若い頃は気にも留めなかったキューブキュービックが、家族構成や趣向の変化によって今ではオンリーワンの存在に
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日産・キューブキュービック(Z11型)
新車として発売された時はピンと来なかったけれど、年齢を重ねて物の見方にも変化が生じ、今となってはこれが一番! と、胸を張れるクルマに出会うことが叶ったという『なや』さん。
奥さんや二人の息子さんからも「やっぱりうちのクルマはこれだね」と、家族の一員として認められる愛車こそ、車齢21年を数える日産のキューブキュービック(Z11型)である。
キューブキュービックは、Z11型と呼ばれる2代目キューブの派生車種として2003年に発売された。ベースとなるキューブ(2列5人乗り)のホイールベースを170mm延長し、3列7人乗りのシートレイアウトを実現。コンパクトながらも、多人数で移動できるというユーティリティ性を持たせたミニバンだ。
そのパッケージングは、まさに“名は体を表す”といった四角いデザインと、愛嬌のあるフロントフェイスが当時人気を呼んだ。
そんなキューブキュービックではあったが、当時のなやさんにとっては「変わった形のクルマが出る時代なんだな〜」と思うばかりで、個人的にはまったく愛車候補ではなかったそうだ。
「もともと日産贔屓だった父の影響もあって、気づけば自分も日産党になっていました。運転免許を取って、最初に運転したのも実家のU11型ブルーバードでした。そして、ブル-バードを買い替えることになった時には、自分の希望を申し入れて、C33型ローレルにしてもらったくらいです」
テレビの再放送で見た“西部警察”などの影響もあって、両親に買ってもらったミニカーやプラモデルもすべて日産車だったという、筋金入りの日産党であったなやさん。ただ、日産車だったら何でも良かったわけではなく、当時の好みはセダンやスポーツカーに集中していたという。
「自分で購入した初めてのクルマは、HCR32型のスカイラインGTS-tタイプMでした。それから一度、2リッターターボ以外のエンジンにも乗ってみたいと思って、K11型マーチのMT車に乗り換えたんです。けれど、カーショップに出入りしていると、やっぱりスポーツカー熱が再燃してしまいまして(笑)。それで、最初に乗っていたのとほとんど同じ仕様の、2ドアMTのGTS-tタイプMに再び乗り換えたんです」
20代のほとんどは、そのスカイラインGTS-tタイプMとともに過ごしたというなやさん。当時からお付き合いしていた奥さんとデートにも出かけ、結婚後もしばらくは乗り続けていたそうだ。
「妻が妊娠して家族が増えることがわかった時に、さすがに2ドアのスカイラインだと不便だろうと思って、広くて便利なファミリーカーに買い替えようと思ったんです。今のR32型スカイラインの中古車価格の高騰を思うと、残しておけば良かったなと思わなくもないですけれど、そこまで未練はないかな。ただ上の子は、すっかりクルマ好きに育っていることもあって『残しておいてくれれば良かったのに!』なんて言いますけど(笑)」
なやさんがその時に考えたファミリーカーの理想像はというと『カテゴリーとしてはミニバン一択。ただ、両親まで含めたフル乗車で乗るという機会はたまにしかないだろうから、どちらかというと取り回ししやすいサイズ感を重視。現行車より少し古くて、雰囲気のあるクルマがいいな』といったイメージ。そしてその時にふと思い出したのが、キューブキュービックの存在だったというワケだ。
「初めてキューブの実車を見たのは、学生時代の友人が購入したZ11型だったんです。K11型の後に出たK12型マーチなんかもそうだったんですけど、2000年代の日産車のデザインって、当時は個人的には受け入れ難いものがあったんですよね。でも、年齢を重ねて家庭を持つようになってみると、あれはあれで上品だし、悪くないなって思えるようになったんです」
そうして愛車の候補をキューブキュービックに絞ったなやさんは、連日のように中古車情報をチェックするようになった。希望に叶う車両を見つけるには時間が掛かったが、ある時、神奈川県に良さそうな出物を発見。後日、新幹線に乗って実車を確認しに行くと『なるほど』と気に入って、そこで即決したのだそうだ。
「今となってはキューブキュービックのすべてが気に入っていますけど、ひとつ挙げるとすれば、やっぱり内外装のデザインですね。文字通り『キューブ』にこだわったデザインが、ヘッドライトやテールランプ、グリルなど細かい部分にも落とし込まれていて、統一感が感じられるんです。全体的には四角いのに角は丸くて、樽型って言ったらいいのかな? なんとなくホッコリさせてくれるし、室内は室内で限られた空間を上手く使い切っていると思うんですよ」
セカンドシートには、お子さん用のチャイルドシートとジュニアシートを常備しており、どこへ出かけるにもいつも一緒。サードシートは当初の想定通り、あまり使う機会はないが、ご両親と一緒に出かける時には活躍してくれる。
「サードシートは、はっきり言ってめちゃくちゃ狭いので、両親にはセカンドシートに座ってもらって、大体いつも妻がバナナみたいな形になって、なんとかサードシートに座ってるという感じですね(笑)。まあ近距離の移動でしたらなんとかなりますし、あるだけマシという風に考えるようにしています」
かつてはスポーツカーのミニカーばかり買っていたが、今ではキューブのミニカーやプラモデルを見かけると、ついつい買ってしまうというなやさん。そうして、カタログや整備書、当時の純正アクセサリーなども買い集めるようになったそうだ。助手席の前に備わる木目パネルや、シートにかけてあるシートエプロンなどもネットオークションで購入し、DIYでの取り付けを楽しんだアイテムたちである。
「購入してから11年が経って、ちょこちょこ直しながら乗っていますが、これからも長く乗り続けたいと思っています。ちなみに“キューブあるある”なんですけど、エンジンルーム内のフロントサスペンションが取り付けられているアッパーアームの所に水が溜まりやすくて、錆びちゃうんですよね。そこを養生するなど、今では知識もだいぶ備わってきました」
車検などで家を空けると、家族から「いつ帰ってくるの?」と聞かれるほど愛されているキューブキュービック。今ではすっかり『傍にいて当たり前な存在』になっている。趣味の畑仕事に乗っていくこともあるそうだが、いつか家族と行ってみたいと思っているのが『ラリージャパン』の現地観戦とのこと。
キューブキュービックとともに紡ぐ家族との想い出は、まだまだこれからたくさん増えていきそうだ。
(文: 小林秀雄 / 撮影: 清水良太郎)
※許可を得て取材を行っています
取材場所:ジーライオンミュージアム&赤レンガ倉庫横広場 (大阪府大阪市港区海岸通2-6)
[GAZOO編集部]
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