旅は沢山の出会いで人生の選択肢を増やしてくれる。ハイエース&バイクでいざ日本一周旅へ
55歳になった時、クルマにバイクを積んで日本中を旅しようと決めたという「石井さん」。そして、いざ旅に出ようと色々準備していたところ……。コロナ禍となり、それは難しくなってしまったとのこと。
ならば仕方ないと、2021年7月に会社を早期退職し、田舎で小さな飲食店を始めたそうです。
ところが、やっぱりクルマにバイクを積んで旅に出たいという思いが強くなり、今年やっとその夢が実現出来そうだとワクワクしながら話してくれました。
今回は、石井さん×ハイエース+バイクのお話をお届けします。
―――“クルマにバイクを積んで旅に出よう”と思ったキッカケは、何だったのですか?
“自分の運転で自由にどこかへ行く”という夢を実現したかったからです。僕は子供の頃からクルマやバイクが大好きだったんですけど、父と母は運転免許も持っていなくて。電車やバスで出かけることしかなかったから、小さい頃からそういうのに憧れがあったんですよ。
ちなみに、幼稚園の時の将来の夢は“タクシー運転手”で、とにかくクルマでいろんな所に行くというのをやりたかったです(笑)。そんな僕が初めて運転したのは、ヤマハのセロー225というオフロードバイクで、大学生のときに日本一周したのをキッカケに旅にハマっていきました。
―――ということは、もうすでに日本一周しているのですね。
そうです。だけど、大人になった今はハイエースにバイクを積んで車中泊をしながらという、大学生の時よりちょっぴりリッチな旅をしたいんですけどね。だって、テントを張って旅するってなかなか大変なんですよ……。
学生の時、正月に佐賀県にセローで行った時に、真っ暗な山奥でテント泊をしたことがあったんですけど、すごく寒いし、カサカサ、ザザーって奇妙な音は聞こえるし、熊とか出てくるんじゃないかって怖くてなかなか寝られなくて。
あの時は若かったから何とかなる自信があったけど、もう今は鍵をかけて車内でゆっくり眠りたいです。
―――あはは(笑)!確かに!ちなみに、大学生の頃は、どうして日本一周しようと思ったのですか?
そりゃあ、高校生の時に、親に内緒でコッソリ取った免許で乗る念願のバイクですよ!
少ないお小遣いをやりくりして買っていたバイク雑誌に載っているバイクにやっと乗れたんですから、色々な場所に行ってみたいと思うのが人の性というものでしょ。
当時はナビなんて無かったから、地図を広げて、これから初めて見るであろう景色に思いを馳せながら、ルートを決めるのも楽しくて。関西に住んでいたから、まずは関西圏を制覇して、その後は長期休暇にフェリーで九州や瀬戸内海の橋を渡って四国の方へも足を伸ばしました。
とまぁ、最初はこんな感じで“ドライブする”ことが目的だったんですけど、次第に違う魅力を感じるようになったんです。
―――と、いいますと?
例えば、どこか有名な岬に行くとするじゃないですか?そこに朝から夕方までいて色々なことを考えていると、高確率で僕と同じような旅人に出会うんですよ。
―――マッチングアプリとかじゃなくて?
違う違う(笑)!たまたま!偶然に出会うんですって!
それで、声をかけて色々な話をしてみると、この人の考え方は僕と同じだな~とか、全く思いもしなかった方向から物事を観ている人なんだな〜とか、新たな発見があるんですよ。
結果的に、その出会いが人に対する接し方や付き合い方に影響を与えてくれたり、これから旅に出るわけですけど、何か自分の常識を覆してくる出会いがあるかもしれない。そう思うと、旅に出たくありませんか?
―――なるほど。それを聞いて私も旅に出たくなりました。
バイクで九州を旅していた時なんですけど、長崎で信号待ちしていたらホンダのVT250が僕の後ろに停まってね。「どこか美味しいお店はないですか?」と聞いてみたら、お兄さんがオススメのラーメン屋さんに連れて行ってくれて、「ようこそ長崎へ」ってラーメンを奢ってくれたんですよ。
更に、ユースホテルに泊まってみたら?と提案してくれて。その手があったかと行ってみると、そこには一人旅とはまた違った楽しさがあったわけです。
そういう偶然の出会いが、自分では選ばない、選べないルートを案内してくれて、「これもありか!!」ってすごく面白いし、旅の醍醐味だと思うんですよ。で、今度は新たな試みとして、クルマとバイクで日本を周ることにしたんです。
―――今度は、どんな旅になりそうですか?
観光スポットとしてはあまり知られていない様な、何かしら歴史的に意味のあるスポットなど、少しコアな場所を巡ろうと思っています。あとは、気の身気のまま目についた場所にふらりと行こうかなと。
長距離はハイエースで行って、現地についたらバイクでちょこちょこと。ちなみに、バイクはYAMASAKI YM125IIIという中国製DIYバイクなんです。箱に入った状態で買って、自分で最終組み立てをするという代物です。だから、愛着が湧くというか。
今、慣らし中で500kmちょっと走りましたが、だんだん当たりが出てきて良くなってきたような感じがします。それも、育ててるって感じがして良いんですよね。そんなバイクとハイエースと、自分の足で赴き、自分の目で観て色々なことを考えようと思っています。
そう話してくれた石井さんは、実際に自分の手でクルマをいじってみたいと整備士の免許を取得、日本のクルマの技術の高さを南米に伝えたいとメキシコに語学留学をしたり、常に自分の原動力の根本にいるのはバイクやクルマだったということです。
そして、それはこれからも変わらないということですが、さて、これからどんな“出会い”や“衝撃”が石井さんを待ち受けているのでしょうか? 続編を期待しています!
(文:矢田部明子)
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