ドラッグレースで世界一! カルディナに乗る僕がエンジンを作り始めたきっかけは2T-Gエンジン
スキー学校の指導員をするほど、ウインタースポーツが大好きという「八代さん」。そんな八代さんが選んだのは雪道を安心して走れるカルディナで、愛車になって15年の歳月が過ぎたそうです。
当時、対抗車としてレガシィがあったそうですが、それを選ばなかった理由はトヨタ車だったからとのこと。その理由は何なのでしょうか?
そしてエンジンを作るとは?
今回は、八代さん×カルディナ のお話をお届けします。
――トヨタ車が良かった理由は何ですか?
センサーやエンジンコントロールなどの、電気関係の品質が高いからです。
スキーのために四駆のカルディナを買ったから、実働期間はほぼ冬だけなんですよ。年間にして7000kmだから走行距離も伸びないし、長く乗れるクルマを選んだという感じですね。
――それがトヨタ車だったと。電気関係が強いと感じたのは何故ですか?
クルマの機構に興味があって、どうなっているのかを見るのが好きなんです。それで、各メーカーのクルマを見ていくうちに、トヨタは電気関係が強いと感じたんです。
――他メーカーも、そういう風に感じる部分ってありますか?
ありますよ。すごくザックリ言うと、スバルは四駆が優れているし、ホンダのエンジンは無駄が無くて出力が大きい、トヨタのエンジンはハイパワーです。詳しく話したら長くなってしまうので、今日のところはやめておきますね(笑)。
まぁ、あくまでも僕の意見なので、そうなんだ〜程度に聞いていただけると嬉しいです。
――ちなみに、いつからクルマの機構に興味を持つようになったのですか?
初めは機械が好きだったんですよ。こういう動き方をするのかと観察して、自分が作るならどうする?と想像するのが好きだったというか。
小学校6年生の時に、坂道を快適に登ることができる自転車が欲しくて、自分の自転車にラジコンのエンジンを取り付けたことがあったんです。今で言うところの、電動自転車を作りたかったんです。
――すごいです!どうだったんですか?
聞きたい……?
――わずか12歳にして電動自転車なんて、すごいじゃないですか!
プロペラがプルプル回っただけでしたよ。
――な、なるほど。
流石に甘かったですね(笑)。いや〜、プロペラが回ることによって起こる風で、前に進むんじゃないかと期待したんですけどダメでしたねぇ〜。
――結果はともかく、やってみたことが価値あることですよね。
あはは(笑)。そう言っていただけると嬉しいです。誰も考えつかないような方法で、便利で使いやすく物の性能を上げることが楽しいんですよ。今僕は、屈強なエンジンを作ることに、その情熱を注いでいます。
――と、言いますと?
レースで使われるエンジンを作っているんです。クルマの免許を取ってから、レビンに積んであった2T-Gのエンジンを触ったことをキッカケに、その構造や魅力にどんどん引き込まれていったんですよ。
レビンって、今は中古車市場で価格がとんでもなく上がってますけど、当時はすごくお手頃だったんですよ。だから、学生の僕でも手に入りやすかったという訳です。
自転車と一緒で、これをやったらどうなるのかな?と考え、色々やるだけで、その性能が変わったりするのが面白くて毎日何かしらしていましたね。
ある時、3つ歳下の弟がロータリーエンジンを積んでいるクルマに乗り始めたんです。軽量、コンパクト、構成部品が少ない、サイズの割に出力が大きいところに惹かれて、その後は主にロータリーエンジンをいじっていました。
それが大体21歳くらいの頃なんですけど、大人になった今でも続いているという感じですね。
――どういう風に、チューニングしていくのですか?
説明不足だったのですが、エンジンを作るというのは、チューニングするということではないんです。エンジンに使われる部品を鍛えていく、加工するということなんです。
もちろん、エンジンの構造などは理解していますが、自分でやるのはボアアップくらいかな〜。例えば、ピストンを太くするために、シリンダーブロックを削ったりすることが私の仕事なんです。
というのも、僕は飛行機や車などの部品を作る“金属切削加工業”を営んでいるんです。だから、そういうことが専門分野なんです。
――そういうことだったんですね!
そうそう。レースで使われるエンジンって、普通の金属じゃ耐えられないくらいの大きな力がかかるんです。
なので、強度を上げるために、熱処理の仕方や金属の材質を選んでいき、作った製品を切って磨いて薬品を塗り、組織がどいう風になっているのか顕微鏡で見て試行錯誤するんです。
そうして作られた部品は、同じ太さでも3倍くらいの強度があるから、それを使ってレースに挑むというわけです。
――実際に仕上がった製品で、レースで結果を残せた時はどうでしたか?
そりゃあ嬉しいですよ。もちろん、僕だけの力じゃなくて、ドライバーやエンジンをチューニングした人、ピットクルーなど沢山の人が頑張ったからなのですが、その1人になれたことが喜ばしいことなんです。
2022年11月12日にセントラルサーキットで行われた“ドラッグフェスティバル”で、世界一になったと話してくれた八代さん。
今後も、これから挑戦するレースに向けて部品を鍛えていくと意気込んでいました。報告を聞くのが楽しみです。
(文:矢田部明子)
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