「喜んでくれる顔が見たいから」。絶品の焼き芋をロードスターで移動販売!
クルマ好き&みんながびっくりするような面白いことをしたいという思いから、ロードスターで焼き芋販売を始めた「井上さん」。ロードスターで焼き芋を販売するということから「ロド芋」のニックネームで沢山の人に親しまれています。
当初は仲間うちで遊びでやるつもりだったので、思った以上に大盛況となり焦ったのだとか。
今回は、井上さん×ロードスターのお話。
――この車両、どうなっているんですか!?
トランクキャリアをガチガチに固定して、その上に釜を乗せているんです。ショップにお願いしようかなと思ったんですけど、さすがに焼き芋を焼く釜を積んでほしいと言う勇気がなくて(笑)……。試行錯誤しながら、自分で取り付けました。
――ボディが劣化したりしないんですか?
皆さんに聞かれることが多いんですけど、釜とボディの間に3cmくらいの隙間が空いているので意外と平気なんです。底の部分は鉄板を何重にも敷いて熱を遮断しているので、ボディが溶けるという心配もありません。むしろ、釜とボディの隙間の方が汚れていなくて綺麗です(笑)。
――焼き芋の移動販売をするにあたって、軽トラなど、ロードスター以外の車両にするという選択肢はなかったのですか?
20歳の頃からロードスターに乗っているんですけど、愛車を使って何か面白いことができないか?がそもそものテーマなので、ロードスター以外は考えられなかったというか。
確かに、軽トラで焼き芋を販売した方が荷物も積めるし効率が良いのですが、そこじゃないんです。なんなら、遊びで始めただけだったので、売上を伸ばそうとか人気店になろうとかは一切なく(笑)、ロードスターで焼き芋を売っているなんて凄いじゃん!と驚いて欲しかっただけなんですよね。
――てっきり話題性のために、企業戦略としてロードスターを選んだのかと思っていました。
いやいや!SNSでバズったり、お客さんが沢山来てくれるようになるなんて想像もしていませんでしたよ。友達と「ちゃんとやらないとヤバイじゃん!」とかよく言っていましたからね(笑)。
芋の焼き方など、先生がいるわけではなかったので、どうやったら美味しくなるのか日々研究したり、自己流で見つけていった感じです。
――こだわりなどはあるんですか?
「紅はるか」という蜜の多い品種の芋を使って、甘くしっとりとした食感が出るように焼いています。あとは、炭火で直に焼くのではなく、鉄板の上で時間をかけてじっくりと焼くというのもポイントです。うちの焼き芋のメニュー名が「蜜爆焼き芋」というんですけど、この焼き方だと焼いている途中で蜜が爆発してしまうくらい出るんです。
「冷やし芋」という、文字通りキンキンに冷えた焼き芋もメニューにあるのですが、焼く時間や冷やす時間を調整しながら蜜をいかに出せるか?を考えているし、それが1番のこだわりですね。
――冷やし芋って、SNSでバズっていたメニューですね。美味しそうだったもんなぁ……。
そうです。冷やし芋を購入したお客さんが、夏にアイスを乗せて食べると美味しいよとTwitterにアップしてくれてバズったんです。僕も真似してやってみたのですが、あれは絶品でした。実際に試してみたいというお客さんも多くて、冷やし芋の配達も沢山しましたよ。
――配達って、本当に家の前まで来てくれるんですか?
もちろんです。とはいっても、いつでもどこでもというわけではなく、Twitterで「今日は〇〇区で配達します」と呟くんです。そうすると、それに該当する地域の方がDMで、住所などの連絡をくれる感じですね。
面白いのは、実際に家に配達に行くと「本当に来てくれるんだ!」と驚かれることです。いえいえ、あなたが呼んだんですよ~と毎回突っ込みます(笑)。
――素朴な疑問なんですけど、配達料金も取っていなくて、元は取れているんですか?
ん~、配達は基本的に赤字なんですよ。だけど、僕がそれでも配達をするのは、お客さんが喜んでくれる顔を見たいからなんです。
ここ数年、コロナの影響で自粛ムードが漂っていて、街を歩いている人の顔がどんどん暗くなっていくのを見てきました。僕は基本的にポジティブな性格だから、何とかなるという人なんですけど、ニュースなどを見ているとそうではない人もいて大変なんだと思ったんです。
決して、自分に余裕があるとはいう訳ではありませんが、家で頑張って自粛している方々が、少しでも笑顔になれる何かが出来たらなと思ったんです。
そんな井上さんですが、今後の目標はロードスターで焼き芋を販売しながら日本を1周することだそうです。Twitter上で、「自分も買いに行きたいけど、地方に住んでいるから無理だ」との声があったからとのこと。ロードスターに焼き芋を積んで、全国の人に幸せを届けに行ってくれるでしょう。
【Twitter】
えるろこ ロド芋!「鬼いちゃん」焼き芋屋店主さん
(文:矢田部明子)
[ガズー編集部]
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