スカイラインGT-Rは夢を叶えてくれたパートナー。エンジンからの訴えを感じるドライブは格別なものに

  • 日産・スカイラインGT-R(R33)

クルマに魅せられ、自動車整備士養成専門学校の講師まで務めたというSegawa Kazukiさん。

その愛車歴はまさに華々しいスポーツカーのラインナップが並びますが、その中でも特別な思いがあるという日産 スカイラインGT-Rを手にして以来、GT-R特有のエンジンフィーリングを感じて走るドライブは格別なもので、GT-Rを見るたび触れるたび、充実した気持ちになるそうです。

そんな、Segawa Kazukiさん×スカイラインGT-Rのお話です。

――現在、憧れていたというスカイラインGT-Rに乗られているということですが、今まではどんなクルマに乗られてきたんですか?

えーと、スバルのインプレッサWRX、ニッサンのZ33のフェアレディZ、それからマツダのRX-7(FD)に乗って、今のGT-Rにたどり着きました。

――ラインナップを見ると、スポーツカーを愛しているのがよくわかる愛車歴ですね

そうですね(笑)。というのも、今年の春から離れてしまいましたが私は自動車整備の専門学校で講師をしていて、ずっとクルマ業界で仕事をしていたんです。昔からクルマやバイクが大好きだったんですよ。

――筋金入りの乗り物好きなんですね! ところでRX-7からGT-Rを選んだ理由とは?

もともとGT-Rはずっと乗りたいクルマだったんですよ。以前も買おうと考えていた時期があって、その頃はまだ中古車市場で値段も高騰していなかったんですが……。

実は僕の住んでいる地域ではクルマの盗難が多いという事情もあるせいで、外から見えない所で保管できるガレージがないと買えなかったんですよ。自分自身がメカニックなので作業場所も必要です。

そんな場所を作ってからにしようって考えて準備していたら、気が付いたらGT-Rの相場がめちゃめちゃ上がってしまって。それで買うのが予算に目途がついた最近になっちゃいました。

――購入資金が用意できたということで、GT-Rを買う際の条件はありましたか?

走行距離などにはこだわってはいませんでした。多少不具合があっても、自分で直せるレベルであれば直せばいいし。20年以上前のクルマを買おうとしているのでいくら走行距離が少なくても、まったく傷んでいないわけがないので必ず手入れが必要になります。

それなら過走行や修復可能レベルで傷んでいるベース車を相場よりも安く購入してから、オーバーホールや部品交換などして仕上げた方がトータルで考えると安心して乗れるので、細かい条件は気にしていなかったです。

――では、現在のGT-Rを手にした経緯を教えてください

  • 日産・スカイラインGT-R(R33)の左フロントビュー

現在の相場では底値の方である600万円位でGT-Rを購入して、メンテナンスして仕上げていけばいいかなと考えていたんです。ベース車を探していたところ、大阪のGT-Rの専門店でそれ位の額で買えそうなR33型のGT-Rがあったので見に行ったんです。

当初はメンテナンスで200~300万円くらい掛けてリフレッシュすればまともに走るようになるかな?と思っていたんですが、実車を見たら予想していたよりもクルマの外側から見えないクルマの大切な部分が修復不能レベルで傷んでいて……。

結果そのクルマは買いませんでした。

――千葉から大阪まで出かけたのに無駄足だったから、ショックも大きかったのでは?

いえ、今考えると若干運命的な所を感じますが、そのお店に買い取りで入庫したばかりのR33型のGT-Rがたまたまあったんです。

まだホームページに載ったばかりの状態だったんですが見せてもらったら、ほぼノーマルからリフレッシュされ生まれ変わったショップコンプリートカーで、とても状態の良いクルマでした。見た目だけでなく、エンジンや駆動系まで手が入っており、とても手間とお金が掛かったものでした。

  • 日産・スカイラインGT-R(R33)のリアビュー

――そんなグッドコンディションのGT-Rに巡り合えるってツイていますね!

そうなんですよ(笑)。色々と話を聞いたら、前のオーナーはこのクルマとは別にGT-Rを持っていたみたいですが、仕事の都合で1台を手放さないといけなくなったそうなんです。

それで買い取りに出した直後に僕がお店に行って出会ったということで。最初から仕上がっているクルマだったのでこれなら手間が掛からずいいなってことでその場で即決しました。

――ちなみに購入金額は覚えていますか?

全部コミコミで870万円でした。もともと車両価格とメンテナンス費用で900万円前後は掛かると予想していたので、メンテナンスの必要がない状態でこの金額ならアリかなって思って購入しました。それにしてもここ数年、価格が異常に高騰していて驚くばかりです。

――念願のGT-Rを手にしたので、契約した直後はテンションが上がったのでは?

