軽自動車は茶室だ。タイトで限られた空間に安らぎがある スズキ・エブリィ
ミニカー(マイクロカー)やバイク、スクーターのレストアが趣味の上坂新さん。
敷地の隙間を埋めるように小さな乗り物が置かれている家が、前を通る子供たちの目には遊園地の様に映っているのでしょう。
そんな上坂さんの趣味を支えているスズキ・エブリィの話を伺いました。
――初めての愛車は何にお乗りになったんですか?
初めての愛車はトヨタ・スプリンタートレノAE86でした。
――やはり頭文字Dの影響を受けてですか?
いや、小学生の時に後楽園球場で開催されていた自動車ショーに、父親と観に行ったんですよ。その時に今度出る新しいクルマとしてスプリンタートレノAE86が展示されていて、それからずっと欲しくて免許を取ったらこれに乗ると決めていたんですよ。
そして免許を取った時に、たまたま友人関係から20万円で出物があるけどって話が出てきて購入しました。頭文字Dの連載が始まり、人気が出る前だったので、今では考えられないくらい格安で買えましたね。
――現在の愛車スズキ・エブリィとはかなりタイプの違うクルマですね。走りを楽しむクルマから実用的な軽貨物車に移っていったのは何故ですか?
スプリンタートレノAE86からセリカGT-FOURに乗り換えたのですが、若気の至りで改造費とかにお金をかけ過ぎたのと維持費がかかるので小さいクルマに乗り換えることにしたんですよ。
知り合いの中古屋さんにアルトワークスを探してもらったんですが、なかなか見つからなくて、これなら自分でボディの磨きと内装のクリーニングをするのであれば5万円でいいよと進められたのがホンダ・トゥディでした。
乗り始めると、これで十分じゃん、と思ったんですよ。それからは軽自動車ばかりを乗り継ぎ、現在のスズキ・エブリィになりました。
――スズキ・エブリィはどのような使い方をしていますか?
通勤から、ホームセンターへの買出しや、バイク、スクーターを運んだり、タケオカ・アビーというミニカーを3台所有しているのですが、レストアに必要なパーツを運んだりしていますね。
ホンダ・ピープルなんかは出先で、いる?と言われて、頂きますと即答して、その場でエブリィに積み込んで帰った事もありましたね(笑)
――タケオカ・アビーを3台!? 不動車を買ってきてレストアしているんですか?
手放した1台も入れて、今までに4台アビーを買いましたが、すべて不動車ですね。
――不動の状態から1人で公道復帰まで修復するのですか?
最初に自分で細々とレストアをして行き、ある程度仕上がると、キャブレターや駆動系などの走りに影響する重要なセッティングはアビーマニアの間でドクターKと呼ばれている名人に手伝って頂いて、完璧な状態にもって行くって感じですかね。
あっ、正確言うと、彼はアビーの構造とか完璧に頭に入っていて手早く進んで行くので、私がドクターKさんを手伝っているって事になりますかね(笑)
――3台も所有してしまうアビーの魅力はどこにありますか?
どこと言われるとすべてですかね(笑)。まず50ccのこんな小さなクルマだけど、実用性がちゃんとあるってところですね。
スーパーに買い物に行くときは妻と私とアビー2台で行って荷物が多いときは2台に振り分けて載せて帰ってきますし、この前は丹沢まで行きましたが、ちゃんと整備していれば、流れにも乗れて、どんな遠くまでも連れて行ってくれます。
あと、全開走行が多いんで馬力を使い切る感も楽しいですね。しかもオーバースピードにもならず、安全運転ができ、スピード違反になりにくいのも魅力ですかね(笑)
――話はスズキ・エブリィに戻しまして、エブリィもこれから何か手を入れていくような計画はありますか?
実は今のエブリィは2台目で、前のエブリィはもらい事故に会ってしまい全損してしまったんですよ。
以前に軽キャンパーに乗っていて、月1回は必ず車中泊を楽しんでいたんです。
その全損してしまったエブリィも快適に眠れて、バイクなども積みやすい仕様を目指し、カーテンを引き、装備を付けたりと少しずつ手を入れていたんですが、志半ばで断念せざるを得なかったんですよ。
なので、また今のエブリィで一から作りたいですね。完成する頃にコロナが収束していたらうれしいですね。
――そうしますとベース車輌はもう少し大きい方がよくないですか?
私は広い場所が苦手というか、大きなミニバンなんかに乗るとなんとなく落ち着かないんですよ。しっくりこないというか。
エブリィをはじめとした軽自動車は茶室だと思うんですね。小さな空間の中に、如何に機能美を造り込むか。軽自動車は日本の文化ですね。クルマはタイトな空間の方が運転している感がありますしね。
タイトな空間といえば、子供の頃はよく押入れの中で遊びましたね。布団とかを出して、みかん箱を置き、そこにスタンドの蛍光灯とかを置いて秘密基地だとか言って。やはり私は、こぢんまりとしたものの方が性に合っているような気がしますね。
――なぜ、エブリィとアビーの組み合わせなのか、解ったような気がします。最後にもしアビーの出物があればまた買っちゃいますか?
いや~もう十分かなって感じですね。まだ1台アビーもレストアの途中ですし、スーパーディオやズーク、それに手付かずのホンダ・ピープルも残っていますしね。早くレストア地獄から抜け出したいですね(笑)
「軽自動車は茶室」。これは私にとって新たな境地でした。
これから進んでいく車中泊仕様の上坂さんのエブリィは豊臣秀吉が好んだ豪華絢爛、キンキラキンな黄金の茶室ではなく、華美を排した侘び寂びを感じる草庵茶室のようなエブリィになるだろうと想像してしまいます。
そして、まだまだ続くレストア地獄。上坂さんの元に天から一筋の蜘蛛の糸は垂れて来るのでしょうか?
垂れてきたとして上坂さんは糸を切らずレストア地獄から抜けだすことはできるのでしょうか?
数年後また、お話を聞きたいと思いました。
(文:よしのけんいち)
[GAZOO編集部]
軽バンで楽しむこだわりカーライフ
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