「頭文字D」の高橋啓介が原点。マツダ・RX-7 タイプR バサーストR(FD3S)は“生涯の相棒”
夢や憧れを現実にする人は、どんなに些細なことでも目標につながる行動を起こしているように思います。小さな行動の積み重ねによって夢に手が届きます。
yossyさん(30)もそんな一人だと思います。今回は、憧れのRX-7を愛車に迎えたyossyさんのカーライフをご紹介します。
――まずは、yossyさんの愛車プロフィールをお願いします
「マツダRX-7 タイプR バサーストR(FD3S)」です。年式は、2001年式になります。乗り始めて約6年ですね。
――ちなみに限定500台のモデルですね。ボディカラーは特別限定色のサンバーストイエロー。貴重な個体です。yossyさんは幼い頃からクルマが好きだったのですか?
物心ついたときからミニカーでよく遊んでいたのですが、自然とスポーツカーを好んでいたようです。
RX-7に出会ったのは、5歳の頃です。当時、アニメ専門チャンネルで放送されていた「頭文字D」に登場する「高橋啓介」が駆るマシンを見て衝撃を受けました。
――「頭文字D」の中でもっとも影響を受けた場面は?
1〜5話で描かれたバトルシーンですね。フリー走行が始まる瞬間、一斉にリトラクタブルヘッドライトを上げる場面にグッときます。もっとも痺れたシーンは、高橋啓介のRX-7が左コーナーから飛び出すように現れるところです!
――RX-7のどんなところに惹かれましたか?
薄くて低いイエローのボディ、リトラクタブルヘッドライト、ドルフィンテールのカッコ良さに釘付けになりました。このクルマが実在しているのかと思うと、ワクワクが止まりませんでした。
すっかりRX-7が好きになり、遊びすぎてボロボロに塗装が剥げたミニカーをRX-7のイエロー塗料(プラモ用)で塗り直したり、自由帳をRX-7の絵で埋め尽くしたりしていました。
特に好きなリトラクタブルヘッドライトとドルフィンテールは必ず描いていました。学生になっても、小テストが早く終わると答案用紙の裏にRX-7を落書きしていました(笑)
――少年時代のyossyさんが思い浮かぶようです。実際に手に入れるまで、どうやってRX-7へのモチベーションを維持していたのでしょうか?
私は18歳のときに進学で上京しました。関東圏にはRX-7の専門店が多く、街を実際に走っている姿も頻繁に見ることができ、実物を目にしたことで俄然モチベーションは高まりましたね。
――夢に一歩近づいた気がしたんですね
社会人になると、クルマのイベントにも行くようになりました。そんな中でRX-7オーナーの友人もできました。
中古車情報もこまめにチェックして、良い個体が出ていると、遠くの県でも遠征して実車を見に行くこともたびたびでした。その場で買うことができなくても、すべて撮影して画像に残し、願掛けや仕事、転職活動のモチベーションアップのために眺めてました。
――行動を起こしながら、少しずつ夢に近づいていったんですね。では、いよいよ愛車との出会いをお聞きします
中学時代から愛読していた「ハイパーレブ」の誌面で知った専門店を一度訪問したことがあったんです。のちに4型オーナーの友人ができたのですが、彼が愛車を手に入れた店が、偶然同じ店だったんです。
その友人から「yossyさんの狙っている6型純正イエローのFDが入ったよ」と教えてもらい、再びその専門店へ行くことになりました。そして社長さんに「購入を本気で考えている」と伝えたところ「ローン審査をやってみよう」と言っていただき、無事に合格できました。
当時は仕事の関係で他県へ引っ越す直前だったので、すごいタイミングだと思いましたね。ボディカラーも、小さい頃からずっとオリジナルのイエローを探していたので、心の底から嬉しかったです。頭文字Dのコアなファンからしたら、高橋啓介の1型のみに設定されたイエローとは違うと言われるかもしれませんが(笑)
――引越し直前に運命の出会いですね!初めてエンジンを掛けたときの心境はいかがでしたか?
「人生でいちばん言葉を失った瞬間」かもしれません。乗り込む直前まではしゃいでいたのに、シートに座った途端に世界が変わったので、思わず冷静になってしまいました。まるで異空間に入ったような感覚なんですよ。
――例えば「巨大ロボットのパイロットになった気分」とか?
そうかもですね。乗る直前まではハイテンションですが、座ると「スンッ」と冷静になってしまいます(笑)「真剣に向き合わないと」みたいな。
この流れは、乗り始めたときから今も変わりません。エンジンを始動させるたびに納車時の感動を思い出します。
――実際に運転してみていかがでしたか?
発進して1速から2速につなぐ流れとか、一つひとつの操作が洗練されているように思いました。納車の日は本当にうれしくて、そのまま一晩中ドライブしてしまいました。
――うれしくてたまらない気持ちが伝わってきます。どこに行かれたのですか?
