クルマ趣味ここに極まる! 奥様と二人で謳歌するハイエース車中泊ライフ
終の住処ならぬ、終のクルマとして、人生初の新車を購入した『サザンキ』さん。それはトヨタ・ハイエース(GDH206V)のスーパーGLをベースとした車中泊仕様で、大好きな奥さまと大好きな旅に出たいという、純粋な気持ちからの選択だった。
「物心ついた時から自分はクルマ好きだったんですけど、実家にはずっとクルマがありませんでした。それだけに余計思いが強かったのか、免許を取れる年齢になったらすぐに取りに行って、それからずっとクルマの虜です(笑)」
そう話すサザンキさんが最初に憧れたクルマは、西部警察に出てきたDR30型スカイラインRS。欲しくても買うことが叶わず、代わりに最初の愛車として手に入れたのがS12型のシルビアだ。前期型と後期型を乗り継ぎ、実は後期型の方は今も実家の車庫に置いてあるほど、そちらにも深い愛情を残している。
そんなサザンキさんがハイエースに乗るようになったキッカケは、ちょっと独特である。当時お世話になっていた職場の先輩が脱サラをし、ダイビングショップを開業。そこに通ううち、ショップがお客さんの送迎に使っていたハイエースをサザンキさんも借りて運転する機会が増えていったそうだ。そして、なんとなく乗り慣れていくうちに、そのハイエースに情が湧いていたサザンキさん。お店があった大阪府ではディーゼル車規制によって乗れなくなることになったため、サザンキさんが譲り受けることになったのだという。
「その時のハイエースは100系の2800DスーパーGLだったんですけど、その後も10人乗りの3000Dグランドキャビンを譲り受けました。普通に通勤とかに使っていたんですけど、何せシートの数が多くて、当時は車中泊仕様に改造しようという気はまったく起きなかったですね(笑)」
サザンキさんの奥様は、サザンキさん曰く『普段はインドア派』とのことだが、サザンキさんのクルマ趣味には理解があり、何より一緒に旅行に出ることを喜んでくれる。職場は年に一度は5連休を取ることができるため、予定を組んではあちこち出かけていた。一番お気に入りの旅行先は沖縄である。
「ただ、コロナ禍になってからは思うように旅行に行くこともできなくなって、大好きな沖縄に行くのも難しくなってしまいました。グランドキャビンも走行距離が40万kmを超えて、修理費用が掛かるようになっていましたから、いっそのこと車中泊できるクルマを買ったらどうだろう? と考えるようになったんです。妻も後押ししてくれましたから、これが最後のクルマというつもりで、人生初の新車を購入したんです」
そうしてグランドキャビンから乗り換えることになったハイエースは、再び2.8リッターディーゼルを搭載したスーパーGL。特徴的なのは、いわゆる架装を目的としている特装車がベースということだ。
「ボディカラーはどうしてもライトイエローがよかったんですけど、通常のラインアップだとライトイエローはバンのDXにしか設定がないんですよ。でも、特装車だとライトイエローのスーパーGLを選択することができることを知って、以前から知っていた大阪のハイエース専門店にお願いして、特装車を購入することにしたんです」
「そのお店では、DIYできない防音や断熱、サブバッテリーの設置、足回りの交換などを依頼して、自分でぼちぼち車中泊仕様にしていくためのベース作りをお願いしました」
車中泊を快適に過ごせるよう、ハイエースのような箱型バンの防音および断熱に効果を発揮するフェリソニ加工を、天井やドア、エンジン回りに施工。主にオーディオやモニターを駆動する目的で、350Wのサブバッテリーもインストール。容量が足りない分は、後から購入したポータブル電源を活用している。
サスペンションには減衰力調整ができるショックアブソーバーや前後のスタビライザーを取り付け、高速走行時の安定性を高めるグランドエフェクターも装着。一気に長い距離を走ることもあるので、走行中の快適性や操縦安定性にも気を配った。
外装はこだわりのライトイエローに加え、バンパーやフェンダー、ホイールを白にすることで、キュートな2トーンコーディネートを実現。ヘッドライトにはUSサイドマーカー風のフィルムを貼付してある。
飛び石による傷を防止するウレタン製のフードガードは、『顔に傷がついたらかわいそう』という奥さまの声を聞いて採用。終のクルマとして可愛がられるハイエースも、どこか嬉しそうな表情に見えた。
運転席と助手席にはRECAROシートを備え、車中泊を前提とした長距離移動でも疲れない乗り心地を確保。天井にボックスティッシュを逆さに取り付けられるマグネット式のケースなど、実用的なアイテムが備えられている一方、『見つけると、ついつい買ってしまう(笑)』というオモチャや、ガジェットの類も所狭しと蒐集されている。
セカンドシートも使える状態をキープしたまま、服を掛けておけるサイドレールなどを装備。なぜか吊り革もぶら下げられているのがサザンキワールドだ。
そして自慢の車中泊スペースは、車両を購入した専門店の車中泊キットについていたベッドキットを装備。床下には椅子やテーブル、食器類などのキャンプ道具も積載してあるが、「実はキャンプはまだ一度もしたことがありません(笑)」とのこと。リヤハッチを開けた時に外からの視線を遮るアイズブロッカーを備え、なぜか沖縄にある泡盛の酒造所『久米島の久米仙』の暖簾も完備!
リヤにはなぜか沖縄トヨタや沖縄成田山のステッカーも貼ってあり、サザンキさんのほとばしる沖縄愛が強く主張されている。
「ダイビングはもう昔ほどはやりませんけど、このハイエースに乗って二人で沖縄に行けたらいいですね。それは理想として、今はハイエース系のイベントに出かける時の前乗りだったり、土日月あるいは金土日でショートトリップに出かけています。ベッドで使っているクッションは、なかなかコレだっていうものにまだ巡り合ってなくて、最高の寝心地を追求している最中ですね(笑)」
「ハイエースはその他にもカスタマイズのパーツが無限にあるので、拘りだすと本当にキリがないんです。自分の車中泊仕様はハイエースのカスタムの中ではマイナー系になりますけど、せっかく終のクルマと決めたわけですから、腰を据えて楽しんでいきます!」
愛車のことを楽しそうに話すサザンキさんの側には、いつもニコニコ笑顔で聞いている奥さまの姿が。お二人いつまでも仲良く、末長くハイエースのある暮らしを謳歌してもらいたい。
(文: 小林秀雄 / 撮影: 清水良太郎)
※許可を得て取材を行っています
取材場所:ポルトヨーロッパ(和歌山県和歌山市毛見1527)
[GAZOO編集部]
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