛車の姿が変化していくのを楽しんでいるのだとか。

「妻もクルマ好きで、ローダウンしたトヨタ・bBを3台乗り継いでいました。だからシエナに買い換える時やエアサスを組んだ時なども納得してもらえましたね。『カッコいいファミリーカー』がコンセプトなのですが、むしろちょっと地味なのでは? と言ったりもしますので、カスタマイズに関しては僕より厳しい目を持っているかもしれませんよ(笑)」

前述の通り日常的には奥さんが買い物などで使用するため、その使い勝手のよさはシエナをファミリーカーとして選択して正解だったという。
「ベビーカーや買い物の荷物も気兼ねなく載せることができるのはこのサイズだからこそですね。何よりも室内が広いので荷物もいっぱい載りますし、オムツ交換も車内で済ませることができますから、子供と一緒にいろんなところに出かけることができるのはシエナを選んで良かったなと思っています。クルマへの満足感と利便性を考えたら、我が家にとってこれ以上のクルマはないんじゃないかな」

とは言うものの、使い勝手の良いこの大きさに慣れてくるとさらなる利便性を求めてしまうのだとか。
「今は娘が1人ですが、今後2人目が生まれた場合はもっと大きなクルマが欲しくなるかなって考えています。チャイルドシートが2脚になって、さらに実家に行けばお爺ちゃんも乗ることを考えると、シエナではゆとりがなくなってしまうんじゃないかと思っているんですよ。この考えは妻も賛同しているので、次の候補はトヨタ・グランドキャビンとかかな。ファインテックツアラーと言うグレードなら、キャプテンシート4脚にエクストラシートが備わっていて、さらに荷物も積みこめる。シエナのハイブリッドが並行輸入で入ってきたら、それも欲しいんですが、やっぱり大きなクルマの便利さを知るとさらに大きなモデルが欲しくなっちゃいますね」

  • GAZOO愛車取材会の会場、富山県射水市の海王丸パークで取材した2015年式トヨタ・シエナSE(XL30)

    2015年式トヨタ・シエナSE(XL30)

使い勝手や楽しみ方など、クルマの選択基準は人それぞれ。『大は小を兼ねる』という言葉もあるが、居住性を求めるならシエナはまさしく的を射た選択肢であり、特にファミリーカーという位置づけならなおさら頷ける。
そんな居住性はもちろんのこと、並行輸入車というレアな存在であり北米風カスタマイズも楽しめるシエナは、大西さんファミリーにとってまさに理想の1台。これからミリイちゃんとの楽しい思い出を紡いでいく大切な家族の一員なのである。

(文: 渡辺大輔 / 撮影: 平野 陽)

  • 許可を得て取材を行っています
  • 取材場所:海王丸パーク(富山県射水市海王町8)

[GAZOO編集部]

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