これ、マツダのクルマなんですけど……。よく間違えられる僕の愛車「ファミリア アスティナ」
働き初めて1年後、新車を買おうと思ったという「SAKOさん」。最初に運転したクルマがお父様の乗っていた赤いファミリアの5ドアハッチバックで、そういうクルマが欲しかったのだと話してくれました。
そんなSAKOさんが選んだのは、マツダ ファミリア アスティナ。数台候補はあったそうですが、当時フルローンを組んで支払えるのが、このクルマだったとのこと。
今回は、SAKOさん×ファミリア アスティナ のお話をお届けします。
――新車で購入して、ずっと乗り続けているんですね。
そうなんです。とても思い入れのあるクルマなので、私が免許を返納するのが先か、アスティナが修理不能となるのが先かといった感じになると思います。
当時からマイナー車ではあったんですけど、欧州では人気があったんですよ!そのせいか、日本ではこのクルマを知らない人が多くて……。
――知らない人が多い?
いつだったか忘れましたが、マツダ系ディーラーで若い新人の子に「これって、どこのクルマなんですか?」と聞かれましたよ。頼むから、君は知っておいてくれ……。マツダのファミリアじゃないか……!と心の中で叫びました(笑)。
あとは、数年前に仕事でトヨタ系ディーラーに手続きに行ったときに、「70スープラですか?」と言われたこともあります。いやいや、メーカーが違うよ……と、心の中で突っ込みました(笑)。
というのも、マツダのステッカーはリアに貼ってあるだけで、フロントノーズの部分には、五角形のファミリアの“F”をモチーフとしたエンブレムが付いているんです。だから、どのメーカーのクルマなのか分からないんだと思います。
――確かに、ぱっと見70スープラっぽいかもしれないですね
ほかにも間違えられます……。多分、当時からあまり見かけなかったクルマだから、人気車に似たようなクルマと間違えられるんだろうなぁ~。リトラクタブルヘッドライトというだけでも、それっぽいですもんね(笑)。
それだけならまだしも、名前もよく間違えられるんですよ。アスティナのミニカーが出ていたんですけど、“アステナ” と書いてあったのを見た時は、もう悲しいを通り越してフフッと笑っちゃいました。
あっ!でも、最近販売された国産名車コレクションシリーズのミニカーは、“ファミリア アスティナ”って書いてありました!
――おぉ!やりましたね!
でも。リアワイパーの位置は違いましたけどね。
――惜しい……
国内仕様は縦に立ってるんですよ。だけど、海外仕様にしているのか、寝ているワイパーになっていました。
と、まぁ色々ありますが(笑)、新車で購入して30年以上一緒に連れ添っていると、そんなこともあるよな!でも、僕は知ってるからな!ってなりますね。
――ずっとワンオーナーで乗ってらっしゃると仰ってましたもんね。メンテナンスなどはどうしているのですか?
最初に購入したディーラーで、30年間ずっと見て頂いています。故障すると修理もしてくれるし、部品を血眼になって探してくれるので本当に有難いですね。
どうしても見つからないものは、クルマが縁で出来た友人達に情報をもらったりしてますよ。
エンジンを載せ替えているんですけど、載せ替えたエンジンもその友人の一人から貰ったエンジンですしね。「エンジンあるよ?いる?」と言われたので有難く頂戴して、せっかくなので載せ替えました(笑)。
――載せ替え前のエンジンは、不調だったんですか?
とくにそういう訳じゃなかったんですけど、「DOHC」という言葉の響きに憧れてまして(笑)。
もともと搭載してあったのは後期型の1500SOHCというエンジンだったのですが、もらったエンジンは前期型の1500DOHCというエンジンだったんです。もともと搭載してあったのが94PSだったから、110PSになってパワーアップしました。
――実際に乗ってみてどう違いましたか?
SOHCはエンジン自体が軽くて回るので、車体の鼻先が軽く旋回しやすかったです。ただ、1本のカムでロッカーアームを使ってバルブ開閉する分、高回転域でちょっともたつくような気はしましたね。
DOHCはSOHCに比べてエンジン重量はあるんですけど、その分、馬力とトルクがあって力強さがありました。吸気と排気バルブ動作のカムが分かれているので、高回転域でもバルブの動きも軽やかなのか、単純にパワーが出ているっていう感じでしたね。
でもど素人の感覚ですから(笑)。結論からいくと、どっちも好きです。
――あはは(笑)!ちなみに、ほかに手を加えている箇所はありますか?
自分でやったんですけど、電装系で古くなった箇所を配線補強しました。点火系とアース系を重点的にしたんですけど、個々の電気抵抗値を計測して、電気の流れが悪そうなところに手を入れていきました。
とくに、ボディアースで電気の流れが悪くなったところを見つけたので、集中的に配線補強をしました。その甲斐あってといいますか、30年間で切れた電球は、フォグと右ウインカー球のみでしたよ。
あとは、ディーラーに整備入庫して消耗品交換をするときに、同型車種からのパーツ流用可能なものは流用してアップデートもしています。サスペンションやスタビライザー、ブレーキなどは、上位グレードのものを使って、交換出来る範囲のものは交換済です。
――たっぷり愛情と、時間を注いできているんですね。
ドMなのかなぁ……。いやいや、冗談ですけどね(笑)。単純に、初めて買ったものだから長く乗りたいというのがあるんですよ。
僕は工業系の学校を出ているんですけど、そこで造り手の大変さを沢山学んできました。だから、機械なんだけど、造り手の魂がこもっていると思っているんです。そんな訳ないじゃんって思われるかもしれないけど、僕はそう思うんです。
だから、アスティナを最後まで看取りたい。もしかしたら、僕の方が先かもしれないけどね(笑)。
一緒にいた時間が長いせいからか、アスティナをけなされると腹が立ち、褒められると嬉しくなってしまうくらい大好きな存在だと話してくれました。まだまだ時を共に重ねていくことでしょう。
(文:矢田部明子)
希少車とともに過ごすこだわり愛車ライフ
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