新車で購入して32年。“羊の皮を被ったオオカミ”を感じる日産スカイラインGT-R(BNR32)
1980年の末、バブル期に登場した、BNR32型の日産スカイラインGT-R。外観、内装、走行性能の全てがクルマ好きの心を虜にし、今でも名車として語り継がれています。
実際に、モータースポーツでの鮮烈な活躍の影響でGT-RといえばR32を想像する人も多いのではないでしょうか?
今回取材する「上田さん」もその1人で、新車で購入してから32年間、その魅力に取り憑かれているのだそうです。
今回は、上田さん×スカイラインGT-R のお話をお届けします。
――このクルマを買おう!と思ったキッカケは何だったんですか?
全日本ツーリングカー選手権で大活躍したスカイラインGT-Rが、16年ぶりに復活するということでチラリ見てみると、これは絶対に乗りたいと一目惚れしてしまったんです。
というのもね、エンジンは専用設計で2.6ℓ直列6気筒ツインターボRB26DETTを搭載、最高出力は280ps、最大トルクは36kg・mと夢のようなスペックだったんです。
「えっ!? こんなクルマが世の中に出るの!」って、驚いたのを覚えています。
僕は自動車メーカーに勤めていて、周りにクルマ好きが多かったということもあり、同僚とスカイラインの話題で持ちきりでしたね。
――なるほど。そんなに話題になっていたクルマに乗れるなんて…すごいです!
いやぁ……、なかなか大変でしたよ。そのために必死で働いたという感じでした(笑)。結婚したてで色々入り用があったし、スカイラインって普通のクルマの倍くらいの値段がしたんですよ。
とても買えないな〜なんて思っていたんですけど、どうしても気になってしまって展示車を見に行ったんです。
そしたら、想像以上にカッコ良くてね……。スカイラインGT-Rは、“羊の皮を被ったオオカミ”とかいうフレーズが使われていたんですけど、それがまたカッコよくてねぇ〜。
良いなぁ〜、こんなクルマに乗れたらなぁ〜、欲しいな〜と思っていたら、それが妻に通じたのか、「そんなに欲しいなら、買えば?」って言われたんです。それで、2つ返事で買いました。
――奥さん素敵! スカイラインを購入して、2人でお出かけに行くことが増えたのでは?
ハハハ……。
――何ですか、その笑いは……。これは、何かありましたね。
乗り回したいところではあったんですけど……。さっきも話した通り、僕は自動車メーカーで働いていて、他メーカーのクルマで通勤するわけにはいかなかったから日常的に使えなかったんです。
週末も忙しいことが多いし、スーパーに買い物に行くときに乗るといった感じでした。奥さんからは、「このクルマはスーパーに行くだけのスーパーカーや!」って言われていました(笑)。
――あはは(笑)!やっぱり奥様素敵すぎます!
……。
――ところで、実際に乗ってみてどうでしたか?
シートに座る、ステアリングを握る、アクセルをふかす、その1つ1つの操作全てから作り手の思いがヒシヒシと伝わってきました。
いかに運転を楽しめるか? このスカイラインというクルマを感じられるかがよく考えられていると感じました。
初めてこのクルマをサーキットで走らせた時は、血液が全て後にいくようなGを感じました。これが、このクルマの実力なのかって興奮したのを今でも覚えています。
――そんなに良かったんですね
はい。それも、かなり良かったです。
形が箱形で、いわゆるスポーツカーの流線形ではなかったから、速そうな感じじゃないんですよ。なんだけど、魂はスポーツカーどころかレーシングカーで、羊の皮を被ったオオカミというイメージに合うな、と納得しましたね。
――その良さを体感するために、サーキットには結構行かれたんですか?
どれくらいを“結構”というのかは分かりませんが、年に2、3回は行っていましたね。で、楽しいからついつい走りすぎちゃうんです。そうすると、へたる部分も多くなってきて、交換せざるを得なくなってくるわけです。
だけど、この型のスカイラインってアフターパーツが結構出てて、劣化したパーツをそれに変えていたら、知らない間に442馬力になっていました(笑)。この前テスターでチェックして、自分でもビックリしましたよ(笑)。
――どんどん羊の皮を被ったオオカミ化してるじゃないですか。
あはは(笑)、ほんとだ! それはそうなんだけど、現在60歳だから、あと何年乗れるかなあ〜?と思っているんですよ。ちょっと寂しい話なんだけどさ。
だから、スカイラインのこれからに関しては、クルマ自体をどうこうと言うよりは、少しでも長くこのクルマを楽しく運転できるように、自分自身が健康でいる事が大事だと思っています。
それだけじゃなくて、超重いクラッチを踏めて加減速Gに耐えられるように筋力を維持すること、GT-Rの名に恥ずかしくないようなスマートな運転スキルも維持したいと思っているんです。
――おっ!頼もしいです♪
当たり前じゃないですか!何年スカイラインオーナーやってると思っているんですか(笑)。
長い付き合いだから故障しそうなところはすぐ分かるそうで、32年間走って保険を使ったのは飛び石くらいだそうです。まだまだ現役のスカイランオーナーとしてバリバリ走り続けて欲しいです!
(文:矢田部明子)
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