「悪っぽい雰囲気がいい」。純正パーツを使ってフルオプション化した日産・シーマ(Y31型)
バブル期のこと。シーマを皮切りに高級車の人気がどんどん上がっていき、続々と売れる状態を“シーマ現象”と呼んだのだとか。それは、1988年の流行語大賞として選ばれるくらい認知度の高いワードとなりました。
時代を象徴するクルマとなって一躍有名になったシーマですが、今回の取材対象者である「関さん」も、シーマの魅力に取り憑かれたうちの1人といいます。
今回は、関さん×シーマのお話をお届けします。
――発売当時、関さんにとってシーマはどういう存在だったのですか?
そりゃあ高級車でしたよ。僕の周りだと土建屋さんの社長とか、建築関係の社長さんが乗っているという感じでしたね。1番上のグレードだと500万円を超えていたし、お金に余裕のある人が乗るといったクルマでした。
シーマに乗っていると、ステータスが高いみたいな風潮はあったと思います。
――そんなシーマの、どういうところに魅力を感じたのですか?
1番良いなと思っているのが、普段使い出来る高級車というところなんです。シーマの上にプレジデントという高級車があったんですけど、これは普段乗りするっていう感じじゃないんですよ。あくまで個人的な意見になっちゃうんですけどね(笑)。
そしてデザインでいうと、スタイリッシュとも違う上品とも違う“イカついスタイル”がカッコイイと思っています。それに加えて、初代シーマは歴代シーマと比べると“悪っぽい雰囲気”があって、そこもお気に入りポイントですね。
若い頃は、そういうのに憧れていましたしね(笑)。
――私も悪いのに憧れた時期がありました(笑)。シーマに乗り始めたのはいつからですか?
現在の愛車は10年前から乗っているんですけど、1番最初に乗ったシーマは、19歳の時に新古車で購入したものなんです。かなり頑張ったと思いますね……。
その後に、セルシオに乗ってみたくなって乗り替えてからは、シーマと少し遠ざかっていました。だけど、年齢を重ねてまた戻ってきたという感じですかね。
――また乗ってみよう!と思ったキッカケはあったのですか?
やっぱり、シーマというクルマが好きなんでしょうね~(笑)。ちなみに、今乗っているシーマは19歳の頃に、乗りたかったけど乗れなかったサンルーフ付きのシーマなんです。
それに奇跡的に出会うことが出来たから、燃費は3ℓ/kmなのに会社に行くのもスーパーに行くのも、どこへ行くにもシーマです。さっきも言ったでしょ?普段使いできる高級車というのが、シーマの魅力だって(笑)!
――まさか……、ハイオクですか……?
はい(笑)。
――それを言い出したらキリがないですしね!話題を変えましょう(笑)。Y31シーマとなると、部品が無くて困るということが多いのでは?
そうなんですよね~。だから、部品取り車としてサンルーフ無しが1台、サンルーフ付きが1台あるんです。これで足りるかと言われれば不安はありますが、安心といえば安心なのかな?
――めちゃくちゃシーマ持ってるじゃないですか!早く言って下さいよ!!
あ、すみません……。言い忘れてました……。この流れで言いますと、今乗っているシーマのほかに、カスタムをしているシーマにも乗っていて……。
――取材後半にして、こんな面白い話が聞けるとは!
あはは(笑)。ありがとうございます。当時、色々なエアロメーカーが専用パーツを作っていて、それを使ってカスタムをしている人が多かったんですよ。そして、僕もその1人でした。
で、大人になった今は、当時無かったカスタム方法を今の技術で施しているという感じです。逆に、普段使っているもう1台は純正にこだわりたかったから、純正パーツのみを使ってカスタムしているという感じです。
自分の好きなようにいじったシーマと、ありのままのシーマ、この2台持ちをしたかったんです。もー、これは完全に自己満足の世界(笑)!
――自己満足最高じゃないですか!私もシミが消えるか分からないのに、クリーム塗り続けてます。
き、消えると良いですね……。でも、本当にその通りなんですよね。
――ちなみに、純正車両にはどういったカスタムをしているのですか?
外装は全て純正のエアロパーツ、リップスポイラー、リアのトランクスポイラー、リアのマッドガードとフルオプションのスタイルにしています。サンルーフも付いているし、欲しいオプションは全部つけました(笑)。
内装はモケット生地の茶色のシートを、純正の白の本革シートに換えています。このシートはねぇ~、結構大変でしたよ。東京まで取りに行って、内張から綺麗に剥がして取り付けていかなくちゃいけなかったからね。
でも、もう汚れてきちゃってるんですよ……。丁寧に使っているつもりなんですけど、真っ白だからどうしても汚れが目立っちゃう……。
――分かります。毎日拭いてもダメなんですよね……。
そうなんですよ。だから、そろそろ張り替えをしていかなくちゃな~なんて思っています。
で!内装の続きになるんですけど、メーターはアナログメーターから純正のデジタルメーターに仕様変更しました。
――走りに関するカスタムはしてらっしゃるのですか?
これもまた、全部純正のパーツを使ってカスタムをしていますよ!僕の個体は、タイプ2リミテッドのターボなのでエアサスなんですけど、バネのサスペンションに入れ換えています。
それによって、フワフワしていた乗り心地が、スポーティーでシャキっとしました。高級車とはいえども、スポーツカー並の速さがあるので、こういう感じにしたかったんですよ。
今後も出来るだけ純正に近づけて、綺麗に維持していきたいと話してくれた関さん。次は、10年前にオールペンをしたボディを純正色に塗り直したいとのこと。
若い頃に憧れたシーマを、これからも大事にしていきたいそうです。
(文:矢田部明子)
時代を象徴する「シーマ」という存在
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