人気を確立しバリエーション拡大で飛躍 2代目サバンナRX-7・・・懐かしの名車をプレイバック
日本ではもちろんのこと、北米でも独自の地位を築いた「サバンナRX-7」の後継モデルが1985年に登場した。ロータリーエンジンと初代の設計思想を受け継いだ2代目が歩んだ6年のモデルライフは、進化とバリエーション拡大の積み重ねでもあった。
ロータリーの汚名返上に成功
1973年に勃発(ぼっぱつ)した第4次中東戦争を機に中東の産油国が突如原油価格を大幅に引き上げ、世に言う「オイルショック」が始まった。その影響もあって、「燃費が良くない」という評価から壊滅的なダメージを受けたのがマツダのロータリーエンジンだった。
しかしその悪評高いロータリーエンジンは、1978年の初代サバンナRX-7の誕生とともに不死鳥のごとくよみがえった。
そもそも「燃費はある程度悪くても、走りが良ければ問題なし」と、当時そう認識されたスポーツモデルにならば、ロータリーエンジンにも活路が見いだせた。「軽量でコンパクトという特徴を持つこのユニットでなければ、フロントミドシップというRX-7独特のパッケージングは成立しなかった」というデビュー当時の説明も、大いに納得できるものだった。
かくして、一時はマイクロバスにまでロータリーエンジンを搭載するという”フルラインナップロータリー”路線をスポーツカーに限っての搭載へと改めたマツダの戦略は、見事新しい鉱脈を掘り当てることに成功。汚名返上を果たしたロータリーエンジンを積むサバンナRX-7は、2代目へと刷新されることになったのである。
オープントップモデルも追加し人気が加速
1985年10月に登場した2代目サバンナRX-7は、当然のようにロータリーエンジンをフロントミドに搭載するリトラクタブルヘッドライト採用の2ドアクーペという特徴こそ踏襲したものの、ジェット戦闘機のキャノピーのようだったキャビン部分を含め、見た目が大幅に変更された。
どこか「ポルシェ944」をほうふつさせるようなそのルックスが醸し出す雰囲気は、口さがない人々からは”プアマンズ・ポルシェ”と揶揄(やゆ)されもしたが、それでも再度スポーツカーファンの心を捉えることに成功した。
2年ほど後にはロールオーバーバーを持たない、完全なオープンボディーの「カブリオレ」を追加するなどして、日本を代表するピュアスポーツカーとしての座をいよいよ確固たるものとしたのである。
当時の試乗メモによると……
私事ではあるが、そんな初代RX-7の誕生は、実は自身の自動車運転免許の取得とほぼ同じタイミング。さらに2代目の登場は、自動車専門誌の編集部から独立しフリーランスとなってまだ間もない時期に重なった。ならば「試乗した当時のメモがまだどこかにあるはず」と探したら、ありましたありました。現在は180冊目(!)を超えたメモ帳の2冊目と4冊目に、今よりもはるかに小さな文字でエンジン性能を向上させたりBBSホイールを履かせたりした高性能限定モデル「アンフィニ」(バージョン3)と、AT仕様のカブリオレの印象が結構細かく記してあるのを発見!
アンフィニのほうは「専用バケットシートのせいで乗降性が悪く、(シート)ベルトが引き出しにくい」とひとしきり文句を言った後に、「思いのほか乗り心地が良く、シフトフィールは抜群。フル加速はジェット機のごとき速さだが、1500rpm以下ではトルク不足で駆動系のガタが気になる」とのこと。ちなみに、操縦性は「パワーオンでアンダーステアが出やすいもののブレーキングと速い転舵でそれを消すことが可能で、パワーが大きくなったぶんだけコントロール性に優れる」となかなか気に入った様子。
残念ながらどこでテストドライブしたかの記載はないが、「レッドラインの7000rpmでは1速55(km/h)、2速95(km/h)、3速135(km/h)まで引っ張れる」などと書いてあったりもするので、きっとどこかのテストコースかサーキットでの試乗ですよね。
当時はまだ少数派だったATスポーツ
一方のカブリオレになると随分とメモの分量が減っていて、「キックダウンが敏感でブーストが有効に立ち上がるものの、減速時の停止直前にダウンシフトのショックが気になる。トップギアは完全クルージング用のギア比」と、当時はまだ少数派だったATに関する記載がひととおり。
ちなみに、後者は4段ATゆえのワイドなレシオ設定がもたらした印象でもあったはずで、となればキックダウンが敏感だったのもさもありなん……と自分のメモに感心する。
肝心のオープンボディーがもたらす感覚については、「オープン時にワナナキが大」とのひとことだけで、正直あまりお気に召してはいなかった様子。そういえば、同じモデルでクローズとオープンの両方があった場合、迷うことなく屋根開きよりも屋根閉じのほうがより好みという点に関しては、実は今もあまり変わっていなかったりする。
こうして記憶を呼び戻すにつけ、歴代RX-7の偉大さがあらためて鮮明になる。そんな思い出からすると、PHEVの発電用にロータリーエンジンが復活! と耳にしても、果たして喜んでいいものか複雑な気分になる。
(文=河村康彦)
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