実は本来狙っていたのはR34型のGT-Rだったのと、今まで貯めてきた予算を一気にここで使い切るという事に対する変な罪悪感みたいなのが混ざって。

嬉しいんだけど「ホントにこれで良かったのかな?」という気持ちはちょっとありました(苦笑)。

  • 日産・スカイラインGT-R(R33)のコクピット
  • 日産・スカイラインGT-R(R33)のシート

――そもそもの話ですが、Segawa Kazukiさんが考えるGT-Rの魅力ってどこにありますか?

このクルマの魅力は何よりもエンジンですね。乗った時のフィーリングもそうですし、パワーの出方もそうだし。中古車として今、価値が高まり高騰している1番の理由がこのエンジンにあると私は思います。

クルマの方から何かを訴えかけてくるかのようなフィーリングや音がたまらないし、この時代のクルマ達はそれぞれのジャンルのレースに勝つために作られたクルマなので、最近設計されたクルマの走りやフィーリングとはちょっと違うんですよ。

そうしたものを五感から感じられるところがGT-Rの魅力だと思います。これはGT-Rだけじゃなくてこの時代の走りに特化したクルマ全てに言えることですよね。

  • 日産・スカイラインGT-R(R33)のエンジンルーム
  • 日産・スカイラインGT-R(R33)のエンジン
  • 日産・スカイラインGT-R(R33)のRB26ロゴ

――やっぱりRB26DETTエンジン、偉大ですね! それ以外にも欠かせない魅力はありますか?

あとはブレーキです。ポルシェが「世界一ブレーキに拘るメーカー」なんて言われているように、速いクルマになればなるほどブレーキが大事なんですが、日本車は得てしてチープなんですよ。
でもこのクルマはブレーキがキッチリ組まれているのでそこが特に気に入っています。

きっとサーキットを走ったら楽しいクルマだなとは思うんですが、万が一壊してしまうと部品の入手が大変だったりもう取り返しがつかないので……もったいなくてできないですね(笑)。

  • 日産・スカイラインGT-R(R33)のブレーキ

――ちなみにGT-Rを手にしてからは愛車に乗る頻度は増えましたか?

いや、むしろ減ったかもしれません。というのも、やはり盗難とクルマの劣化が怖くて頻繁にクルマを出したくないんですよね。ちゃんとガレージに入れて保管しているんですが、そのガレージに保管していることがバレるのも気になって…。

ガレージ保管でも盗難される事は多々あるので、家の帰り道も同じルートにならないように色々なルートに変えるようにしています。

――以前から盗難に対して警戒はされていたんですか?

RX-7やZも気にしていましたが、このGT-Rは今まで以上に貴重で高額であることと、何よりも入手するためにかけた苦労からの思い入れが段違いなので、今まで以上に警戒するようになりました。

仮に盗まれてしまってもう一度買おうとすると、個体数も少ないので同レベルのクルマは二度と手に入らないかもしれません。

――それほど注意して乗られているということだったので、ドライブなんかはかなり貴重なもののでは?

最近だと、富士スピードウェイでのイベントに行ったくらいですかね。道中の運転はやっぱりエンジンのフィーリングを楽しめて格別でした。

  • 日産・スカイラインGT-R(R33)と富士スピードウェイ
  • 日産・スカイラインGT-R(R33)で参加したオフミーティング

――こういう時にこそ、「GT-Rを買ってよかった」みたいな気持ちに浸れますか?

そうですね。ただ、もともと仕上がっているクルマとはいえ、やっぱり物足りないところもあって。自分の好みにしたいというところが出てきました。

例えばエンジン。今はライトチューンになっているんですが、このエンジンが持つ本来のパワーが出るようにしたいなって思っています。あとはキレイな状態ではありますが、細かく劣化しているところはあるのでそれも直したいかなって。

とはいえ、リフレッシュされた各部品はほぼ新品で組まれているし、オールペンもしているクルマだからやらないといけないことはほとんど終わってはいるんですけどね。

――では、GT-RはSegawa Kazukiさんにとってどんな存在になりますか?

僕にとってGT-Rは夢であり、所有することが目標だったんですね。だから今はこのクルマは「パートナー」ですね。

正直、誕生からすでに26年が経過したクルマなので自動車として走れるのはあと10年くらいで、いつかは走らせることができなくなる日が来るとは思いますが、それでも最後まで所有していたいし、一級自動車整備士として自分が持っている知識や技術を総動員して、良い状態で維持して大切にしていくのが今後の目標になっています。

  • 日産・スカイラインGT-R(R33)を運転するSegawa Kazukiさん

自動車の業界で長年働いてきたことで培った知識をもとにスカイラインGT-Rを手にしたSegawa Kazukiさん。あまりに貴重な1台だけに購入後はなかなかドライブに行くことが少なくなったそうですがその分、1度のドライブで感じる思いは格別な物な様子。

スカイラインGT-Rへの愛はあまりに熱いだけに、この後もきっとこのクルマを大切に所有していくことでしょう。ここまで愛されるとスカイラインGT-Rも愛車冥利に尽きると言えそうです!

【Instagram】
Segawa Kazukiさん

(文:福嶌弘)

[GAZOO編集部]

MORIZO on the Road