三重県の霞埠頭へ行って夜景を見ました。納車の日は雨だったのですが、日が暮れるころには雨も上がって空も気分も晴れやかでした!
――手に入れてから6年ほど経ったわけですが、生活の変化や印象的なエピソードがあれば教えていただけますか
仕事、プライベートのあらゆる場面でプラス思考になりました。友人も増えました。いつもツーリングやオフ会に誘ってくれて、本当に感謝しています。
そういえば最近、こんな出来事があったんです。高速のパーキングエリアで休憩していたとき、CHYLさんという海外の女性アーティストから、彼女のスタッフを通じて声を掛けられました。
「RX-7のリトラクタブルヘッドライトを上げて見せてほしい」とのことで、RX-7を見てもらいながらCHYLさんとお話ししました。彼女はクルマが大好きだそうです。母国ではRX-7がほとんど走っていないので、ぜひ見せてほしかったんだそうです。
後日行われたライブにも足を運んで、RX-7のミニカーをプレゼントしました。すごく喜んでくれて、インスタにもアップしてもらったんですよ。ドライブのときは、彼女の曲もよく聴いています。疾走感のあるサウンドがめちゃくちゃカッコ良くてオススメです。
――すごすぎます!アーティストの公式SNSで紹介してもらえるのはうれしいですね。SNSといえば、yossyさんのSNSを拝見していると、クルマを生き物に例えた投稿をよく見かけます
私は幼い頃から生き物が大好きです。
大学では動物生態学や生態系に関わる分野を学びました。クルマは生き物を模した構造をしていて、親近感を覚えるんです。
エンジンは心臓、コンピュータは脳、サスペンションは骨や筋肉だと思ったり、クルマを生き物に例えてしまうのは、愛着のあらわれなんだろうなと。
――ちなみに、愛車を生き物に例えると?
「オオスズメバチ」でしょうか。
俊敏で攻撃的、軽くて機動力がある。しかし繊細。そんなところがRX-7のイメージとマッチします。体のフォルムも流線型で大変美しいですよね。
――yossyさん自身でカスタムした部分はありますか?
最初はカスタマイズのプランを練っていたのですが、実際に愛車に迎えてみると「このクルマに手を加えてはいけない」という気持ちになってしまいました。
唯一シフトノブだけ「RE雨宮」へのリスペクトを込めて交換しています。もちろん、純正品は大切に保管しています。それと、前オーナーがつけていた水温・油温・油圧計もコンディション管理のために残しています。
――リアに、かわいらしいキャラクターのステッカーを発見しました
このキャラクターは、私の“推しキャラ”の「ごきげんぱんだ(スタジオUG)」です。
グッズもたくさん集めているんですが、普段使いはしていません。このステッカーだけは、大切なもの、絶対に手放さないものという思いを込めて貼っています。
――素敵です。それ以外は、オリジナルの姿というわけですね
オリジナルの姿を保っていて、友人からは「日本刀のようだ」と言われたことがあります。
塗り替えなしのサンバーストイエロー、純正オプションのMAZDA SPEED製カーボンパネル、リトラクタブルヘッドライト、バサーストRのステッカー、純正ホイール…今日まで生まれたままの姿でいてくれて、誇らしくなります。
今は「走る博物館」を心に掲げて過ごしています。
――たしかに、オリジナルの洗練された姿には日本刀に通ずるものがあります
上手く言えませんが、運転するときは「武道の精神」のようなものを意識しています。エンジン、排気音、ドライビング時のフィール、ペダルの感覚など、細かい変化を感じ取るようにして運転しています。
――「RX-7あるある」みたいなことはありますか?
ロータリーエンジンの性質上、水温や油温が高音になりやすいため、前オーナーによって取り付けられていた水温計と油温計をそのまま使っています。
特に真夏の日中は、RX-7にとって危険です。なので、日中は控えて夜に乗るようにしています。クルマに合わせた生活を心がけています。
――最後に、今後の目標や愛車への思いをあらためてどうぞ
将来は、マツダのレストアサービスを受けたいです。フレームのわずかな歪みはもちろん、すべてを綺麗にしたい。RX-7をいつまでも…一生乗り続けるつもりでいますので、マツダさんに力を貸していただきたいです。
走行距離も約7万1500kmになりました。この先も“生涯の相棒”として「速く!美しく!かっこよく!」存在し続けてほしいと思っています。
幼少からの憧れを叶え、時間を重ねるたびに充実しているyossyさんとRX-7。この先どんな出会いがあるのか、どんな楽しいことが待っているのかを楽しそうに語るyossyさんに元気をもらいました。
【Instagram】
Yossiensisさん
【X】
よっしーさん
<取材・文 野鶴美和>
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