ムーンルーフのセリカと歩む、憧れだったスポーツカーライフ

  • GAZOO愛車取材会の会場であるポルトヨーロッパで取材したトヨタ・セリカ(ZZT231)

    トヨタ・セリカ(ZZT231)

「ここって朝ドラの撮影で使われていた場所ですよね。そうそう、ちょうどこの建物が写っていましたよ」
朝からあいにくの天候の中スタートした和歌山県の出張取材会場『ポルトヨーロッパ』で、元気な声を聞かせてくれたSHIGEKIさん。愛車は、オーナーの爽やかな印象とピッタリの“スーパーブライトイエロー”がまぶしいトヨタセリカ(ZZT231)だ。

朝3時起きで大阪から参加していただいたというから、撮影が始まった8時には既にスッキリと目が覚めた状態だったであろう。撮影現場では雨粒がボディを伝い、肌寒さも感じるどんよりとしたお天気だったのだが、そんな憂鬱を一気に吹き飛ばしてくれるような、明るく元気なSHIGEKIさんのおかげで、筆者も俄然楽しい気持ちになってきた。

聞けば、クルマを通じてSNSで仲良くなったオーナーさん達に誘われて、さまざまな場所へと足を伸ばしているというアクティブな性格だという。
「カーチューンというSNSに投稿したら、セリカの集まりをやっているというオーナーさんから声をかけてもらって、それから色々なところにチョイチョイ顔を出していますね。オフ会やミーティング以外にも、道の駅を目指していって、そこで売っている直売のモノを買ってみたり、その帰りに街道沿いにある温泉に入って帰ってくるみたいなドライブのパターンが多いですね。ついこの間も和歌山に来たんですが、道は走りやすいし産直市場といったようなお店もたくさんあって、とても良い感じでした!」

「昨日もちょっとだけオフ会に行って、奈良の取材会に参加されていたST205セリカのオーナーさんにお会いしたばかりなんですよ」
そう楽しそうに話す様子から、ドライブやオフ会でもきっとこんな感じで楽しんでいるんだろうなと、その姿を容易に思い浮かべることができた。

そんなSHIGEKIさんの活動範囲を広げてくれるセリカは、古くからの相棒なのかと思いきや、意外や意外、そうでもないという。
「もともとは免許取ったら、スポーツカーに乗ろうと思っていて、80系スープラか205系セリカを探していたんです。けど、その最中にマークIIで良いタマが出てきて、結局は80系と90系のマークIIを乗り継いでいるうちに欲しかったスポーツカーを買いそびれてしまいましたね。そこからは家の事情で大きいクルマを維持するのが大変になってきたため、コスパがよくて乗って楽しいスポーツタイプのクルマをと考え、三菱・ミニカに乗り換えて、その次は日産のモコ、MRワゴン、TRD仕様のパッソと乗り継いでいました」

本来、お目当てであったスポーツカー、セリカを手に入れたのは2021年のことだった。
「欲しかったクルマを買いそびれたという思いがずっと心の片隅にあったのと、今になってスポーツカーが少なくなってきたじゃないですか。やっぱり憧れだったクルマを手に入れたいという気持ちが強くなってスープラを探し始めたんですが、値段がとてつもなく高騰していて諦めるしかなかったんです。そこで、次に欲しかった205か202のセリカを探してみたのですが、そちらはクルマを手に入れたとしても補修で必要となる純正部品があまり出てこない。で、セリカで検索していたら、この230系が目に入ってきて、230系のセリカなら部品も台数もあるよな〜ということで、最終的にコレに決めたんです」

こうして手に入れたのは走行距離9万kmの2002年式セリカSS II(ZZT231)。程度や金額はさまざまな条件の個体があったそうだが、このボディカラーと、ムンルーフが決め手となってこのクルマを選んだという。

「黄色のスポーツカーは、一度は乗ってみたいという憧れがあったので、ガンメタと共に一応候補に入れて探していたんです。それと同時に、どうしてもムーンルーフ付きのセリカが欲しいと思っていました。そうしたら埼玉の方で黄色のムーンルーフ付きが見つかったんです。黄色のボディは維持が難しいと聞いていたので最後まで悩んでいたんですが、実物を見に行ったらやはり黄色のボディに引き付けられて購入を決めました」

ボディと内装は綺麗だったものの、手に入れた当初はバンパーやサイドステップに擦り傷があり、オーディオも使えない状態だったという。

「エンジンはタイミングカバーのオイル漏れが酷かったのと、ウォーターポンプから水漏れしていたくらいですね。トータルで見れば許容範囲内って感じでした」
そうサラッと言うので少し驚いたが、SHIGEKIさんはかつて整備士として働いていたと聞けば、この状態を『それくらい』と表現できたことも合点がいった。

「メンテナンスから小傷の修理まで、すべて自分でやっています。他人に触られるのがあまり好きじゃないんですよね。家の駐車場でジャッキアップしてからリジットラックを掛けて、クルマの下に潜り込むような作業もしていますよ(笑)」
傷だらけだったサイドステップの補修や、購入時はコンパクトなスポイラーだったものを大きなタイプに交換するなど、塗装前の足付け作業から塗装、そしてクリア層の磨きも全部自分で行なったそうだ。

シルバーからホワイトに塗装したという純正ホイールも、ボディカラーとマッチしていてカッコイイ。内装についてもシフトレバー付近に黄色のステッチを追加したり、メーターパネルをカーボン調にカスタムしたりと、自分好みに仕上げていっているそうだ。

「懸念していたボディカラーですが、思ったほど大変ではなかったですね。ただ、やっぱり汚れは気になるので頻繁に洗車して、ワックスも月1回はかけています。昨日も撮影に備えてちゃんとワックスをかけましたよ。自分の部屋はこんなに手間をかけて綺麗にしないですけど、セリカは内装までちゃんと綺麗に保つように掃除しています」

クルマにはあまり興味がないという奥様も、駅に迎えに行った時などに『黄色いのがフワッてくると、やっぱりテンション上がるわ』と気に入ってくれている様子だという。

「最近のクルマだと、ここまで低く構えたスタイルのスポーツカーってあまりないじゃないですか。ボディの軽さも感じられるし、可変バルブタイミングが切り替わった時のエンジンフィーリングなども、まさに“走っている”という感じが味わえて楽しいですよね」と、感慨深く語るSHIGEKIさん。スポーツカーを所有する喜びと、その性能も満喫されているようだ。

「このままオリジナルの状態を維持しつつ、綺麗に乗り続けていきたいというのが今の想いですね。人気のスポーツカーはカスタムされた個体も多いし、純正のまま残っている個体は貴重になってくると思うので、そっちを目指していこうかなと思っています」

遅咲きながら憧れだったスポーツカーを手に入れたSHIGEKIさんのカーライフは、まだ始まったばかり。この撮影のあとも『どこで朝ごはんを食べて帰ろうかな!』と、海からの西風に吹かれながら颯爽と走り去っていったのであった。

(文: 西本尚恵 / 撮影: 平野 陽)

※許可を得て取材を行っています
取材場所:ポルトヨーロッパ(和歌山県和歌山市毛見1527)

[GAZOO編集部]